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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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740.生と死の狭間

「“四重魔法”、“桜火魔法”――フレアブロッチェブラスター!!」


 タマモの魔法が、銀色の壁を焼き融かしていく。


「拍子抜けだな。まさか、なにも居ないとは」


 エトラのぼやき。


 辿り着いた最後の部屋にはSSランクまでの道を阻む壁があるだけで、邪魔してくるモンスターもなにも居ない。


 エトラじゃなくても、拍子抜けしちゃうのは仕方ないね。


「うちの魔法でも、なかなか削れんね」

「“レギオン・カウンターフィット”が使えれば、消耗を気にせずにぶっ放すのに」


「時間が惜しい、私もやる! “古代兵装/六門竜砲”!」


 エトラの奴、杖に神代文字を九文字刻んで、威力を全力で高めてるし!


「止めなくて良いんですか、コトリ?」


 ケルフェに尋ねられる。


「まあ、時間を掛けてられないのは事実だし」


 ミカゲ達。追ってこないって事は、まだ戦ってんのかな。


「ぶっ壊れろ!!」


 六つの砲撃が一点に収束――淡く発光する銀の壁に大きな亀裂が入り、僅かに貫通した!



《――ようやくか》



 向こう側から、脆くなっていた壁が吹き飛んでく――


「マリナ!?」


 この心配げな声、リンカの? ――マリナが倒れて……頭に破片が当たったのか!


「これは……まずいなぁ」


 余裕の無いタマモの声からして、やらかしてくれた敵の正体は判ってる。


「タマモ、リンカとマリナを連れて下がって! エトラとカナさんも、三人の護衛と後方の見張り!」


 神代文字が使えて大して消耗していないカナさんには、退路の確保に回って貰う。


「だが敵は!」

「――さっきのでMPと精神力をだいぶ消耗したでしょ! 大人しく下がれ!」

「……すまん」


 エトラに強く言いすぎた……私も、それだけ余裕が無いって証拠か。


《なんだ? たった二人で俺に勝つつもりか?》


挿絵(By みてみん) 


 壁の向こうから現れたのは、アルファ・ドラコニアン。


 この威圧感――実際に対峙すると凄まじい!


 トゥスカ達、よくこんなのとまともに戦えたな! 私なんて、対峙しているだけで肌が粟立つかのよう!


「戦える、ケルフェ?」

「……マリナが倒れたのが痛いですね」


 返事になっていない返事……それだけ、ケルフェも余裕が無いって事か。


《雑魚の相手は面倒だと思い、壁の向こうに配置させたが……暇すぎて死にそうだったぜ》


 壁の奥、大がかりな動力炉みたいなのの中心に浮いているのがSSだと思うんだけれど……アレって、ブラウンカラーのクレヨン?


《どこを見ている!》


 刀身の中心に長い空洞がある剣で、奴が斬り掛かって来た!


「――“殴打撃”!!」


 九文字刻んだ状態の黒棘白金棒、“生き様を視ること死に様の如く”で打ち返す!


《ガハハハハ!!》


 軽く衝撃波を浴びせられ、動きが鈍った所に連撃を仕掛けられる!


「私は無視ですか? ――“穿孔脚”!」


挿絵(By みてみん) 


 ケルフェの蹴りに飛び退く赤蜥蜴。


「ハアハア……助かったよ、ケルフェ」

「礼なら後で……」


 二対一じゃ分が悪い。私達が二なのに。


「“人格分離”」


 魔法使いの私を呼び出す。


「いっつもいっつも、面倒くさい状況で私を呼び出して」

「そりゃそうでしょ」


 キツい状況でもなきゃ、わざわざもう一人の自分なんて呼び出さないし。


「神代文字、刻めるよね?」

「当然!」


 黒白の杖、“後ろ暗い生き様が染み付いて”に九文字が刻まれる。


挿絵(By みてみん)


 神代文字が刻まれた瞬間、やっぱり私の精神的負担が増した。


 訓練でも文字を共鳴させる事はできなかったし、もう一人のありえたかもしれない私は、結局は私そのものという事なんだろうな。


《三人になったか。まったく、おかしな舞台を用意した物だ。いったい、どこのバカの発案なのやら――“魔綱玉”》


 剣の刀身付け根の玉部分からせり上がった光が、空洞を通って、切っ先の玉へと到達――鋭利な光の刃へと転じた?


