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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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707.業の集い

「――吹雪脚!!」


 “吹雪の卓越者”に進化させたサブ職業のスキルを使用――“偽エイリアン”の顔面を蹴り抜いて凍結粉砕。


「フー、水槽から出て来た時はビビったっす」


 偽エイリアン入りの培養槽が乱立していた巨大空間の隅に、サンヤが腰を下ろす。


「死体が消えないせいで、そこら中、奴等の体液だらけですね」


 不快そうなヒビキ。


「とっとと、ここを離れよう」


 少し前辺りから、エリアの様相が不気味な物に変わりつつある。


「……なんだか、腐臭がしますね」


 クオリアの指摘。


「どうやら、まだまだ休めそうにないな」


 少し歩くだけで一層腐臭が酷くなり、血生臭い感じも強くなる。


 次第に、牢屋のような格子で区切られた部屋へと辿り着く。


「……これ、本物ではありませんよね?」


 ヒビキがサカナに尋ねる。


「ええ、()()()()()()()


 黒く濁った血肉がそこかしこに散乱しており、かろうじてそれが人だったと認識できる程度には原形を留めた死体がそこかしこに。


 原型を留めていない物を含めれば、いったい何十人分の血肉でこの空間を穢しているのか。


「……」


 天井から垂れ下がったフックに、上半身と左腕だけがかろうじて残った子供の焼死体。鎖で壁に貼り付けにされ、心臓に杭を打たれて亡くなっている、おそらく女性の腐乱死体。首を切断された、半ば白骨化している大柄の死体。


 一番多いのは、子供の死体だろうか。


「なんか、凄い憎悪を感じる殺され方だね」


 サンヤには、そう見えるらしい。


「私にはむしろ、残虐行為に悦楽を見出している連中の仕業に見え――」


 通路奥から、腐肉の人間が集団で現れる。


「リューナ様、牢からも」


 クオリアの言うとおり、腐肉の山から“ゾンビ”が這い出て来た。


「とっとと片付けるぞ!」


 さほど手こずらずに駆除し終えるも、死体が消えないのもあって精神的負担が大きい。


 休むにしても、ここでは生理的に無理だ。


 常軌を逸したサイコパスやソシオパスでもなければ、この空間に留まるなど不可能だろう。


 腐肉の匂いがしなくなって暫く、かなり広大な空間に出る。


「フー、ここは空気が綺麗だな」


 地下エリアに入ってから暗い場所ばかりだが、ここも随分と暗い。


「ここは……駅なのか?」


 こんなところに電車があるだと?


「あそこに6って書いてあるけど、6番駅ってこと?」


 線路の上部に番号が書かれたプレートを見て、推測するサンヤ。


「というより、エリアの番号を現しているようですの」


 線路手前にあるコンソールを見ながら、そういうサカナ。


「十二あるエリアの6番て事か」

「ええ。どうやらこの地下鉄、パーティーごとに一度だけ、隣のエリアに移動できるようですの」

「つまり、5番か7番エリアに移れると?」

「ええ、正解ですの」


 ルールで、同じレギオンのパーティーは同じエリアに配置しないと言っていた。


 SSランクを入手できる数は減るが、他エリアに移って合流を図るのも一つの手か。


「音が……」


 クオリアに一瞬遅れて、列車の音が近付いてくる事に気付く!


「誰かがエリアを移動してきたのか!」


 急いで身を隠す。


 列車は、向かいの線路に止まる。


「アテルは見付けたら任せるって言ってたけれど、本当に良かったのかしら?」


 聞き覚えの無い色っぽい女の声だが、下りてきた連中からアテルの名が出た?


