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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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722.ラブコメ・アンジュレーション

「“二重魔法”、“溶岩魔法”――マグマイラプション!!」


「マジックガイド――ハイパワーカウンター!!」


 魔法を吸い寄せるマジックガイドでタイミングを調整しやくすし、タイミングがシビアなカウンター能力を成功させ――術者を溶かし殺す。


「く、クソ!」


 逃げ出した仲間達も、カプアとリンピョンによって簡単に始末された。


「装備や戦術からして、三十より低いステージの奴等だな」


 後衛であるサトミとウララに付いていた、バルバの意見。


「そっか。格上ばかり気にしてたけれど、今回は全ステージから挑戦できるんだものね」


 Lvによる差は埋まっているが、その他の要因による差があまりにも大きい。


「もう少しでシェルターでしたね。ようやく休めます」


 バルバがマップから気付いた、休息に最適な場所。


「先約が居なければ良いがな」


 私達のように、目を付けた連中が居てもおかしくない。


 金属の通路を進み、階段を発見。


「この先は一方通行の行き止まりだ。気を付けろよ、メグミ」

「ああ、バルバは後ろを頼む」


 盾使いである私を先頭に、長い階段を何度も折れ下り……戦闘音が聞こえてきた。


「あれは……」


 広い空間で戦っていたのは、黒い靄を纏った――キクル達!?



○○○



「シェルターというところに、本当に良い寝床があるのか?」


 階段を下りている最中、人魚のグダラが尋ねてきた。


「拡大しまくったら、それっぽい物が見えたからね」


 バロンの隠れNPC、ミレオが答える。


『シェルターなら、食料なんかもあるだろうか?』


 持ち込んでいる分でなんの問題もないが、入り口がバチカン市国のバチカン宮殿の地下だったから、珍しい保存食があるかもしれない。


『できれば、ガルムとかの調味料が欲しいな』


「ガルムとはなんですか、キクル様?」


 ヒョウカに尋ねられる。


『魚で作る、ローマの伝統的な魚醤らしい』


 ある日知って興味が湧いたけれど、その辺のスーパーに売ってなくて未体験なんだ。


「キクル様、奥から声が」


 ホーン・メイドのディアが、階段の終わり手前で教えてくれた。


『さてと』


 階段の先、広いドーム状の空間へと足を踏み入れる。


『グルルルル』


『熊?』

「“グラップラーベアー”です。対人戦闘に秀でています」


 ディアからの情報。


『人の声は、奥の建物か』


 天井までくっついた、黒いビルみたいな六メートル程の建物……地下基地内に建物?


「指輪モンスターの見張りだろうね」


 ミレオの断定。


「キクル様、私がやります」

『いや、ヒョウカは建物から出て来る奴等を頼む。グダラ、派手にやってくれ』


 おびき出してもらわないと、シェルター内が使えなくなるからな。


「行くぞ――“回遊魚雷”!!」

『グル?』


 全ての魚雷が命中……グラップラーベアーは、なんの抵抗もせずに爆散した。


「対人戦に優れてはいますが、人間離れした攻撃には弱いんですよ、あの熊」

『……そうか』


 知らないモンスターだったから、動きとか見たかったのに。


 ビルの重厚な扉がスライドし、中からプレーヤーが出て来る。


「――紫電」


 “抜刀術”による連続切りで“不意打ち無効”の守りを突破。そのまま人魚の男を始末するヒョウカ。


「容赦ないな、ヒョウカは」

『同盟相手なら殺せないからな』

「いや、そういう事じゃなくて……まあ、良いけど」


 グダラが呆れている?


「――行きな」

「やめ――」


 半裸の男が突き飛ばされてきて――ヒョウカに斬り殺された。


「――“呪縛の悪手”」


 ヒョウカの腰に手を回し、間一髪で引き寄せに成功。


 一歩遅ければ危なかった。


「ありがとうございます、キクル様」


挿絵(By みてみん)


 抑揚のない声で礼を言う雪女……無表情なのに、本当に綺麗だな。


「“竜化”しなさいよ、使えない奴ね!」


 ヒョウカを襲ったのは人魚の女……得物は斧か。


挿絵(By みてみん)


「へー、珍しいね。男一人に女四人のパーティーとは」


 出て来たのは男が四人で、種族はバラバラ。


 あんな扱いを見せられた後なのに、男達に不満の色が無い……どころか、俺だけに敵意を向けている?


「ボアドラ様、アイツを新しいハーレムに加えるのですか?」


 ……ハーレム?


