表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

747/956

695.地下遺跡の変性ゴーレム

「コイツ……しつこすぎ」

「いくらなんでも硬すぎでしょ!」


 双子のアオイとアヤナがぼやく。


「“溶解液”をぶっ掛けてもほとんど意味ないし」

「魔法浴びせても、ほとんど削れない」


「おい、まだか! 俺にSSランクがあるとはいえ、ちょっとキツいぞ!」


 一本道の地下遺跡を進んだ最奥に鎮座していたゴーレムとの戦闘から数十分、ザッカルとアルーシャは後方から押し寄せるスタンピードラットの相手をし続けてくれていた。


「限界なら、“魔除けの浮遊鏡”を出すぞ」


 低ランクモンスターが近付かなくなるという鏡は、各パーティーの隠れNPCに預けられている。


「ハッ!! 少しでも経験値を稼いでやるよ――この“ゲイボルグ・ディープシー”でな!」


 突発クエスト・魔族の陰謀を阻止せよで、“レギオン・カウンターフィット”と共に手に入れたSSランク。


 水属性の銛ということで候補にスゥーシャも挙がっていたが、彼女がパーティーを組みたいタマが専用のSSランクを持っているため辞退。結果、次に相性が良いザッカルの手に渡った。


 隠れNPCがSSランクを装備出来るなら、サカナが一番相性が良いとフェルナンダが言ってたな。


「“深海支配”」


 大量の海水を操り、スタンピードラットを壁に押しつけて圧殺していくザッカル。


「フェルナンダ、あのゴーレムは何故あんなに硬いんだ? 有効な属性は無いのか?」


「アイツは“古生代ヴァリアブルゴーレム”。全ての耐性が高いうえ、一度受けた攻撃属性ダメージを永久に半減。更に、あらゆる攻撃ダメージを半減させる能力も持っている」


 アヤナとアオイにばかり攻撃させていたのはそのためか。


「その防御能力の高さ故か、戦闘能力は著しく低いんだが」

「そのためのスタンピードラットの大群か」


 あのゴーレムを倒さないと奥の部屋に進めないから、ネズミ共から逃れる術が無い。


「いずれ、スタンピードラットの次はゴーレム系の大群が押し寄せてくる。とにかく全力の一撃を与えなければ!」


 こっちにはSSランクだってあるのに、少し難易度が高すぎる気がするな。


「仕方ない――武器交換、“ヴェリタライズ”」


 《カトリック》の誰かが持っていたらしい、質実剛健にして華麗な矛盾の剣をこの手に。


挿絵(By みてみん)


「ルイーサ……その剣なら、確かにダメージ減衰能力を無効化できるが、既にアヤナの光線魔法で光属性のダメージは……」


 フェルナンダの懸念は、この“ヴェリタライズ”が聖剣でないため、“聖剣万象”の対象外だと知っているからだろう。


「問題ない」


 この剣には、“聖魔剣のグリップ”が装着されているからな!


「――“抜剣”!」


 “ヴリルの聖骸盾”に収めた“ヴェリタライズ”に、“聖剣万象”と神代文字十二文字分の力を乗せる!


 狙うは、アヤナとアオイが罅入れた左胸!!



「“古代剣術”――オールドブレイク!!」



 胸を中心に、ゴーレムの全身に罅が広がっていく!


「“破邪十字”!!」


 ひび割れの中心に光の十字架を潜り込ませ、内側から崩壊させていく!!


「アオイ、ダイナマイトだ!」


 チトセから、アオイが薬液と一緒に受け取っていたのは知っている!


「ほいよ!」

「サラマンダー!!」


 アオイがゴーレムのヒビに投げ込んだ複数のダイナマイトを、即座に引火させるフェルナンダ。


『ボォォーッ!!』


 コイツ、右腕と頭だけになってもまだ!