「適当なようで、アイツの読みは当たるわ。現に、この列車の存在も予見してたじゃない」


 この声は――


「ツェツァ!!」


 線路の向かいにいる親友であり戦友であり、共犯者であり、恋人だった女性に声を掛ける。


挿絵(By みてみん)


「……リューナ」



●●●



「他エリアに移動できる地下鉄か」


 どうやらここは、12番エリアらしい。


「どうします、マスター?」


 サキに尋ねられるも、困ってしまう。


「私達が配置された場所が、私達にとって都合の悪いエリアである可能性はあるけれど……」


 とはいえ、既に同じレギオンメンバーが居るエリアに移動してしまったら、せっかくのSSランクを手に入る機会を一つ潰す事に……。


「へぇー。エルフでもないのに、こんなに美しく神々しい女性がいるとはね」


 別のルートからここに辿り着いたのか、四人の女性を率いた金髪ロン毛のエルフが私を見ている。


挿絵(By みてみん)


「――マスター、あの男が手にしているのは!!」


「うるさいよ――不細工ちゃん」


 エルフ男が小槌を振り上げた瞬間、雷が走り――サキが肩を押さえて倒れた!?


「サキ姉!!」


「まさか……SSランク」

「頭の良い女性は好きだよ、僕はね」

「マスター、アレは1番目のSSランク――“ケラウノス・ミョルニル”です!」


 アレが、この世界で最初に生み出されたSSランクというわけ――面白い。


「なら、予定より一つ多くSSランクが手に入るな」


「言ってくれるね、僕の女神よ」

「誰がお前なんかに」

「ジュリー姉! 後ろからも来てる!」


 クレーレの叫びに後ろに注意を向けると、そこにいた一団は――


「アイツは……《カトリック》の」


 私の動きを封じて、悪魔モンスターの囮にしてくれた白フードの眼鏡魔法使い!


「おやー? なるほど、そういう状況ですか」


 いやらしい笑みを!


「クレーレ、後ろは任せる! 殲滅しだい私の援護を! エリーシャはクレーレの援護! サキ、遊撃は任せた!」

「ジュリー姉、SSランク相手で大丈夫? 替わった方が良くない?」


「悠長に喋って、僕を無視しないでくれよ!」


 クレーレを狙った雷の槍!


「――“避雷針”!!」


 エルフ男の雷を、“避雷針の魔光剣”に引き寄せて封じる!


「私を無視するなよ、優エルフ」


「では、外野は無視して一緒にダンスを踊ろうか。女神殿」


 気持ち悪いやつ。



●●●



 アイツを抑えるなら、私よりジュリー姉向きか。


「――“雄大なる悪魔神の夢”」


 手加減なんてしてる場合じゃない――一気に終わらせる。


「“悪魔支配”!!」


 黒肉の鎧から、“アバター”を大量に出現させて襲わせる!


「コイツ、まさかSSランク持ちか!?」

「落ち着きなさいよ――装備セット2」


 眼球付きの白い杖――アレは!


「“停止視眼”!!」


「バーカ」


 アバターを視線に紛れ込ませて、身代わりになってもらった。


「クソ獣人が!」


 こういう奴のせいで、ヴァルカお義父さん達が異世界人嫌いになるんだ。


「今の言葉――ちゃんと償ってよね」


 私の最強の力で、まとめて潰してあげる!!


「“三連瞬足”――“悪魔大地剣術”、デビルグランドブレイク!!」


 明後日の方向から急接近してきた男が使ったのは――ギオジイ達の共鳴剣じゃなきゃ使えないはずの!!!?


「ぁ……がぐ」


 受けた右腕はちゃんと残ってるけれど……クソ痛いしッ!!


「おお! レギオン、《スーパー・サタニズム》の!」

「ウォルターさんの仲間だ!」

「助けに来てやったぜ、《カトリック》!」


 コイツら、仲間なのか。しかも、たぶん同盟を結んでる別レギオン。


「これ、ちょっとまずい?」


 SSランクを持っているかもしれない相手含めて、十人を私一人で相手しなきゃいけないのか。


「ハ! 私のSSランクは、お前らなんかに負けないし!」


 ジュリー姉達は――家族は、私が守る!!


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