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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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723.不自然な鍾乳洞での戦い

「“振動切断剣”、“周波数王剣”――“稲光瞬足”」


 浮遊剣を掴んだ栗鼠獣人のリリルが、偽エイリアンを切り裂いていく。


「“周波数魔法”――フリークェンシースプランター!!」


 バラバラにした死体に雷を当てて、黒ずみに。


挿絵(By みてみん)


「ま、こんな物ね」


 剣を消して戻ってくるリリル。


 マリサのパーティーと合流してから早数時間。鍾乳洞のような場所をひたすら進んでいた。


「そうだルイーサ、リリルの職業について聞いたか?」


 ユダヤ人のアムシェルに、肩を組まれる。


「職業? 獣人だから戦士じゃないのか?」

「実は、職業を変更できるアイテムを手に入れてな。リリルは魔法使いに憧れてたらしい」


 獣人は戦士にしかなれないから、解らなくはない。


「余計なこと言うな、アムシェル!」

「まあ、リリルの事だから、それだけじゃないんだろう」


 小柄なリリルの頭を、つい撫でてしまう。


「ちょ……気安く撫でないでよ」

「ああ、すまない」


「ツンデレのお手本みたいな奴だな」

「本当だね」

「たぶん自覚ないわよね、アレ」


 フェルナンダ達が何か言っている。


「ツンデレってなんだ?」

「ツンツンしていると思ったら、急にデレる事です。この前、ナターシャさんとメルシュ様がそう言っていました」

「なんだそりゃ?」


 ザッカルとアルーシャも、なんか話してるな。


「もう18時を超えたし、そろそろ休める場所を見付けたいところだけれど」


 金銀の鎧を着た太陽の双剣使い、マリサの言葉には同意だ。


「なら、この広い鍾乳洞は抜けたいな」


 上からも下からも伸びた鍾乳石が、見渡す限り続いている広大な空間。


 天井は元々平坦なようで、高さ六メートル程しか無く、どこも飛行して進むには危険。


「この空間を抜けるには、今のペースですと二時間は掛かるかと」


 マリサの隠れNPC、ネクロマンサーのメフィーからの悲報。


「できるだけ距離を稼ごうとして、墓穴を掘ったか」

「モンスターの大群やプレーヤー同士の戦闘を避けて来たから、仕方ないわよ」

「うん……あれは仕方ない」

「……だな」

「むしろ英断ていうか」

「私、思い出したくもないんだけれど」


 最短ルートを進んでいた際、“コッカローチ”の大群に、密集する巣まで見付けてしまった私達は、ここまで必死に逃げてきた。


 プレーヤーを避けつつ進んだのも、少しでも遠くへ逃げたかったのと、コッカローチを他プレーヤーに駆除して欲しかったからだ。


 まあ、カウンターシステムでポイントを稼ぐ絶好の機会ではあったが。


「姉ちゃん、前に遭遇した時は錯乱してたよね。今回は冷静に対処して偉い偉い」

「姉をからかうんじゃないわよ、まったく」


 アオイとアヤナのやり取りは和むな。


「ていうか、それならルイーサの方があの時よっぽど――」


「おい、やめてくれ! その話はするな!」


 慌ててアヤナの口を塞ぐ!


「ルイーサがこんなに慌てるなんて……いったいなにがあったの?」

「教えてやろうか、リリル? 俺は直接見たわけじゃないが、ルイーサのやつコセによ」

「おい! 本当にやめろよ、ザッカル!!」


 私にとって、コセにゲロをぶちまけたのは人生最大の黒歴史なんだぞ!!


 鎧の形状が変わってなかったら、コセを見るだけで今でも思い出してたかも。


「どんだけ嫌がって――今、大きな水の音がしなかったか?」


 アムシェルの神妙な顔。


「私も聞こえた」

「俺もだ」


 リリルとザッカル、獣人組が肯定。


「ちょうど進行方向からか――じゃあ、ちょっくら行ってみようか♪」

「だな!」


 マリサと私、パーティーリーダー同士が合意したことで、軽く走りながら進んでいく。


「……」

「どったの、リリル?」


 アオイの声?


「……生き返って良かったわね、アオイ」

「……うん、そう思うよ」


 私達が死んだと思っていたリリルと、実際に死んだアオイ……何か思うところがあったんだろうな。


「なんか出て来たな」


 地面から大量の骨が生えてきて――巨大で不気味な人骨に!?


 天井が低いからか、四つん這い状態でこっちを睨んでいる。


「……“蛾者髑髏”」


 何やら実感ありげに、目の前のモンスターの名を教えてくれるメフィー。


「コイツか。私達が遭遇できなかった妖怪モンスターは」

「ルイーサのパーティー、コイツは私達が貰っても良いかな?」


 アムシェルとマリサは、何故かやる気満々らしい。


「……お手並み拝見といこうか」



●●●



「とっとと仕留めるよ!」


 双剣である“レーザーツインエッジ”に、レーザー刃を発生させる。


『ガギャギャギャギャ!!』


 巨大な身体を生かして突撃して来る――進むほどに、鍾乳石と手脚を破損させながら!


