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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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738.縹渺なる悪夢の実態

『オールセット3――“呪縛支配”』


 全身の武具に、“カース・オブ・オーガントレット”で身体能力低下のデバフ効果を付与。


 右手の剣斧、“紫幻の悪夢を食らい尽くせ”に十二文字刻む。


《ククク!! お前のような戦士、相対するのは久しい――さあ、お前に俺が殺せるか!!》


 紅い槍を持つアルファ・ドラコニアンが、仕掛けてくる。


『――ハイパワーアックス!!』


 念の能力が込められた刺突を、上級武術と神代の力で弾く!


 前回、アルファ・ドラコニアンと戦った時は実質、三対一だった。まだ一対一で勝った事は無い。


《“爆流炎”!!》


 槍から炎が渦を巻いて出現――


『“縹渺虚空”』


 何事もなく、炎が俺をすり抜ける。


『――“三原色破壊”』


 左手の斧、“カラーズ・ブレイカー”で“爆流炎の穿槍”を叩き折る!!


挿絵(By みてみん)


 赤、青、黄色がメインカラーの武具を問答無用で破壊する、原色の破壊斧。それが“カラーズ・ブレイカー”の力。


 ただし、二次色に対しては全くの無力となる。


『“神代の斧”――ハイパワースラッシュ』


 槍が破壊された際の動揺を突き、胴を薙いだ。


『“猛毒斧術”――ヴェノムブレイズ!!』

《――フン!!》


 気合いを吹き出したかのように、奴から溢れた衝撃波で後退させられた!


《――“瞬間再生”》


 一度距離を取る。


 奴に纏わり付いていたデバフの靄が消えている。“瞬間再生”の副次効果か。


《やはりいかんな、武器頼りの戦いなど》


『“蠱毒”――“劇毒弾”』


 デバフの靄で逃げ場を封じ、毒耐性を無視する“劇毒弾”に、毒を強化する“蠱毒”のエキスを混ぜて発射!


《つまらん小細工だ!》


 靄も毒も、まとめて弾き飛ばされる!


『――クソ!!』


 一瞬で背後に回り込まれ、拳を斧の上から受けてしまい、“カラーズ・ブレイカー”が俺の手を離れてしまう!!


『やっぱり厄介だな、アルファ・ドラコニアン』


 シンプルに高い身体能力に、万能な念能力。


 特に念能力のせいで、俺の持つ手札のほぼ全てが通用しない。


 あとできるのは、神代文字を最大まで引き出した状態での泥臭いぶつかり合いのみ!!


『――ぅおおおお!!』


 “紫幻の悪夢を食らい尽くせ”を全力で振るい、アルファ・ドラコニアンとしのぎを削る!!


 拳を回避と同時にカウンター! いきなりの重圧が解ける瞬間に顔面へのひざ蹴りを回避! つかず離れずの攻防を繰り返す!


 剣斧の刃が腕や脚を何度も浅く裂くも、決定打を与えられない!


 だが、“呪縛支配”により、奴の身体能力は少しずつ下がってきている。


《ここだ!!》

 

 掌底から放たれた不可視の力を剣斧で受けるも、距離を稼がせてしまう!


 攻撃が明確に止まった事でアルファ・ドラコニアンからの防戦一方となり、一気に劣勢へ!


《勝負あったな、仮面の男!!》


 爪や蹴りに乗せられた衝撃波をまともに連続で受け、地面に這いつくばっている――俺。


 何をやっているんだ、俺は。一人で戦うと言っておいて……。


《地球人類は脆いな。お前達ほど脆い生物もそうはいまい。生まれてすぐに立てない赤子など、お前達くらいのものではないのか?》


 ――込み上げた怒りに任せて立ち上がり、割れ落ちた仮面を無視して睨みつける!


