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7.グレートソードとLvアップ

「……ここは」


 目が覚めると、鈍痛も蘇ってくる。


「いッつ!」


 変な夢を見ていた気がする。


 内容は覚えていないけれど、漠然と不愉快な夢だった気がしてならない。


「俺……勝ったのか?」


 あの灰色のオーガとの戦いこそ、夢だったのではないかと思えてくる。


「夢じゃない」


 俺の手には、あの剣が握られていた。


 優雅とは程遠い、戦うために鍛え上げられたであろう無骨な大剣が。


 ブラウンの柄に、鈍色の両刃の刀身……格好いい。


 周りの風景を見渡す。


 死体どころか血など一滴もないけれど、あの灰色のオーガを殺した場所だと判る。



○すぐに元の場所に戻りますか?



 チョイスプレートが出現しており、そう表示されていたためNOを選択。


 時間は十八時を過ぎており、身体も限界。


「今日はここで休もう」


 灰色のオーガに対し手を合わせたのち、水でも飲もうかとチョイスプレートを開く。


「……戦士.Lv7? なんで?」


 チョイスプレートの端に、そう表記されていた。


 オーガを倒した段階で5に上がっていたとしても、灰色のオーガ一体で2も上がったことになる。


「どれだけ格上だったんだよ……」


 そんな格上を、”剣術”無しで切り裂いたこの剣はなんなんだ?


「この剣の名前は……“グレートソード”か」


 地味というべきか、尊大と言うべきか。


「まあ、気に入ったよ」


 “グレートソード”はメイン武器になっていた。


 ”鉄の短剣”は損壊状態と表示され、サブ武器から外れている。


「”鉄の湾刀”は無くなっているけれど、短剣の方は修復可能って事かな?」


 攻略本か攻略サイトが欲しい!



○Lv5になりました。サブ職業を一つ選択出来ます。


★大剣使い ★二刀流使い ★盾使い ★槍使い

★棒使い ★拳闘士 ★弓使い ★斧使い 

★鎌使い ★針使い 



 ……盾使いを取ろうと思っていたら、なんか増えてる!


「……どうする」


 ”大剣使い”が魅力的けれど、堅実性を取るなら盾使いを選ぶべきか?


 灰色のオーガとの戦闘で攻撃力不足を痛感したばかりだからなー。


 ただ、サブ職業は二つまでしか着けられない。


 ”盗賊”を着けずに探索するのは罠が怖いし、”僧侶”がないと致命的になっていたであろう場面がたくさんあった。


「今何を選んでも、どうせ使えないか」


 ”針使い”っていうのは気になるけれど、選ぶなら”大剣使い”か”盾使い”か。


「……悩む」


 選ぶ基準が見いだせない!


「取り敢えず保留にするか」


 獲得アイテムが次々と表示される。


 ”グレートオーガの角”、”オーガの髪”、”グレートオーガのスキルカード”、”大剣術のスキルカード”。


 あれ? ”大剣使い”のサブ職業と同じスキル、手に入るんじゃね?


「二つのスキルカード……使ってみるかー?」


 そう言えば、スキルって幾らでも修得出来るのか? 修得限界数とか無いの?


「……もし限界数があるのなら、修得したスキルを消す方法もあるはず」


 じゃなきゃクソゲーだ。


 命懸けさせられている時点でクソゲーか。


「使っちゃえ!」



○スキル、“大剣術”を修得しました。


○スキル、“片手持ち”を修得しました。



「よし、思った通り! て、あれ? 二つ?」


 大剣使いだと二つ手に入るんだ。


 次に”グレートオーガのスキルカード”を使用する。


 ……いかにも強そうな名前だな。


○スキル“超頑強”を修得しました。


「防御系のスキルか」


 あいつ、異様に硬かったもんな。


「サブ職業も決めちゃうか」


 もちろん”盾使い”を……なんか異様に惹かれるんだよな、”針使い”。


「攻撃も防御も強化されたし、どうせ装備出来ないし」



○サブ職業:針使いを手に入れました。


○Lv6になりました。サブ職業の装備数が3つになります。



 ――盾を選べば良かったーーーーーーッ!!



「アホだ……俺」


 選択するタイプは、一回保留に出来るって分かってたはずじゃないか……。



○Lv7になりました。”無名のスキルカード”をプレゼントします。



「無名?」


 調べてみても詳細が分からない。


「使わないで置こう」


 一通り獲得アイテムなどを確認し終え、食事を始める。


 ホカホカのグレイウルフの肉に塩を掛け、食べる!


「うまー!!」


 ただ塩を掛けただけなのに、うめーよー!!


 疲れているのもあるだろうけれど、やっぱり塩があるのとないのとじゃ大違いだ!


 香辛料が金より高く取り引きされていたって話しを、今なら実感できる!


