749.大幅Lvアップ
○戦士Lv84になりました。最大サブ職業が+1されます。
○戦士Lv85になりました。最大スキル数が+10されます。
○戦士Lv86になりました。回復アップセット機能が+1されます。
○戦士Lv87になりました。“ツインリーダー”のサブ職業が手に入りました。
○戦士Lv88になりました。“古代兵装の指輪”を手に入れました。
○戦士Lv89になりました。お守り装備欄が+1されます。
○戦士Lv90になりました。同じ種類のEX装備欄を+1します。
○戦士Lv91になりました。その他装備欄が+1されます。
○戦士Lv92になりました。OPブースト機能を解禁。
○戦士Lv93になりました。装備セット機能+1。
○戦士Lv94になりました。TP・MP・OP回復速度アップ選択。
○戦士Lv95になりました。装備のランクEX化機能解禁。
○戦士Lv96になりました。万能装備欄機能の解禁。
○戦士Lv97になりました。オールセット機能+1。
「上がったなぁ……」
リビングのソファーで確認中。
「当然だよ。クエスト中はプレーヤーもモンスターもLv100に設定されていたうえ、共有のティアーズの効果も適用されてたみたいだからね」
後ろから、メルシュに指摘される。
「それらの経験値が一気に入れば、Lvが10以上あがってもおかしくないか」
このクエストに参加した奴等、低ステージでもとんでもないLvになってそうだな。どれだけ生き残れたか知らんけど。
「それで、87の“ツインリーダー”ってのは?」
「二つのパーティーを一つのパーティーとして扱えるサブ職業だよ。共有のティアーズを使っている私達には、あんまり利点は無いけれど」
パーティーは分けた方が、手に入るアイテムは増えるだろうしな。
「88の“古代兵装の指輪”は?」
「戦士専用の守護神の権利を、そのまま古代兵装に書き換える指輪だよ」
「書き換える? 守護神と古代兵装の両方を装備できるわけじゃないのか」
89のお守り装備欄が二つになるっていうのは、まさしくそのためのLvアップ報酬に思えたんだけれど。
「そこは、後でのお楽しみだね♪」
「フーン。90の、同じ種類のEX装備欄を+1ってのは?」
「言ってなかったっけ? EX装備って、同じ分類の物は一つしか装備できないんだよ」
「婚姻の指輪があると、他のEX指輪はダメって事か」
「そうそう」
他のEX指輪なんて手に入れてないから、疑問にも思わなかったな。
「じゃあ、これからはEX指輪も腕輪も二種類装備できると。95のEX化ってやつと関係あるのか?」
利点がイマイチ判らない機能筆頭。
「関係ないかな。EX化機能を使っても、その装備はEX装備欄にセットできるわけじゃないし」
「じゃあ、変わるのは実質ランクだけか……それって利点あるのか?」
「あるある。武器を媒介にして放つ攻撃は、武器のランクによって威力が変わるでしょう?」
ランクアップジュエルの存在理由そのものだしな。
「依然の大規模アップデート以降、EXは実質SSランクとして威力計算されるから、威力を上げるだけでもEX化する意義はあるね」
「他にも利点が?」
「特定のランクに対してのみ作用する“セームランクブレイカー”みたいなアイテムもあるし、この前みたいに特定のランクの装備だけ使用禁止になる場合もあるかも。まあ、SSランクはEX化できないんだけれど」
じゃあ、どっちにしろこの前の最深部みたいな状況じゃ意味ないじゃないか。
「ちなみに、EX化できるのは一つだけだよ。対象は何度でも変えられるけれど」
「なら、基本使いが多い“サムシンググレートソード”をEX化しておくか。で、96は?」
「万能装備欄は、好きな装備欄を一つだけ増やせる機能だよ。武器を多く装備したければサブ武器、サブ職業に指輪、その他にも使える。例外は衣服くらいかな」
そういえば、“装備の覇王”の能力でも衣服の装備欄だけは増えてなかったか。
「……メルシュ、この前の剣なんだけれど……」
「ダメ」
「いや、まだ何も言ってないのに」
「返さないから」
……取り付く島もない。
「コセ……坊……ちょっと良いかい?」
声を掛けてきたのは、ダークエルフのシューラだった。
★
シューラの部屋へと案内されると、彼女は落ち着かない様子でベッドに腰掛ける。
「ああ……お前、アタシに“超同調”を使ったとき……見たよな?」
「えと……前の男のこと?」
予想通り、シューラには夫は居なかったわけだけれど、俺が垣間見たのは……。
「……ダークエルフとして生まれたアタシは、十五になって間もなく、ダークエルフの里へと移住したんだ」
既に滅んだっていう、ダークエルフの住処か。
「里に居るダークエルフは大きく二種類で、アタシのような移住組と……その里で生まれ育った生粋のダークエルフが暮らしていたんだよ」
ダークエルフの間には、ダークエルフが確定で産まれるようだ。
「だから、移住組は肩身が狭かったと」
その頃のシューラの感情に、俺は触れている。
「親も親戚も居なくて……でも、エルフの里で迫害されながら生きるよりはって自分に言い聞かせて堪えて……そんな時に優しくしてきたのが、里長の息子だったアイツ」
思い出すだけでも殴り殺したくなってくるやつ。
「優しくされて、絆されて……アタシはあの野郎に身体を許して……初めてを捧げた」
ある程度シューラ自身が割り切れているのは知っているけど……胸糞悪い。
「次の日にはアイツは豹変し、取り巻き共の前でアタシにわざわざネタばらししやがった。アタシの処女を奪うまでのゲームだったってさ」
「……シューラ」
「ま、その瞬間に湧き上がった殺意のおかげで、あの野郎の玉を潰して里を飛び出し、世界中を旅して回ったってわけ。結局、最後には生まれ故郷に帰ってきたわけだけれどね~」
なんて事ないように笑っているシューラの頭を、正面から抱き締める。
「……鎧、痛いよ」
「……ごめん」
“超同調”を使ったときに、彼女の本音は解ってる。だからこそ、痛々しく感じてしまう。
「偉いぞ、シューラ。勇気を出せて」
「アタシを子供扱いして……八十越えのおばさんだってのに」
六十年以上、傷を引きずってきたくせに。
時間で薄れても、決して消えない傷を。
「……コセ……エッチしたい」
「うん、俺も」
共鳴精錬を行ったあの瞬間から、塗り潰されたいという彼女の気持ちに、俺は応える気満々だったから。
その事を、彼女も解っているはず。
「……それって同情かい? それとも……劣情?」
頬を染めながら、不安そうに上目遣いで尋ねられる。
「親愛の情も含めた全部だ」
“超同調”を使い、深く繋がりながら、拗らせダークエルフを解らせてやった。