「なぜ、わざわざ子供を攫わせる! 日本の子供を親から取り上げて、お前達は何がしたいんだ!!」


 あの紙が、この地下施設のシェルターにあった事は無関係じゃないはずだ。


《知らんな。一国一国の細かな些事など、戦士たる我等の知ったことか》


「……本当に知らないのか?」


《勘違いするな。どのような方法でガキを集めるかなど知らんというだけだ。だが、集める理由の一つくらいは知っている》


「なんだと?」



《俺達の餌として貢ぐためだ。悪魔崇拝の儀式やら何やらに用いる奴等も居るらしいが、俺達レプティリアンにとって、人間の子供は上等な食材に過ぎない》



「…………食う……だと?」


《何を驚いている? お前達とて動物を狩り、飼育し、食らう。時には愛玩動物として玩んでいるではないか》


 コイツは、本気で同じだと思っているのか?


《我等上位種にとって、お前達地球人類は家畜なのだ! 時には肉を食うため、時には使い潰して搾取し、憎悪と悔恨、悲哀と絶望という負の餌を量産して我々低周波存在に提供する。それがお前達、地球人類たる奴隷どもの数少ない存在価値。そんなことも理解できない社会不適合者共が、このゲームに送り込まれるのだ》


「――バカバカしい」


《なに?》


 児童相談所に身を寄せていたとき、微かに聞こえてきた大人たちの会話。


 俺を養子縁組しようとした職員に、大きな火傷の跡があるから無理だと言っていた別の職員。


 まるで今晩のおかずを話し合うかのような気安い感覚で、人の一生を左右する言葉を交わしていたために、いつの間にか気のせいだと記憶に蓋をしていた。


「結局――何もかも、なんの価値も無いゴミなんだろ? 地球人類も――お前らも!!」


《思い上がるなよ、地球人類。貴様らが我等に口答えするなど――赦されんのだぞ!!》


「思い上がってるのはお前らだッ!!」


 “紫幻の悪夢を食らい尽くせ”で切り掛かる!!


「“紫幻の悪夢”!!」


 斧剣から紫幻の悪魔を呼び出し、神代文字の力を込め――蜥蜴野郎に繰り出す!!


《ああ、つまんねぇ空気にしやがって!!》


 紫幻が簡単に掻き消され――左腕を、爪で抉り千切られ……た?


「――キクル!!」


 今の、グダラの声か?


 他の奴等の声も聞こえるけれど……アイツの声だけは、よく届く。


 でも、俺はここまでみたいだ。


「――立て、キクル!!」


挿絵(By みてみん)


 グダラ……お前は、まだ俺が勝てると思っているのか?


 もう俺は……。


《しらけるな。次はアイツらを殺すか》


 ――ふざけるな。


 そうだ、俺が負けたら、次に誰が狙われるかなんて――分かりきっていた事だろうが!!


《……ほう、まだ立て――貴様!?》


 彩藍色の光が、俺を包んでいる。



《殺して欲しいんだろ、お前――だったら来いよ、()()()()()()()()



挿絵(By みてみん)


《貴様……腕が》


 ただ千切れた腕を分解して、再構築しただけ。


《これくらい、誰にだってできるだろう》

《――愚弄するなと言ったぞ、奴隷種族ッ!!》


《“神代の幻夢”――》


 彩藍色の権化が、愚かな劣等種に襲いかかる。


《ああッ!! ――ぁああああああああッッッッ!!!?》


 変幻自在の悪夢の牙が、爪が、刃が、奴の鱗を剥ぎ、肉を裂き、目を穿ち、腕を飛ばし、腸をぶちまけさせる。


《ぐ……がぁ……》


《頑丈なものだ。だから、長く苦しむことになる》


《きさ……貴様……きざ……ま》

《何が社会不適合。お前達、低周波存在が生きられる低次元を維持するために、地球人類を蔑み、貶め、侮辱し、必死に奴隷に仕立てあげているだけの劣等種じゃないか。勘違いも甚だしい》


 どれだけ取り繕おうと、真の劣等種はコイツらだ。


《居ね、まともに何かを生みだすこともできない劣等種など目障りだ》


《――――ぎざまあぁぁぁぁッあぁぁっぁッッ!!!!》


 宇宙最強の劣等種の首を刎ね、くだらない戦いを終わらせる。



『7番エリアのSSランクが回収されたのを確認しました。よって、現在7番エリアに居る皆様は第三回大規模突発クエストをクリア。依頼達成です』



 その声を最後に、俺は意識を手放した。


おまけ

挿絵(By みてみん)

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