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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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727.地下エリアのテーマパーク

「起きて、リューナ」


 私を起こしたのは、ツェツァ。


「もう時間か?」

「いえ、敵襲よ。モニター室のネレイスから連絡があった」


 時間を確認すると、深夜の1時……予定より三時間も早く起きる羽目に。


 地下空間に広がっていたテーマパーク、そこのホテルの一室フロアに泊まっていた私達。


 他のパーティーメンバーを起こして水を飲み、ジャーキーを咀嚼して眠気を振り払う。


「――今、揺れたな」

「モニター室にいたコツポン達が襲われたのかも」


 このホテルの監視カメラの映像を全て見られる場所に、隠れNPCであるコツポンとサカナは詰めてくれていた。


「予定通り、パーティーごとに別れてロビーに移動しよう。私達は西階段から」

「私達は東階段ね」


 寝る前に、奇襲を受けた場合を想定し、ツェツァと二人で話し合っていたこと。


「行くぞ!」


 フロア丸ごと部屋になっている六階から、西階段を通って六人で下へ。


「言うまでもないだろうが、レミーシャはクオリアの護衛を優先。ノゾミは援護。私とサンヤとヒビキで奇襲する」


 無駄に幅が広い階段を下りながら、段取りを確認。


「――止まれ」


 三階まで来た所で、私達以外の気配を感じ取る。


 サカナ達が居るモニター室は、一階のロビー近く。ちんたらしている時間は無い。


「サンヤ、何か判るか?」

「たぶん、人間じゃないと思う。数は四。でも、その下にはもっと居るかも」


 仕掛けてきたのはプレーヤーだと思っていたが、モンスターまで引き連れて来たのか?


「とっとと突破する。行くぞ」


 敵の姿を視認、獰猛な“マッドハウンド”か。


「ハイパワーフリング――“散弾化”!!」


 階段を転げ落ちるマッドハウンドだが、仕留めきれてはいない。


 すぐに距離を詰めて首を落とす。


 その間にサンヤとヒビキが先へと進み、マッドハウンドの大群と戦闘を開始。


 数が多いものの、今のところ問題は無い。


「“音階”――ド・レ!!」


 打撃武器で、後ろから来るハウンドに対応するレミーシャ。


挿絵(By みてみん)


 二階部分に相当数のマッドハウンドが入り込んでいるからか、一階を目指す私達は挟撃されている形に!


「――古代魔鳥」


挿絵(By みてみん)


 多様学区の依頼で手に入れたという指輪で、クオリアが機械の黒鳥を呼び出す。


「後ろは私とレミーシャで対処します」


 機械の黒鳥が、器用に立ち回ってマッドハウンドを始末していく。


「頼んだ」


「リューナ、一階の数がバカげてる!」


 サンヤからの切羽詰まった声。


「私が減らします――ファイア!!」


 一階と二階の間の踊り場から、二丁の“光線拳銃∞”の最大火力をぶっ放すノゾミ。


 階段と階段前のハウンドを一掃するも、またすぐに埋めるように集まって来る!


「一々相手している場合じゃないな」


 ――反対側から爆発音。ツェツァ達か。


「“三重魔法”、“大海魔法”――マリンウェーブ!!」


 巨大な津波が、階段の前を通り過ぎていく!


「“海水操作”!」


 生き残っていたマッドハウンドの顔を海水で覆い、呼吸を奪って窒息死させたのか。


「ハァー、回復したMPをだいぶ持ってかれましたですの」

「お掃除に時間掛かっちゃいましたー」


挿絵(By みてみん)


 サカナとコツポンの無事な姿。遅れてツェツァ達がロビーに集合。


「乗り込んできたプレーヤーは?」

「マッドハウンドに食い殺されましたよ。おかげで時間稼ぎになりました」


 シルキーのコツポンの説明。


「外にもかなりのハウンド系モンスターがいるみたいですの。このテーマパークエリアを縄張りにしてるっぽいので、早く脱出することを薦めますの」


「二度寝している余裕は無さそうだ。このままSSランクがある最下層まで目指そう」

「その方が良さそうね」


 ツェツァの同意は得た。


「ワロース、コッラ、先行してちょうだい」

「「了解」」


挿絵(By みてみん)


 燕鳥人のワロースと海獺獣人のコッラの二人が、ホテルの外へ。


「リューナ達は後ろで良いわよね?」


 一瞬、クオリアに視線を向けるツェツァ。


 気遣いなのかもしれないが、若干の侮蔑も含まれている気がした。


「――ツェツァ」


 自然と圧がこもる。


「……悪気はないわよ」


「――構いません。ならば、私が敵を引き付けましょう」


 クオリアからの申し出に、私達の方が気圧されてしまった。


「すぐに追いますので、私の事はお気になさらず――“合体”」


挿絵(By みてみん)


 古代魔鳥を、鎧のように纏うクオリア!


