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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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698.魔神・祖霊鏡

「ハアハア」

《ねー、いつまで逃げるの~》


 私の“ドッペル”が、“光線拳銃∞”で襲ってくる!


《臆病で逃げてばかりのノゾミちゃ~ん》



「――ああ、うるさいなー」



 逃げるのをやめ、鏡の柱から姿をさらけ出す。


《ようやく化けの皮が剥がれたわね、ノゾミちゃ~ん》


 違う。ただ私は、私以外の誰かがいる前では、自然と気弱で大人しい人間になってしまうから……。


「私の顔で、アホ面を見せるのはやめて」

《アンタはもうすぐ死んで、私がアンタになるんだから、何も問題無いでしょう?》

「ドッペルは、装備を変更する事はできない」

《なのに、アンタは仲間に教えてあげなかった。やっぱり恨んでるんでしょう、自分を見捨てて置いていったエリューナ達を》


 私のくせに、ペラペラとよく喋る。


《いったい何人が、アンタのせいで今頃死んでるのかしらね、ノゾミちゃ~ん》

「――別に、この程度で死ぬならそれまででしょう」


 臆病なのも、気が弱いのも嘘じゃない。


 ただ私は、一人にならないと反抗的な側面を出せないだけ。


「装備セット2」


 銃を左手に持ち替え、右手に水晶の鞭――“透き通る水晶の翳り”に持ち替える。


挿絵(By みてみん)


《なに? ノゾミちゃん如きが、私を殺そうって言うの?》

「嫌いなのは――弱くて醜い私自身よ!!」


 “透き通る水晶の翳り”に、六文字刻む!!


 向こうに“熾天使化”と“堕天化”がある以上、光と闇の単一属性攻撃は無力。


《“重力魔法”――ヘビープレッシャー!!》

「“八咫鏡”」


 楕円形の鏡を呼び出し、頭上から迫る重圧を反射させる!


《無駄無駄――“八咫鏡”》


 更に跳ね返してきた。


「――来なさい」


 “魔物契約”してあった“守護戦士”を使い捨ての盾にして防ぎ、私から接近する。


「“水晶鞭術”――クリスタルラッシュウィップ!!」


 私なんかに、反撃の隙は与えない!


《“守護障壁”》

「“絡め取り”」


 障壁を迂回させ、ドッペルの足首に巻き付ける。


「“熾天使化”」


 強化された身体能力に任せ、自分の偽物を思いっきり――壁や柱に叩き付け続けていく!!


「“石像化”で耐えたって、苦しみが増すだけなのに」


 ガーゴイルのサブ職業、“魔除け像”に含まれるスキルの一つで、動きに制限が掛かる分、肉体の耐久力を四倍にするスキル。


《じ、自分の顔が……潰れてブッ!! アンタ、おかしいんじゃない――ブゴッ!!》

「私の偽物なら分かってるでしょう? 私がこの世で一番嫌いなのは――私自身だって」


 何度リストカットしただろう。何度自殺未遂を繰り返しただろう。


 でも結局、我が身かわいさでいつだって中途半端。


「でもありがとうございます――――私に、私を殺す機会をくれて」

《ハハ……どういたしまし……て》


 何十回目か分からないけれど、床に頭から叩き付けた際に、今までとは違う鈍い感触を感じ取った。


「……ハー、スッキリした」


 いつの間にか、水晶の鞭には九文字が刻まれている。


「さて、帰りましょうか」



○“光線拳銃∞”を手に入れました。




●●●



「第四十九ステージのボスは、魔神・祖霊鏡(それいかがみ)。弱点属性は火だけれど、光属性を含む攻撃は全て反射するよ。有効武器は杖と銃以外の全て。危険攻撃は、全身の鏡からなだれでるモンスターパレード」


 なんか、今までと随分違う。


「ステージギミックは、浮遊する無数の鏡。鏡も光属性を含む攻撃を反射するうえ、鏡に映り込んだモンスターが攻撃を仕掛けてくるから気を付けて」


 もしかして、今までで一番強い魔神なのでは?