「落ち着きなさい。一人減ったから、面しだいでは加入させたいところだけれど、クエストが終わったらどうせ離ればなれだもの――今夜くらいしか相手しないわ」


 あの女が喋るほど――鳥肌がヤバい!


「ねー、仮面を外して見せてくれない?」

『……良いだろう」

「キクル?」


 仮面を外し、火傷跡を晒してやる。


「……――あら、良いじゃない! その顔の怪我、男の勲章って感じで素敵よ♡!!」


 なんなんだ、この色ぼけ人魚!? 気持ち悪い。


「あの人魚、少しは男を見る目があるようだな!」


 何を言ってるんだ、グダラ?


「ですね」

「確かに」

「業腹ですが」


 ディアにミレオにヒョウカも、なんなんだこのノリ?


「良いね、明日にはお別れなのが残念だよ――“恋愛波動”!!」


「まずい、あれは!!」


 なんだ? デカいピンクのハート型の何かが、女人魚の頭上に出現して――


『――なにが!?』


 思考が、グチャグチャになっていく!!


「さあ、私の虜になりなさい。キクル」


「どうしたの、キクル!」


 グダラの声が……変に聞こえる。


「SSランク、“ラブコメ・アンジュレーション”。装備者の異性を虜にする、“恋愛支配”の力を持っている!」


 恋愛……支配? ……なんだよ、それは。


「さあ、来なさい。私の――恋の下僕ちゃ~ん♡」


 女人魚の姿が歪んで、別の女の姿に見え――



「――ぅおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



「な、なに!?」


 腰の“悪運のクリス”を掴み――左太股に深々と突き刺す!!


「――あんな女の幻影で、俺を惑わそうなんてッ!!」


 こんなに憎悪が滾ったのは、いったいいつぶりか!!


「キクル、何をして!」

「グダラ――お前らは手を出すな」


 この女だけは、俺が絶対に殺す。


 何度も殺してやりたいと思った女の幻影――母親の幻影を貼り付けたクソ人魚は!!


「――オールセット3」


 右腕に、俺のSSランク――“カース・オブ・オーガントレット”を装備する。


挿絵(By みてみん)


「た、たまに居るのよねー! 効くのが遅い男ってさー!」


 取り巻きの男達が、前に出てくる。


「こんなクソみたいな精神支配に屈したこと――あの世で後悔しろ!! ――“呪縛支配”」


 黒い靄を、右腕の濃紫のガントレットから俺の全身に――武器にまで纏わせていく。


「“魔炎”!!」


 紫炎の玉、連なる浮遊する蛇を生み出し――“呪縛支配”の靄を纏わせる。


「こんなもんで! ハイパワーアックス!!」


 斬られた“魔炎”の炎と呪縛の靄が、男に纏わり付く。


「た、助け!」


 “呪縛支配”の応用で、混ぜた炎もある程度は操作できる。


「“毒玉発射”」


 呪いを混ぜた毒玉を、四人の男達に数発ずつ当てる。


「この程度の毒なんて、耐性が高けりゃ!」


 “呪縛支配”の靄は、風で簡単に散らされる。だから混ぜて使う。


 この弱点のおかげで、前の持ち主を倒すことができたんだけれどな。


「身体が……重い」


 “呪縛支配”の呪いは、浴びれば浴びるほどステータスを下げるデバフ能力。靄そのものに殺傷能力は無い。


「“猛毒魔法”――ヴェノムウェーブ!!」


 呪いを混ぜた毒液の波を放つ!


「――“魔断障壁”!!」


 さすがに良いスキルを持っているな、あの女!


 だが、取り巻き連中はこれで動けないはず。


 ――また思考が! 身体が足の痛みに慣れてきたか……――どうせ見えないんだ。


「――キクル!!!?」


 左眼を短剣で突き刺し、脳髄に怒りと憎悪を刻み込む!!


「な!? ……い、逝かれてるわよ、アンタ!」


「男に依存するような女なんかに」

「はあ? 私は依存なんて!!」


 頭が、ボーッとしていく――憎しみ以外の感情が希薄になっていく。


 ――“紫幻の悪夢を食らい尽くせ”に、十五文字が刻まれる。


「こ、来ないで!! “猛毒の薔薇”!!」


 黒に近い紫の薔薇が生まれ、踊り迫ってきた。


「――“神代の斧”」


 瞬時に切り刻む。


「に、逃げ……逃げなきゃ」


 女が背を向けた瞬間――肩から脇腹まで、一気に切り裂いた。


「…………」


 薔薇……そういえば、この女とユウコのやってたことは、大して変わらないのか……。


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