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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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701.第三回大規模突発クエスト・地下エリアの機能を停止せよ


○第三回大規模突発クエスト開催日のお知らせ。


○クエスト開始日時は、四日後の9月1日、午前04:11。


○クエスト終了時間は、9月4日の午前04:11。



「まさか、参加締め切りと同時に開催日の通知とは」


 読みが当たっていたな。


「四日後と言っていますが、実質三日ですね」


 トゥスカが緑茶を煎れてくれる。


「三日なら、当初の予定通り、五十ステージに留まって色々調整した方が良いな」


 メグミの体調も、少し気になるし。


「あ、トゥスカ。コセさん」


挿絵(By みてみん)


 狸獣人のカプアが、髪を下ろした状態で現れる。


「どうかしました?」

「いえ、お風呂頂いたんですけれど、ウララ様達が見当たらなくて」

「二人なら見てませんよ」


 それだけ言ってキッチンの方に居なくなるトゥスカ……今、笑ってた?


「……」


 カプアが隣へとやってくる。


「カプアさん?」

「……私達って、夫婦ですよね?」

「え? まあ……そうですね」


 婚姻の指輪のために、式は挙げてるし。


「じゃあ、その……責任、取って貰えますか?」


「…………良いんですか? 責任とって」

「……はい、良いです」


 なんだ、この空気感。


「「…………」」


「もう、そのままベッドに行けば良いのでは?」


 トゥスカが盗み見てる!


「あの、さすがに下品じゃ……」

「カプアから、微かに発情した雌の匂いがしましたよ」

「ちょ!?」

「ご主人様は、食前にお風呂入ってましたし」


 うん、もどかしい。


「カプア、俺が責任取っても良いって事だよな?」

「……はい♡」


 クールなカプアのデレ顔は、凄い爆発力!


「よし、行こう」

「キャ!?」

 

 彼女をお姫様抱っこし、廊下側の扉へ。


「お茶は、私が片付けておきますね」

「頼む!」

「あ、あの……」


 俺の腕の中で、目をそらしているカプア。


「ダメですか?」

「…………良いです♡」


 誰にも見られないよう、カプアを急いで自室に連れ込んだ。



●●●



「――“飛王剣”!!」


 神代文字を九文字刻んだ状態で放った斬撃で、竜王の一体を葬る。



○戦士.Lv82になりました。サブ職業セット機能が+1されます。



「ようやくLvが上がったか」


 これで、サブ職業のセット機能が三つになった……けれど、サブ職業セット機能ってまず使わないからな。


「残り二日、今日と明日でもう1Lvくらい上げたいところだけれど」


 ドラゴンの経験値は高いらしいから、なんとか間に合うだろうか。


「ご主人様」


 地上に戻ると、一緒にドラゴン狩りに来ていたトゥスカに呼ばれる。


「あれ、エトラ?」


 トゥスカとメルシュと一緒に、何故か彼女の姿が。


「どうしたんだ?」


 コトリ達の姿も無いし、エトラ一人で危険な地上に出て来たのか?


「少し頼みがあって……もし、私の前のレギオンの仲間に会ったら、敵対しないで欲しいとレギオンメンバー全員に周知して貰いたいんだ」


 全プレーヤーが自由に参加し、鉢合わせる可能性のある第三回大規模突発クエスト。


 生き残ったかつてのエトラの仲間と、レギオンメンバーが接触する可能性はなくはないか。


「……もし相手が襲ってきたり聞く耳を持たなかった場合、正当防衛を認めてレギオンメンバーを()()()()。それが約束できるなら周知しても良い」

「それは……」


 俺の発言の意図を読み取れたからこそ、複雑そうな表情のエトラ。


「ご主人様の提案、どう思います? メルシュ」

「私の分身である隠れNPCと使用人NPCには詳しい特徴を教えて、それ以外にはエトラのお願いだけを教える。てのが、()()()()じゃないかな」


 下手に特徴を教えて、エトラの仲間を手に掛ける事を躊躇わないように……という配慮か。


「いや……だが」


「《真竜王国》のメンバーの名前と外見的な特徴、装備の傾向を事細かに記憶できるなんて、NPCくらいだよ」


 エトラの仲間探しに皆の思考を削がれるのは、余計な危険を呼び込む事になるだろう。


「……解った。誰も恨まないと約束する」


 エトラは、決して浅慮ではないんだよな。


「私の我が儘を聞いてくれてありがとう、コセ」

「……ああ、うん。どういたしまして」


 エトラとはあんまり喋った事ないから、礼を言われる日が来るなんて考えもしなかった。


「……今、誰かの悲鳴が聞こえたような」


 トゥスカの不吉な報告。


「コセさん!」


 猛スピードでやって来たのは、カプア!


「メグミさんが倒れました! 手を貸してください!」

「解った!」


 この状況、メグミはもしかして……。



●●●




○戦士Lv83になりました。以下から一つを選択して入手できます。


●剣極の宝飾剣 ●槍極の宝飾剣 ●転剣極の宝飾剣

●盾極の宝飾剣 ●銛極の宝飾剣 ●斧極の宝飾剣

●棒極の宝飾剣 ●爪極の宝飾剣 ●甲極の宝飾剣

            :

            :



 あっという間に二日が経ち、第三回大規模突発クエストの日を迎える。


「なにも、こんな早朝に開始時刻を設定しなくても良いのにな」


 欠伸をしているルイーサの背後には、レギオンメンバーが全員集結済み。


「聞いてくれ――全員、生きて帰って来るのが第一目的だ。SSランクは二の次。最悪、クエストは失敗扱いでも構わない!」


 とは言っても、全員がSSランクを手に入れる気満々なんだろうけど。


「コセ!」


 モモカが駆け寄ってきた。


「三日後には会えるから、良い子で待っててな」


 大規模突発クエスト中、突発クエストが起きないのは幸いだ。二人を安心して残していける。


「それじゃあ、モモカとバニラのこと、頼んだよ」

「お任せを、大旦那様」


 この三日で各々が用意した、AIチップ未使用の使用人NPC達に、モモカとバニラを託す。


「ウサリーレ、モモカとバニラの面倒を見るんだぞ」

『……私の仕事は子守だと思っていないか? ジュリー殿』


 見た目、可愛いのにダンディーな声だな、ウサリーレ。


「そろそろ時間だよ、みんな」


 メルシュの言葉に、全員の視線が俺に集まる。


「三日後には、全員ここに帰って来られるように――行くぞ!」


「「「「おう!!」」」」



○クエスト開始時刻になりました。参加者の一斉転送を開始します。




●●●



 転送が終わり、目を開け――


「…………なんだこれ」


 ご主人様の、呆然とした声が耳に届く。


「凄く大きな建物が、そこら中に建てられていますね、ご主人様」


 高い建物の上から、不思議な街並みを見下ろす?


 “多様学区”に似た感じがある物の、なんというか……凄く歪な雰囲気と、淀んだ空気の匂い。


「……ご主人様?」


 私の言葉に、返事を返してくれないご主人様は珍しい。


「コセ坊、どうかしたのかい?」

「……ここ、東京だ」

「トーキョー?」


「俺が――生まれた国の首都だ……」


「へ?」


 こんな穢らしい空気漂う都市が……ご主人様の生まれ故郷?


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