「俺がやる!!」


挿絵(By みてみん)


 前に出たのは、赤い一本角を持つホーン族のサレナ。


「“大衝紋”!!」


 サレナがスキルで撃ち込んだ光が蛾者髑髏の頭蓋に命中――蛾者髑髏の巨大頭蓋に匹敵する大きさの魔方陣となる。


「“跳躍”――“二刀流”」


 振りかぶりながら、眼前に飛び出るサレナ。


「“鉄岩鎚術”――アイアンロックブレイク!!」


 “竜殺しの大鎚”と、六文字刻んだ“この力の前にひれ伏せ”による両打ち込みにより、蛾者髑髏の行進が止まった。


 “大衝紋”による打撃攻撃の範囲増加に、衝撃を炸裂させるブレイク系のチョイス。さすがだね、サレナは。


 アテルと一緒に購入した時は野犬のように噛み付いてきて、上手くやれるか心配だったものだけれど。


「“抜剣”」


 アムシェルが、両腰の“ゴイムの奈落鞘”から二振りの魔剣、“ゴイムの願いの魔剣”と“ゴイムの魔なる古代王剣”に九文字ずつ刻みながら抜く。


挿絵(By みてみん)


 さすがに、この状況で“ダーインスレイブ”は使わないか。


「“二重武術”、“逢魔剣術”」


 背を低くし、腕を交差させた?



「オミナスブレイク――“追放”!!」



 ブレイク系の斬撃を交差させながら飛ばし、動きが鈍っていた蛾者髑髏の大部分を破壊してみせるアムシェル。


「骨が来ます!」


 メフィーの言うとおり、派手に飛び散っていた骨が襲い掛かってきた!


「“太陽法術”――ソーラーレイ!」


 私の魔法で、直撃コースの骨を消し去る。


「マリサ、ギルマンに囲まれてる!」


 リリルからの情報。


「水場が近いからか――ギルマンは私とリリルで対処する! 後は任せた!」


「おう、すぐに終わらせる!」

「人使いが荒いリーダーだ」


 アムシェルとサレナの攻撃力なら、任せて大丈夫でしょう。


「“飛剣・連斬”!!」


挿絵(By みてみん)


 私の金と銀の鎧、“覆われし太陽の輪光”に六文字刻み、力を流した“レーザーツインエッジ”をオールを漕ぐように振るうことで――連射性能を高めた斬撃を連続発射!!


 身体の軸を少しずつ左にずらしながら、ギルマンとその上位種を殲滅していく。


「“千狐鳴”! “高周波滅”!!」


 リリルも、問題なく右側のギルマン種を殲滅している。


 さすがに、後ろはルイーサ達に任せるか。


「“三重魔法”――“鉄岩魔法”、“古代属性付与”――アイアンロックバレット!!」


 サレナの魔法が決まり、蛾者髑髏の巨体が見事にバラバラに……だが、まだ再生する兆候があるな。


 死体が消えないという今回のクエストの性質上、再生能力の高いモンスターが実質無敵になっている……なんて事はないだろうな?


「――“腐食土葬”!!」


 粉々になった骨を、地面から湧き出させた土に飲み込ませるアムシェル。上手い!


「行って」


 メフィーが操る“プラズマロイド(ケンタウロス)”が、動けないアムシェルの援護に入り、機械槍を操って骨から守る。


「“怨霊魔法”――エクトプラズムコントロール」


挿絵(By みてみん)


 無数のプラズマ球体をメフィーが操り、飛び回る骨を吸い寄せて“腐食土葬”に次々と突っ込ませていく。


「フー、ようやく片付いたか」

「お疲れ、アムシェル。サレナとリリルも」

「マスター、私は?」


 メフィーの頭を撫でてあげる。


「フフ♪」

「……アレは手に入った?」

「うん。“蛾者髑髏の腕輪”は、確実にドロップするアイテムだから」


 ネクロマンサー固有のスキル、“死霊支配”で強化可能な蛾者髑髏は、メフィーの装備としてぜひ欲しいって話になってたんだけれど、運悪く私達は遭遇できなかった。


 まさか、このクエスト中に手に入れられるとは。


「急ごう。向こうから戦闘音らしき音がする」


 ルイーサ達が前に出て走って暫く、鍾乳石の無い一角と大きな河を発見。


 その河の向こうで戦闘をしているのは――《白面のケンシ》所属の青髪エルフ、ネファークがリーダーのパーティーだった。


挿絵(By みてみん)


おまけ

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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