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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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697.苦悩を噛み締めて

「ハァーぁ、まだ眠い」


 早朝、大きなあくびをするサンヤ。


「さて、ここからが鏡の城の後半戦か」


 全体が鏡で出来た城のような場所だが、鏡の迷宮殿に比べると綺麗で、淡い光を放っているように見える。


「昨日の幻とは違った意味で、また混乱する場所だな」


「メルシュさんの言うとおり、ここで光属性の攻撃は避けてくださいね」


「“光線拳銃∞”がメインのノゾミに言われてもね~」


 サンヤ、随分リラックスしてるな。「なんとかっす!」て言わないのがその証拠。


「なんか出たな」


 淡い光の玉に、光の手が随行している?


「“フォトン・ゲイザー”です!」


 そう言うなり、ノゾミが前に躍り出た?


「――“熾天使化”」


 “フォトン・ゲイザー”が光線を放ち、それが鏡に当たって乱反射――ノゾミが自分を盾にして防いだ!?


 “熾天使化”したら光属性単一の攻撃が効かないとはいえ、無茶をする。


「“堕天化”」


 纏う白光の羽毛の翼を黒く染め、チャージした“光線拳銃∞”から放たれた“魔力光線”までもが黒い。


 私をオカマ女から救った攻撃もアレか。


「フー……じゃあ、進みましょうか」


「ああ」

「あんがと、ノゾミ」

「助かりました」

「いえ、どういたしまして」


 暫く鏡の一本道を進むと、初めて鏡でないプレートを見付ける。


「サカナ、これはなんだ?」

「ネレイスと呼べとあれほど……クッ! そのプレートは、正しい道順ですの!」

「道順?」

「目の前の部屋内を、鏡の柱を頼りに道順通りに進んで、入り口から出る。それで初めてここを抜けられるんですの」


 謎掛け要素は意外と久し振り。


「プレートの絵は、真上から見た図かぁ……判っちゃえば簡単そうじゃん。この二つの丸が柱っすよね~」


 サンヤが一人で行ってしまう。


「……普通に戻って来たっすよ?」

「じゃあ、失敗ね」

「ええ? ちゃんと通ったつもりだったのに」

「全部鏡で出来ているから遠近感が狂う上、フェイクの柱まであるんですの。視覚に頼るとクリアは難しいんですのよ」


 楽勝かと思ったら、意外と難関。


「フェイクの柱? 円柱は二つしか無いようですが」


 目が見えないクオリアが、なんてこと無いように発言。


「分かるのか?」

「はい。先程サンヤ様は、円柱の手前を曲がって戻ってきました。道順はあれで合ってます?」

「ええ、おそらく合ってますの」

「クオリア、先導を頼む」

「分かりました」

「念のため、手を繋いだ方が良いかと」


 レミーシャの提案で、七人で手を繋ぐことに……なんか恥じかしい。


「あ!」


 道順通りに部屋を出ると、いきなり真っ暗に!


「気を付けて! この先は一対一の戦闘です!」


 レミーシャの叫びの直後、再び鏡の部屋の中で佇んでいた。


「一対一……そういう事か」


 私とまったく同じ姿、装備の女が目の前に現れる。


「お前が、滞在ペナルティーで戦う“ドッペル”か」


《お前を殺して、私が本物になる》

「偽物という自覚はあるのか。面白い」


 自分と戦うという行為には、少し興味があった。


「行くぞ!」


 “終わらぬ苦悩を噛み締めて”に九文字刻み、斬り掛かる!


「なに!?」


 コイツの“終わらぬ苦悩を噛み締めて”にも、九文字が刻まれているだと!? 


 まさか、“ドッペル”が神代文字まで使えるとは!


《“吹雪魔法”――ブリザードトルネード》

「“逆さ立ち”!」


 重力を逆さにし、天井に急速落下して避ける!


「“超噴射”――“業王脚”!!」

《“瞬足”》


 チ! さすがに、攻め方が大雑把すぎたか。


《直線的だな。攻撃の組み立ても雑そのもの。なにを焦っているんだ、リューナ?》

「私を気安く愛称で呼ぶな、偽物」

《私は、お前よりも強いのにか? ――“神代の剣影”》


 剣に十五文字刻んだだと!?


「クソ!」


 青白い剣の鞭を、後退しながら避け続ける!


 コイツの能力……私にできることは、全て奴にも出来ると思った方が良いか!


《ハイパワーフリング――“散弾化”》

「ハイパワーフリング――“巨大化”!!」


 奴の“自在玉”の範囲攻撃を、巨大化した“自在玉”で防ぎきる!


「スー――オールセット2」


 左手にもう一振りのシャシュカ、“青き月光で雪原を照らせ”を握って二刀流に。


挿絵(By みてみん)


《くだらぬことを》

「どうした、お前も装備を変えれば良いだろう」

《……》


 コイツ、コピーした状態の装備以外は持っていないのか?


 なら、案外どうとでもなりそうだな。


「“六連瞬足”」

《“心霊術”――ポルターガイスト》


 “散弾化”した“自在玉”を操って――おい、私が使ったことない戦術だぞ!


 “終わらぬ苦悩を踏み締めて”に十五文字刻み、加速してできる限り避ける!


「――クロススラッシュ!!」

《“六連瞬足”――“吹雪剣術”、ブリザードブレイド!!》


 躱された上に、背後に回り込まれて――


「――“瞬脚”」


 横加速で、余波の冷気を腕に浴びるに留める!


「“稲光瞬跳”!」

《“疾風迅雷”》


 刃は惜しくも届かず、距離を取られた。


「“吹雪魔法”――ブリザードバーン!」


 地面を凍らせる!


《「“空遊滑脱”」》


 互いに空中戦へと移行――激しい剣戟へと発展! 殴打も交え、少しずつダメージを蓄積しあう!


《パッチンラップ》


 身体に衝撃が走り、動きを止められてしまった!


《さようなら》

「――“幻影”ッ!!」


 間一髪、幻影で避け切る!


「“衝脚”!!」


 蹴りは腕でガードされるも、距離は稼いだ!


「“神代の剣”――“二刀流”、ハイパワーブレイド」

《“神代の剣”!!》


 巨大化した刀身を振り下ろすも、ギリギリで受け止められてしまう――が。


「ポルターガイスト」


 二振りのシャシュカを、武術のエネルギーを維持した状態で固定。


「“三連瞬足”」

《しま!?》


 脚に刻んだ神代文字より練り上げた力を込めて、掌底を腹部に叩き込む!!


《――がハッ!!》

「装備セット3」


 シャシュカを消し、“ウランナイフ”と“軽量のコサックダガー”の二刀流で、偽物の全身を切り刻む!!


《――ククク!! 酷いな。そんなに自分が憎いのか?》


 眼球が黒く染まって……本性を顕わにしたか。


「――まあな」


 人を殺しまくった事を、後悔していないわけじゃない。


「だが――全部背負って、行けるところまで行くと決めたんだ」


 コセと、行けるところまでならどこまでも!!


《偽善者め――》


 顔面を蹴り抜いて、首をへし折り……殺した。


「……フ! 自分を殺すって言うのは、なかなか悪くない」


 決別したい自分が居るならな。


 “ドッペル”が消えたのちに現れた美しい鏡を通り、ポータルが置かれた安全エリアで皆を待つことにした。



○“苦悩を噛み締めて”を手に入れました。



おまけ

挿絵(By みてみん)

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