「じゃ、お先」


 最初はSSランク持ちのサトミさんのパーティー、次は“レギオン・カウンターフィット”を持ったユリカさんのパーティーが挑む。


 向こうでの奇襲対策に、SSランク持ちが居るパーティーが最初に挑み、次のパーティーは素早く魔神を倒して、できる限り早く前のパーティーと合流する。というのが、《カトリック》襲撃からの決まりになりつつあった。


「……次は私達の番か」


 コトリの様子、“ドッペル”との戦闘後に合流してから少しおかしい。


 私もだけれど、自分自身との戦いに思うことが多かったのか、大怪我した人や気落ち、雰囲気が少なからず変わった人達が何人も居る気がする。


 そのため、本来は昨日のうちに行うはずだった魔神戦が、今日の早朝にずれ込んだ。


「……コトリ、魔神戦は私に任せて貰えますか?」


「ケルフェが?」

「ユニークスキルを試す良い機会かと。皆は私のサポート。エトラとタマモは、隙を見て攻撃してください」

「うちはええよ」

「私も構わん……」

「二人がそう言うなら……」


 エトラも調子が悪そうだ。


「では、行きましょう」


 ユリカさん達のボス戦後、私達のパーティーがボス部屋へ。


 奥の空間で青紫色のライン光が灯り、天井から光が注がれた瞬間に浮き上がる!


「アレが、魔神・祖霊鏡」


 妖しくも美しい鋭利な鏡が、角張った多面体の青い岩を覆っているようだ。


「さっそく来たよ、ケルフェ!」


 魔法陣が四つ展開され、青白く染まっていく。


「“連盾障壁”、“魔力障壁”――“障壁支配”」


挿絵(By みてみん)


 障壁系スキルを連続発動し、ルイーサさんから譲られたユニークスキルの力で――部屋の一面全てを覆うように巨大化!! 全ての“鏡面魔法”を受けきる!


「まだまだここから!!」


 右腕の刃が生えた小盾、“貫けぬは剛直なる魂のごとく”に九文字を刻み――三重の障壁に力を流し込みながら、そのまま前へ!!


「行ける!」


 ステージギミックの浮遊する鏡諸共、部屋の奥へと巨大障壁を押し込み続ける!!


『――――モンスターパレード』


 魔神の全身の鏡に色んなモンスターの顔が浮かび上がり――外へなだれ出てきた!!


 バーバリアン、ワーウルフ、ホブゴブリン、ワイバーン、紫鬼、デュアルアンチゴーレム、マッスルリザードマン、ワイルドイーグルに、その他もろもろと数え切れない程の数!!


「――クッ!!」


 モンスターの圧力に押されて、これ以上押し込めない!


「――舐めんな!!」


 鋭利な愛脚甲、“蹴り飛ばせぬは剛直なる魂のごとし”にも九文字刻み、障壁表面を無数のスパイク状に変化――モンスターの身体を引き裂きながら、更に前進!!


 とうとう魔神を、モンスターごと奥の壁まで追い詰める事に成功ッrs3jh!!


 ――私の限界が近い!!



「“砂鉄盾術”――――アイアンサンドバッシュ!!」



 “魔力障壁”と“思念障壁”を解き、“連盾障壁”から武術をゼロ距離発動!!


 魔神の肉壁となっていたモンスターの大半は死に絶え、魔神の鏡に亀裂を確認し……――


「クッ!!」


 さすがに、無茶をしすぎましたか。


「“六重詠唱”、“竜顎法陣”――“灰燼魔法”、アッシュブラスター!!」

「“ホロケウカムイ”――“三重魔法”、“桜火魔法”、フレアブロッチェブラスター!!」


 エトラとタマモの魔法が直――二度目のモンスターパレードで、魔神へ直撃しているのは僅かに!!


「……まずい」


 魔神が魔法陣を展開しだしたのに――私の身体が動かない!


「――“閃光の如き生き様”」


 魔法陣を、一筋の光が突っ切っていった?



「“英雄が如き死に様”――“二刀流”、“殴打撃”!!」



 魔神・祖霊鏡を砕き壊した先で佇んでいたコトリの手には二本の金棒、神代文字が刻まれた“生き様を視ること死に様の如く”と、“鋼鳥の狂群”が。


「おいしいところ、持ってかれちゃいましたね」

「……」

「コトリ?」


 いつもの軽口が返ってこない。


「ケルフェ……後で、私の話を聞いてくれる?」

「……ええ、良いですよ」


 コトリから感じた悲壮な決意に寄り添いたい私と、小さな悦を見出している自分がいた。



○おめでとうございます。魔神・祖霊鏡の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★祖霊鏡の魔産鏡 ★鏡面魔法のスキルカード

★光線魔法のスキルカード ★祖霊鏡の欠片群


○これより、第五十ステージの【竜王の御霊山(みたまやま)】に転移します。



おまけ

挿絵(By みてみん)

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