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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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733.黒人侍のメイベル

「つ、疲れた」


 ハユタタさんが弱音を吐いてる。


「さすがに、四方八方から狙われたらツグミ頼りってわけにはいかないか。ていうか、ロボット系って“即死”効かないの?」


 ネロさんがシレイアさんに尋ねる。


「“アイアンバリエーションズ”には効かないね」

「じゃ、この指輪は要らないか。オールセット2」


 メリットが無くなったと判断したからか、“死の宣告の指輪”を外してデメリットを取り除くネロさん。


「ネロ、あんたって刀使えるの?」


 腰に現れた武器を見て尋ねるハユタタさん。


「昔はこれメインで戦ってたから」

「フーン」

「そろそろ行くよ」


 皆を先導し、先へと進む。


「大きな部屋……」


 横幅も上下も、数十メートルはある四角い部屋。


「また来たし!」


 “アイアンバリエーションズ”が次々と入ってくる!


「もう少しでSSランクのある部屋なのに、コイツら!」


 セリーヌさんが、またお口悪々に。



「――“獅子支配”!!」



 金色のオーラが獅子を型取り――“アイアンバリエーションズ”を引き裂いて、噛み砕いていく!?


「この能力、SSランクの“レグルス・アウルム”」


「じゃあ、近くにSSランク使いが居るんだ――」


 シレイアさんの情報に、ユイさんが静かに濃密な殺気を垂れ流し始めた。


「おいおい、私を殺す気かよ!」


 すぐ傍に飛び降りてきたのは、大きな金色の鉤爪を持つ虎の獣人――タイシュさん!


挿絵(By みてみん)


「あんた、SSランク持ちだったの?」

「態度がデケー人魚だな」

「あんたに言われたくないし」


 何故か喧嘩腰になるハユタタさんとタイシュさんの二人。


「おーい、落ち着け、タイシュ」


 部屋の角に設置されていた階段を下りてきたのは、白い具足が特徴的な黒人の女性、このパーティーのリーダーであるメイベルさん。


挿絵(By みてみん)


「お、このエリアに居たのはツグミ達だったかニャ~」

「良かった、同盟相手のパーティーは居ないのかと」

「…………」


 メイベルさんに続いて、彼女の隠れNPCであるバステトのムイナさん、エルフのラフォルさん、金色の竜の面を付けた魔導師風の女性が現れる。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「そちらの面の方は?」


 こんな煌びやか白いローブを着た人、以前の集まりで見た覚えが無い。


「……メイベル」

「コイツはナナコ、異世界人だ。この前の集まりには参加したがらなくてな」


 代わりにメイベルさんが説明。


「お前ら、食っちゃべってる場合じゃないぞ!」


 セリーヌさんの言葉を肯定するように、“アイアンバリエーションズ”が再び突入してきた!


「私がやろう。武器交換――“八百尺大太刀”」


 メイベルさんが、バカでかい日本刀に持ち替えた!?


「それ……八百尺もある?」

「あるわけないだろう、マスター。実際には二十四メートルちょいだよ」

「ああ、十分の一なんだ」


 ユイさんとシレイアさん、随分と吞気な会話を。


「“舌先三寸”――私は強い! 最強のスーパーパワー! スーパーハイパーゴッド!!」


「メイベルさんはなにをしてるんですか?」


 厨二病みたいな言動がさすがに気になって、隠れNPCのムイナさんに尋ねてしまう。


「ユニークスキル、“舌先三寸童子”。適当なこと言うと、能力値が上昇するんだニャ~」

「ゲームのシステムに全然合ってないから、観測者側がいい加減に用意したんだろうね~」


 ムイナさんの話を、補足してくれるシレイアさん。


「じゃあ、今は筋力を上げてるって事ですか?」


 さっきからパワーパワー、連呼してるし。


「そうなんですよ。言えば言うほど強くなれるらしくて」


 ラフォルさんが苦笑い。


「持続時間が短い分、上昇値は理論上無限か。破格の性能なのか外れ能力なのか、イマイチ判断に困るね」


 シレイアさんの評価が割と辛辣。


「――紫電一閃!!」


 新たに出現したロボット四体を、メイベルさんが一撃で両断して見せた!


「これぞ、ザ・サムライの一撃!」

「いや、違うから」


 いつものほほんとしているユイさんの声が、とても冷ややか。


「あれ、あんまりサムライっぽく無かった?」

「メイベルさんは侍が好きなんですか?」

「そうなんだよ! まあ、サムライに憧れた切っ掛けを思い出すと、今でも苦い気分になるんだけれどさ」


「苦い気分?」


「メイベルは、サムライのルーツが黒人ていう、黒人記者とかが書いて広めたフェイクニュースを信じて憧れたらしい」


 無口だったナナコさんが、背後で急に喋りだした!?


「ふぇ、フェイクニュース?」

「今もだろうけれど、当時はなんでも黒人を組み込もうとするポリコレ勢力が猛威を振るっていたから」

「ああ、ゲームキャラを不細工にしたり、デブを無理に容認させようとしたり、リメイク作品でわざわざ黒人を起用したりするアレ?」


 急に早口になったユイさん。


「差別を受け続けた反動なのか何か知らないが、侍ブームに乗っかって、昔の日本に居たヤスケって黒人を侍に仕立て上げて、正史扱いしだしたりな」

「メイベルだって、日本に来るまで信じてた口でしょ? ヤスケは日本人なら誰もが知る人気者だって」

「……黒歴史だから思い出させないでくれ」


 この二人、仲が良いんだ。


「おい、さっさとSSランク回収しないと、また敵が来るかもしれねーだろ。とっとと行こう……ぜ」


 虎獣人のタイシュさんの視線が、部屋の奥へと注がれる。


 解る――奥から、何か危険な物が来る!


『女だけの集団……ケンシという名のレギオンメンバーか』

『つまり、当たりを引いたな』


 現れたのは、トカゲ人間型のロボット。


挿絵(By みてみん)


「アルファ・ドラコニアン・アバター。それも二体か」

「メイベルさんは知ってるんですか?」

「大規模突発クエストで戦ったからな。気を付けろよ、奴等はアルファ・ドラコニアンと同じ能力を使ってくる」


 本物よりは念能力が抑えられているってリンピョンさんから聞いたことありますけど、そもそも私はアルファ・ドラコニアンと遭遇したことが無い。


「常に神代文字を刻んで、力を身体全体に纏う。動きを止められたら、神代文字の力を炸裂させてすぐに拘束から逃れて」


 ユイさんの口調がマジだ。


「対応が遅れたら――その分だけ死が急速に迫ると思った方が良い」


 あのユイさんですら、余裕が無い相手なんですね。


「それぞれのパーティーで一体ずつ、で良いか?」


 メイベルさんの顔からも、緊張が窺える。


「解りました。私がメインで攻めるので、皆はサポートを」


 誰もが口を揃え、強敵認定する相手。


 いったい、どれほどの力を秘めているのか。


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