《さあ、この世界特有のシステムを用いた戦闘を――愉しませて貰おうか!!》


「“連盾障壁”!!」


 文字の力が浸透された六角障壁群で、アルファ・ドラコニアンの攻撃を止めるケルフェ。


「“障壁支配”!」


 “連盾障壁”を変形させ、拘束してしまう!


「今のうちです! SSランクを!」

「――ナイス、ケルフェ! “瞬足”」


 急いでクレヨンを回収しにいく!


《――ふざけるなよぉぉッ!!》


 障壁を、不可侵の力で粉々に!?


《お前達には――俺を愉しませる義務があるんだよぉぉッ!!》


 私目掛けて突っ込んで来る!!


「“鬼の神力”!!」


 こっちも不可視の力をぶつけ――全然止まらねぇし!


「“跳躍”空衝”!」


 ルイーサの“瞬足”跳躍”を参考に、跳び上がると同時に空中を高速移動!


「“劇毒弾”!!」


《つまらん攻撃をするな!》


 背に向かって放ったけれど、剣の振りと一緒に放たれた衝撃波で弾かれる!


「“六重詠唱”、“光輝魔法”――シャイニングレイ!!」


 やさぐれ私による魔法攻撃。


《効くかよ、こんなもんが!》


 念能力による防御……九文字でも足りないなんて、理不尽過ぎる。


「“ニタイカムイ”、“砂鉄磁鞭”――“砂鉄鞭術”、アイアンサンドラッシュヒット!!」


 手数で攻め立てるケルフェ。


《軽いわ!!》


 剣と衝撃波の合わせ技で、砂鉄の鞭が霧散させられた。


「――“閃光の如き生き様”!!」


 金棒の亀裂から白い光を噴出させ、超スピードを得る!


「“殴打撃”!!」


 アルファ・ドラコニアンが消え――後ろに回り込まれた!?


「“空衝”!!」



 間一髪、首を落とされずに済んだ――けれど、両脚が切り飛ばされ――――これ、このままじゃ死んじゃう。



 ――殺される前に、殺さなきゃ――――()()()()()()()



《……なぜ、十二文字も刻めないお前が》


 九文字の光が、輝彩色の輝きを放っている。


 もう一人の私の存在によって、擬似的な十八文字状態になっているらしい。


 “人格分離”で呼び出した彼女が消え、引き換えにもう一人の私の想いと私が溶け合っていく。


 ――自分の肉体を再構築。切断された脚を元通りに。


挿絵(By みてみん)


 ……私って、思っていたよりもずっと……まとも側の人間だったみたい。


《……く、クク! お、おもしれー。お前に勝てば、俺は最強のドラコニアンを名乗れ――》


 ――瞬間移動で懐に潜り込み、“殴打撃”を見舞う。


《――ガハッ!!》

《この武器だと力不足だな》


 “生き様を視ること死に様の如く”に十二文字刻み、“生き様と死に様の向こう側へ”と昇華。


《――“覚悟の死生観”》


 “閃光の如き生き様”と、“英雄の如き生き様”の複合能力を発動――白と黒の光を金棒の亀裂から噴出し、全身に纏わせる。


《劣等種に――この俺が負けるかぁぁッッ!!》


 超高速と瞬間移動を繰り返し、アルファ・ドラコニアンの頑丈な肉体を滅茶苦茶にしていく。


《ぅうあああああッッ!!》


 全身から衝撃波を発生させる、可哀想な劣等種。


《“鬼の神力”》


 スキルに念能力を上乗せし、衝撃波を突き破ってアルファ・ドラコニアンの正面の鱗をはぎ散らす。


《お、俺が……手も足も……》


《さすがにしぶと――》


 力が――抜ける。


「ハアハア、ハアハア、ハアハア、ハアハア」


 上手く呼吸ができない……神代文字どころか、意識まで飛びそうッ!!


《……つまらない幕切れだったな》


 アルファ・ドラコニアンが、近付いてく――大火力の砲撃が、アルファ・ドラコニアンに直撃。


「コトリから離れろ、蜥蜴野郎!!」


 エトラ……無茶して。


《雑魚共が、群れなければ何もできない虫けらのくせにッ!!》



『1番エリアのSSランクが回収されたのを確認しました。よって、現在1番エリアに居る皆様は第三回大規模突発クエストをクリア。依頼達成です』



《……は?》

「……さすが」


 ケルフェが、SSランクを掴み取っていた。


《――貴様らぁぁッッ!!!!》


 アルファ・ドラコニアンの叫びと共に光に変わりだす自分の身体を見て、ようやく意識を手放す……。


おまけ

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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