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742.封じられる聖剣

「……難易度が高すぎないか?」


 “アイアンバリエーションズ”の大軍を退けたと思ったら、最終部屋の中にアルファ・ドラコニアン。しかも、アルファ・ドラコニアンみたいなロボットが四体も。


「“ウロボロス・メダリオン”が消えた?」


 ネファークの声。


「おい、俺の“ゲイボルグ・ディープシー”もだ」


 ザッカルのSSランクまで!?


「この部屋の中だと、SSランクが使えないのか」


《とっとと入って来いよな――“NPC封じ”》


 アルファ・ドラコニアンの腕輪から、全周囲に紫色の光が広がっていく!?


「まず――」


 フェルナンダの姿が縮んで、菱形の石になって……その石すら消えた?


「アルーシャ!?」

「メフィー!」

「ペルペル!?」


 隠れNPCだけじゃなく、NPC組全員の姿が無い!!


 いつもは情報をくれるNPCが居なくなってしまったからか、久しぶりに得体の知れないもの特有の恐怖が込み上げてくる。


「その名の通り、一時的にNPCを封じる能力と見て間違いないだろう」


 マリサが、神代文字を刻みながら前へ。


「他のプレーヤー達が乱入してきたら面倒そうだ。とっとと片付けるぞ!」


 ネファークが鼓舞してくれる。


 “ディグレイド・リップオフ”を持っていたフェルナンダを封じられたのは痛いが……。


「――なら、一番厄介な奴は私が引き受ける! “後光輪”!!」


 “ヴリル・ジェット・ヘイロウ”を展開し、“後光噴射”でアルファ・ドラコニアンに突っ込む!


「ちょ、ルイーサ!?」


 アヤナの声が遠ざかる。


「“抜剣”――“双聖女の威光”」


 腰の“聖遺物の鞘”から“ヴリルの聖なる古代王剣”を抜いて――十二文字刻む。


「“神代の盾”――“極光盾術”、オーロラバッシュ!!」


 “ヴリルの聖骸盾”にも十二文字刻み、巨大化した盾から極光色の衝撃波を放ちながら衝突!!


「“超噴射”!!」


 不可視の力で抵抗したようだが、神代の力で難なく突破に成功――最奥の銀の壁へと、共に激突した!


《き、貴様……なぜこうも》


「お前達と戦うのはこれで三度目。その不可視の力にもさすがに慣れた」


 ゲームと同じだ。強敵に思えても、コツさえ掴めば嘘みたいに対処できるようになるというだけのこと。


 コイツが、NPCを無力化する腕輪しか装備していないことも幸いだった。


「“神代の剣”――“極光剣術”、オーロラスラッシュ!!」


 剣を横から薙ぎ、長大な光の斬撃を持って――壁とアルファ・ドラコニアンの腕を、腹と胸ごと消し飛ばす。


《――“瞬間再生”!!》


 さて、ここからが本番だな。


「傲慢な思考に冷や水を浴びせられたのはどんな気分だ、トカゲ野郎」


 挑発し、私だけに意識を向けさせる。


 最初の突撃、アルファ・ドラコニアンなら回避できてもおかしくなかった。


 上手くいったのは、コイツが私達を見下していたことと、“瞬間再生”という保険があったからだろう。


 油断と保険が無くなったここからが、奴等の本領発揮。


《――“武具封じ”》


 ――私の手から、“ヴリルの聖骸盾”と“ヴリルの聖なる古代王剣”が勝手に弾け……落下した?


「装備セット1!! ……戻らない?」


 装備を外されただけじゃなく、付け直せなくなっている!


 ――まずい。神代文字を刻める武具が、全て装備できない!!


 神代文字を刻めなければ、アルファ・ドラコニアンの念能力にまったく対抗できずに殺されてしまうというのに!


《俺に傷を与えたアイテムを、俺の一定範囲内に居る間は再装備できなくなる能力らしい》


 傷を与えた……なら、“ヴリルの聖骸盾”に収めている“ヴリルの祈りの聖剣”なら装備できる?


「――“精霊魔砲”!! “後輪光輝宮”!!」


 MPの大半を失ってでも、剣を回収しなけれッ――衝撃波に吹き飛ばされたッ!?


《拾っても無駄なのが解らないのか? さすがは、低能なノルディックだ》


「……クソ」


 口の中を切ったか。


 だが、まだ私の窮地はバレていないらしい。


 ……他の面子が援護に入ってくれるような状況じゃない――自分でなんとかするしかない!


「装備セット3」


 “大天使の黄金聖剣”と“古生代のヴァリアブルシールド”を装備。


 ――頼む。“ヴリル・ジェット・ヘイロウ”や“ヴリルの聖なる古代王剣”の時みたいに変質して、神代文字対応に――


《余所見してんじゃねぇよ!!》


 爪の一撃を盾で受けた次の瞬間には、後ろに回り込もうと迫っている!


「――“情熱の黄金剣”!!」


 振り向きながら、黄金の刀身より金色の爆炎を放つ!!


 ――炎を霧散させた手刀が、黄金の聖剣を弾き飛ばしてしまう!


「ハアハア、ハアハア」


 神代文字を刻めないだけで、筋力も反応速度もクソみたいに遅い……呼吸するのを忘れる程に、攻防に余裕が無くなってしまっている。


「クソッタレ!!」


 左手の“剣倉庫の指輪”から、“ヴェリタライズ”を抜いて鞘に収め、続いて“ザ・ディープシー・カリバーン”を手に。


《……お前、なぜ神代文字を使わない?》


 ――バレた!!


「さあな!!」


 無謀でも、念能力を防御に回させるために攻め立てるしかない!


「ハイパワースラッシュ!!」


 ――コイツ、わざと腕を浅く切らせた!?


《“武具封じ”》


 “ザ・ディープシー・カリバーン”の装備まで外れる!


「……お前」

《神代文字が使えないんだろ、お前。良いぜ、嬲り殺しにしてやる》


 悪癖を出したな、クソ蜥蜴!!


 ……これが、最後のチャンスだ。


「“抜剣”」


 鞘から、“ヴェリタライズ”を抜く。


 これが、私が使い慣れている最後の剣。


 “ストームブリンガー”、コセに渡したのは失敗だったかな。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()


「参る!! ――“後光噴射”!!」


 “ヴリル・ジェット・ヘイロウ”の推力を利用して高速で動き回り、隙を窺う!


《――フッ!!》


 衝撃波が、四方八方から連続で襲ってくるッッ!!


《フハハハハハハ!! 良いぞ! 地上の軟弱な雑種共なら、とっくにくたばっている所だ!!》


 本当に、私を嬲って愉しむつもりらしい。


 幸い、“古生代のヴァリアブルシールド”のおかげでダメージはかなり減衰されている……援護が来るまで――意地でも持ち堪えてやるッ!!


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