 そのクオリアが飛び出し、派手に戦闘をおっぱじめた!


「行くぞ、ツェツァ!」



●●●



 ああいう空気には慣れてる。


 むしろツェツァ様なんて、だいぶ優しい方だ。


 目が見えないという一点のみで、役立たずの烙印を無意識レベルで押しつけてくる輩なんて、腐るほどいるのだから。


 リューナ様とて、私のハンデを欠点だと認識しているでしょうし。


「――“一斉掃射”!!」


 左腕の装身具から神代文字の力を流し込んだ状態で、ミサイルやレーザーを全身から発射――この階層の大通りにいたハウンドを殲滅。


 群れの中に硬いの、たぶんアイアンハウンドも混じってる。


「皆は……」


 大きな階段を下りながら、下へと向かっていた。


「それなら」


 階段へと集まろうとするハウンドを狙って始末しながら、一度上へと向かって引き付けようと試みる。


 このテーマパークと呼ばれていた場所、何重もの階層に別れていて、複数箇所、下まで突き抜けている場所がある様子。


 ――上から、なにかが飛び降りてきた!?


「“古代障壁”!!」


 四角い障壁を作り出し、大型の鋭利なハウンド系と思われるモンスターを――弾き飛ばす!


「“逆三暗黒宮”」


 黒い槍を即座に見舞い、仕留めきる。


 ハウンド達の動きが……鈍くなった?


「さっきのが群れのリーダーだったのでしょうか?」


 ――巨大なプレッシャーに当てられる!!


「……まさか」

《ようやく、退屈せずにすみそうだ》


挿絵(By みてみん)


 空中に佇む、アルファ・ドラコニアン!!


《小手調べだ!!》


 突き出された掌底と連動して、衝撃波が飛んでくる!


「“魔力障壁”!!」


 左腕の装身具、“鬱屈なる感情の発露”に十二文字刻んで――障壁を強化!


挿絵(By みてみん)


「“悪夢魔法”――ナイトメアバットズ!! ナイトメアミスト!! “悪夢魔法”――ナイトメアフェネクス!!」


 蝙蝠と霧の変幻自在な攻撃に念能力のリソースを割かせ――守りの薄いカ所から悪夢の不死鳥をぶつける!!


《……お前、強いな。俺達の能力を把握しているのか? ハハ! 戦いとはこうでなければな!!》


 左腕が酷い状態なはずなのに、覇気が衰えない!


「“化け首・四重”!!」


 文字の力を込めた首だけの化け物で、隙を狙う!


《“双爪”――ハイパワースラッシュ》


 アルファ・ドラコニアンが、武術を使った!?


 化け首が瞬く間に倒される……。


《どうした、こんな物か?》


「――“一斉掃射”!! “六重詠唱”――“悪夢魔法”、ナイトメアフェネクス!!」


 火力と数の暴威を振る舞うも、念の壁に防がれ続けてしまう。


《ハハハハハハ!! 良いぞ! だが、それほどの攻撃、いつまで持つかな!》


 ――動きを止められれば、それで良い!!



「――――“神代の直情”!!」



 出し惜しみ無しの、全力の一撃!!


「ハアハア、ハアハア、ハアハア……逃げられた」


 “立体知覚”で、左半身が消えたアルファ・ドラコニアンの形を直前まで知覚していた。


「クオリア!!」


 リューナ様と……ツェツァ様?


「すみませ……逃げられ…………」


 意識が遠のいて…………。



●●●



《……ククク――“瞬間再生”》


 失った半身を取り戻す。


《鎧まではダメか。まあ良い》 


 まさか、こんな簡単に死にかけるとは。


 さっき、微かにあの目隠し女の名を呼んでいるのが聞こえたな。


《クオリア……クオリアだな。ククククク!》


 俺を殺し掛けた女、クオリア。


《良いぞ――楽しくなってきた!》


おまけ

挿絵(By みてみん)

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