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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第19章 才能と正義

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757.魔神・竜殺し

「――“極光支配”」


挿絵(By みてみん)


 半透明な光のマント、“オーロラ・オーラ・カーテン”の力で、エレメント系のモンスターを一掃してしまうルイーサ。


「さすがSSランク。マントのくせに殲滅力が凄えな!」


 いや、俺が使ってた“ゲイボルグ・ディープシー”に負けてねぇや。


「あれ、安全エリアじゃない?」


 アヤナの奴が、森の中にポツンと立ってる赤煉瓦造りの祠を指差す。


 祠からは、奥にあるっつうポータルの光が微かに溢れていた。


「今日の攻略はここまでだな」


 マクスウェルのフェルナンダが宣言。


「モンスターの出現頻度がえげつないって聞いてたが、ルイーサのおかげで楽だったな」

「ザッカル様はくつろぎ過ぎです」


 俺の使用人NPCであるアルーシャに責められる。


「良かったのか? スゥーシャにSSランクを譲って?」


 ルイーサからの問い。


「良いさ。元々、スゥーシャの方が相性が良いって話だったし」


 ちょっと惜しい気もするが、SSランクは便利すぎて……なんか違うなって気がしてたしよ。


 自分でもよく分かんねぇ感覚なんだかけれどさ。


 そういや、ユイが“ブラッディーコレクション”を拒んだとき、なんか言ってたっけか? 腐らせるとかなんとか。


「まあ、俺には精錬剣だってあるし、問題ねぇよ」


 実際、相性は専用の精錬剣の方が上だしな。


 現実的に考えて、この前のクエスト最深部みたいにSSランクが使えなくなることもあるだろうし……精錬剣にも、頼り過ぎねぇ方が良いだろうな。



●●●



「第五十ステージのボスは、魔神・竜殺し。弱点属性は竜、有効武器は無し。危険攻撃は、ランダム装備の竜殺し系武器による竜武術だよ」


 早朝、いつものメルシュからの最終講義。


「竜殺し系の武器は竜属性攻撃を無効化するから、弱点属性にこだわって攻撃してると危険だからね」


 聞けば聞くほど、矛盾の塊みたいなボス魔神。


「“竜化”や強力な竜属性のサブ職業を手に入れたタイミングで、容赦なく対竜能力を持つボスをぶつけてくるのか……」


 コセくんの一言に、大半の人間の視線がジュリーちゃんに注がれる。


「……か、神ゲーだろ?」


 解っててあの返答……ジュリーちゃんて、見た目に似合わずオタク気質なのよね。


「ステージギミックは、ドラゴノイド型の小魔神が次々と壁から生まれるというもの。魔神に中途半端にダメージを与えると、小魔神の出現スピードが上がるから」


 その辺もいつも通りか。


「それと、昨日説明したとおり、五十ステージからの魔神は“天賦覚醒”で一段階パワーアップしてくるから、本当に気を付けてね」


 あれか。聞いただけでも厄介過ぎるパワーアップ。


「行くわよ、カナ!」

「ええ」


 ユリカちゃん達と一緒に、魔神・竜殺し戦の初陣を飾る。


 コトリちゃんのパーティーにリンカが加わったのもあり、私はバルンバルンちゃんの穴を埋めるため、ユリカちゃんのパーティーに移ることになった。


 ボス扉が閉まると、朱色のライン光が暗がりで走り、巨大な石竜人の姿が顕わに。


「得物は、“竜殺しの鎚斧”ですね」


 ヨシノからの情報。


「魔神は私が!」


 スゥーシャが前に出ると、壁から這いでるようにドラゴノイド型の石竜人が続々と!


「速攻で終わらせるわよ! タマはスゥーシャのサポート! 他は雑魚の殲滅! カナとレリーフェは右側をお願い!」


 ユリカちゃんの指示に従い、レリーフェと共に駆ける!


「頼りにしているぞ、カナ」

「お手柔らかに」


 過度な期待をされてもね。


「魔法を頼む!」

「了解よ!」


挿絵(By みてみん)


 銀黒の杖、“殲滅のノクターン”を突き出す!


「“三重魔法”――“暁光魔法”、デイブレイクレイ!!」


 今は朝の五時過ぎ。六時前なら、“殲滅のノクターン”の、夜は魔法の威力を二倍にする効果が適用される!


 壁から這い出ていた小魔神の、つかの間の殲滅を完了。


 せっかくコセくんが手に入れてくれたサブ職業、“亜流手鍍人名覇砥(アルティメットナハト)”の活躍の場は、今回も無さそうね。



●●●



「“深海支配”!!」


 無限に生み出せる海水の奔流を六つの槍とし、竜人の魔神へと浴びせる!


 これだけでも、魔神の身体に亀裂が生じていく。


「一気に決める!」


 右手で握る聖なる銛、“天上の白河を氾濫せしめん”に十二文字を刻んだ瞬間――魔神が黄金のオーラを纏いだした!?


 メルシュさんが言っていた、“天賦覚醒”が使用された証!


「しま――」


 神代文字による海水の強化を施そうとした瞬間、先程までとは比べものにならないスピードで海水の奔流から逃れ、距離を詰められ――これじゃあ、この前と同じ――また、私のミスで!!


「――スゥーシャ!!」


 共振した神代文字から送られてきたタマの思念に、闇に落ちかけた私の意識が引っ張り上げられた!


 ――武術の暴威を纏った鎚斧の一撃を、“遊泳”による空中ひねりでなんとか回避!


「“蒼穹魔法”――アジュアブラスト!!」


 タマの魔法を食らった魔神が仰け反る。


 独りで戦ってるんじゃないよって、私も居るよって、タマの強くて優しくて、悲痛な叫びが――私に届く。


「……ありがとう、タマ」


 “ゲイボルグ・ディープシー”を手放し、随伴させていた“メダライズ・ハープン”を掴み取り――十五文字分の神代の力を流し込む!


 “天賦覚醒”時の魔神は、全ての攻撃ダメージを半分にしてしまう――だったら、そんなの関係ないくらいの大ダメージを叩き込む!!



「“聖水氾濫銛術”――セイントリバーハープンッ!!」



 黒い靄に縛られて動きを封じられた魔神の胸に、コセさん達が手に入れてくれた暴虐の鈍色銛が炸裂――魔神の巨体を、粉々に吹き飛ばした。


「ハアハア、ハアハア」


 バルンバルンを失って、無力で間抜けな昔の自分に……それ以下の自分になってしまった気がしていた。


 ちゃんと、タマもコセさんも、今の私を受け入れてくれていたのに……私が一番、私を……また卑下してたんだ。


「――大好きだよ、タマ」

「私もだよ、スゥーシャ」


挿絵(By みてみん)


 空中で抱き合って、クルクルと回りながら、私達は久しぶりにキスをした。いっぱいした。



○おめでとうございます。魔神・竜殺しの討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★小魔神・竜人の指輪 ★天賦覚醒のスキルカード

★竜殺しの○○(選択可能) ★竜殺しの天賦鎧


○これより、第五十一ステージの【玉蜀黍の農村】に転移します。



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