「――私の出番を、残してくれてありがとう」


 “ヘビーバスターソード”を握らせた“水星のアームロッド”を振り下ろし、神代の力を持ってゴーレムを粉砕してくれるアヤナ。


「よし、奥へ進むぞ! ザッカル、私と交代だ!」

「おう!」


「“守護武術”――ガーディアンランパート!!」


 部屋一面に障壁を張り、殺到するネズミを圧殺自殺させつつ、ゴーレム共を足止め。


 その隙に、ゴーレムを倒した後に出た宝箱から、フェルナンダ達がアイテムを回収。


 私達はなんとか、鏡が安置された安全エリアの小部屋へと逃げ込めた。


「ハアハア。まさか、こんなに手こずるなんて」

「ちょっと……舐めてた」


 アヤナとアオイの消耗が激しい。


「“ヴァリアブルゴーレム”でも厄介なのに、まさか“古生代ヴァリアブルゴーレム”を配置してくるとは。本当に嫌な奴等だ」

「どういう事だ、フェルナンダ?」


「ヴァリアブルゴーレムに“古生代の力”なんて、反則も良いところだ。おそらく、私達に対する嫌がらせ目的で、急遽用意したんだろうよ」


 まあ、似たようなケースは、これまでにも度々あったか。


「予定通り、今日の攻略はこれまでだ。後はゆっくり休もう」



○“古生代のヴァリアブルシールド”を手に入れました。




●●●



「ハアハア。ゴブリンだからって……ちょっと舐めてたかしらね」


 サトミの弱音。


 数頼みの止まぬ襲撃を迎撃しながらの探索は、予想以上に私達の消耗を促しまぁした。


「預かってて正解だったな、この鏡」


 バルバザードが浮かべた“魔除けの浮遊鏡”のおかげで、ゴブリン達は一定の距離を保って近付いてこない。


「上位種のホブゴブリンとか含め、もう数千匹は倒してる。これは無限湧きで間違いないな」


 まだ余裕そうなメグミ……さすがでぇす。


 それにしてもぉ、ゲームが現実になるとぉ、こんなにもクソゲー……。


「ウララ様、今のうちに“ソーマ”を」

「ありがとう、カプア」


 四方八方から襲われるからぁ、TP無限のメグミにだけ頼るわけにもいきませぇん。


「しまった! サトミ様!」


 鏡が、矢で射貫かれて消えてしまう!


「魔除けは、壊れやすいのが難点だな!」


 ゴブリン達が、一斉に殺到してくる!


「先に行け! 後ろは私が片付ける!」


 メグミが“竜光砲”を乱発して、ゴブリンを大量に消し去っていく!


「私が前に出る。お前らはペース配分に気を付けろよ!」


 バルバザードが前に出て、ゴブリンより数回り大きくて太っちょなホブゴブリンを――盾と大刀で仕留めていく!


『ギギ! “紅蓮魔法”、クリムゾンブラスターッ!!』


「ゴブリンシャーマンか――武器交換、“魔断のソニックブレイド”」


 バルバが“魔断斬”で炎を切り裂き、魔法を辿る斬撃が術者の首を刎ねた。


「いた、ゴブリンアーチャー!」


 私達の鏡を壊した奴を、リンピョンが見付けてくれる!


「くたばれ!! “施条銃化”」


 銃の武具にライフリングを施し、一時的に射程と命中率を強化!


 銃状態の二丁の銃剣で、ゴブリンアーチャーを蜂の巣にする!


「カプア、ゴブリンアサシンが来る!」


 黒ずくめの忍者みたいなのが来た!


「お任せを! “獣化”」


 三メートルはある方天画戟で容易くゴブリンアサシン二体を薙ぎ払い、三体目の顔面に膝蹴りを叩き込んで始末する……屈強な狸。


「“六重詠唱”、“雷雲魔法”――“魔法生物術式”」


 ウララが作り出した魔法陣が歪んで、雷雲の獅子や鳥になった!


 雷雲の獣達が、雷を纏いながらゴブリンブレイダーやゴブリンファイター、上位種を狙って倒していく。


『上位種の割合が増えてきました』

「たぶん、鏡がある場所が近い証拠だと思う」


 オリジナル経験者のウララは、この中で一番ダンジョン・ザ・チョイスに詳しい。


「――へ?」


 足元に、急に穴が!?


 落ちて――地面に叩き付けられる!!


「ハアハア」


 足が痺れる……。


「他の皆は……」


 随分暗い……さっきまでいた場所よりも。


「どこにも、誰も居ない?」


 ここの黒い壁、光を吸収しているのか、遠近感が判らない。


「奥……何か居る?」


 闇から、気配が近付いてくる。


『――ギャアアォォォォォォ!!』


 バカみたいに巨大なゴブリンが、闇のように黒い一角から顔を覗かせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