「あのチケットで選んで良かった!」


 食べ物はリストには無かったが、調味料だけは色々選べた。


 チケットはまだあるから、暫くは調味料に困る事は無い。


 焼いて置いたグレイウルフの肉を、全て食べてしまう。


 身体が貪欲に食糧を、肉を要求しているのが分かった。


「……寝るか」


 腹が膨れたため、毛布にくるまって眠りにつく。


 充足感と寂しさが溶け合っていくかのように、意識が遠のいていった。



             ★



「おし!」


 ”大剣術”などのスキル確認も終わり、昨日手に入れていた肉も加工し、全ての準備は整った!


 チョイスプレートを操作してオーガと戦った場所に戻ってきた俺は、更に奥へと進む。


「なんか出た」


 これまででもっとも煌びやかな空間に出たと思ったら、その中心に動くなにかがいた。


「ブオォォォーーー」


 金属の人型ゴーレムって所か。


 ゴーレムが接近して来る。


「行くぞ」


 ブラウンの握りやすい柄と、太く黒い二メートルに届く刀身を持つ大剣、“グレートソード”を構える。


「”針術”を試してみるか」


 ”針使い”によって使用可能になった武術系スキル。


 何故か、大剣でも使用可能なのだ!


『ブオォォォーーー』

「パワーニードル!」


 一度だけ左に跳ぶフェイントを入れ、ゴーレムの右胸を――斜め上へと貫いた。


「……あれ?」


 ――なんの抵抗も無く貫けたぞ? 凄く硬そうなのに。


『ブ……オォ……ォ……ォ……』

「へ? 終わり?」


 ゴーレムが光になっていく。



○特別ボーナス、”オリハルコン”、”銀塊”、”金塊”、”アダマンタイト”、”ミスリル”をプレゼントします。



「特別ボーナス?」


 ”オリハルコン”とか、なんか凄そうなのが手に入っているんだけれど?


 このゲームでの”オリハルコン”や”アダマンタイト”の位置づけは分からないけど。


「まあ……良いか」


 ボーナスらしいし、あのゴーレムは最初から弱く設定してあったんだろう。ここまでで財宝らしい財宝は手に入ってなかったし。


 更に奥へと進んでいくと、道の脇に置かれていた金貨の山がどんどん少なくなっていく。


 暫くすると金貨が見えなくなり、最初の頃の岩肌ばかりが並ぶ。


「うん?」


 また分かれ道に出た。


 けれど、チョイスプレートによる選択は出ない。


「どっちに進んでも良いのか? いって!」


 適当に右側を選んだら進めなかった。また透明な壁だ。


「もしかして、ゴブリンロードの出口なのかな? ならこっちか」



○金銀財宝ザックザク踏破特典。10000Gと、“買い取り一割アップの指輪”をプレゼント。



 なんか、いきなりチョイスプレートが出現してプレゼントされた。


「取り敢えず、指輪は装備しておくか」


 “大地の盾の指輪”以外指輪は無いし、何も装備して無いより良いだろう。


 地味に身体能力の補正が掛かるかもしれない。


 鎧を装備する前としたあとでは、身体能力が大分上がっている気がするし。


 その辺の補助効果がよく分からないのが痛い。


「…………買い取りアップって事は、買い物出来る場所がどこかにあるのか」


 お金はどこで使うのかと思っていたけれど、これはつまり、どこかで商売をしている人間が居ることになる。


 いや、人間とは限らないのか。


 むしろ、人間じゃない方が面倒にならないかも。


 人間には遭いたくないし。


 そう思う一方で、久し振りに誰かと話をしてみたいと考えている自分もいた。



◇◇◇



『……ゴージャスゴーレムを一撃?』


 おかしい。魔法攻撃には弱いですが、物理防御にはかなり……なる程。


 ”針術”の威力は低いですが、貫通効果を持つ”針術”をあの剣で放ったのであれば、この結果にも納得がいきますね。


 時間を掛ければ魔法攻撃手段が無くても倒せる設定にしてあるとはいえ、一撃とは。


『”盗術”がなければ手に入らないサブ職業、”針使い”……』


 これまで手に入れたスキルや武器も、彼に合っている物ばかり。


『ゴブリンロードの方を選んでいれば、鉄の武器よりも強力な物が色々手に入ったのですが……』


 あちらには”グレートソード”程強力な武器は無く、”偉大なる英雄の鎧”を見付けていなければそもそもグレートオーガのイベントは起きない仕掛けだった。


 やはり、コセ様は当たりだ!



『決めましたよ。()()()()()()()()()()()()()()()()!!』



 何人か候補は居ましたが、貴方が一番面白い!


『私が人気ナンバー1提供者になるために、頑張ってくださいね、コセ様!!』


主人公のメイン武器を考える際、グレートという単語と結びつき、そこからコナン・ザ・グレートに繋がりました。



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