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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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694.湿地林と鳥集塔と死霊神殿

「モンスター多いな!」


 コトリ、ケルフェ、タマモの三人が、リザードマンや獣型モンスターをあっという間に減らしていく。


 森に転移した途端、いきなりモンスターの集団に囲まれてずっと襲われ続けていた。


「ハイリザードマンにハレム・レオン、ニードルホーンディアー、死骸ネズミ、ポイズンエイプ、ヌルヌルスネーク、ネイルグリズリー……雑魚ばっかりだな」


 ぐうたれているエトラ。


「なんか不機嫌ね、エトラ」

「攻略を始めた途端、急にね」


 カナさんも気づいてたんだ。


「……気のせいだろ。それより、そろそろ交代した方が良いんじゃないか?」


 雑魚ばかりだからある程度スキルを温存できるとはいえ、体力は持ってかれるからな。


「――本命が来ますえ!」


 タマモの声が響いた瞬間、木々が薙ぎ倒される音が!


『グルルルル』


 オレンジ色の体表持つ、有翼の巨獅子。


「アレが……伝説の“キメライガ”」


「知ってるの、エトラ?」

「モンスターによる災害を獣災と呼ぶんだが、目の前のキメライガこそ、最大級の獣災を引き起こす最悪のモンスターの一体なんだ」


「“殴打撃”!!」

「砂鉄脚!!」


 コトリとケルフェが仕掛けるも、軽やかに躱される。


「そんなに強いの、コイツ?」


「強さだけなら、もっと強い奴は幾らでもいる。だが、コイツには他のモンスターには無い強味があるんだ」

「どんな?」



「キメライガは――どんな生物とも交配可能なんだ!!」



「「……だから?」」


「だから……つまり、新種のモンスターをバンバン生み出すんだよ! アイツは!」


 なるほど。でも、野生のモンスターなら厄介だけれど、ダンジョン・ザ・チョイスっていうゲーム世界ではあんまり関係ない気がするんだけれど。


「「――良いから手を貸してよ!」」


「「「ごめん」」」


 コトリとケルフェに怒られた。


「“霊夢魔法”――タルパバインド」


 私の魔法で、白い霧のような物を纏わせて動きを制限。


「――“砂鉄砲”!!」


 ケルフェのスキルがキメライガの胴体をぶち抜くも、動きは衰えない。


「畳み掛けな、すぐ再生しますえ!」

「“劇毒弾”! “鬼の神力”!!」


 毒を浴びせてから、不可視の力をぶつけて左翼の付け根を折るコトリ。さすが!


「“六重詠唱”、“竜顎法陣”、“灰燼魔法”」


 エトラが展開した魔法陣が竜の開かれた口のようになり、灰色の光に染まっていく。


『――ガァァ!!』


「“閃光の如き生き様”!」


 エトラに向かって口から放たれた光を、回り込んだコトリが盾に――不可視の力に、光が弾かれてる? “鬼の神力”を盾に使ってるのか!


「“深海重圧”!」


 “ザ・ディープシーラビュリス”を持った尻尾をキメライガの背に叩き付け、仰け反らせるタマモ。


「“氷河魔法”――グレイシャーダスト!!」


 私がキメライガの身体の大半を瞬時に凍結。その間に、コトリがエトラの射線から離脱した。



「――アッシュブラスター!!」



 竜のような形状に変化した灰色の光が、キメライガに食らい付くように接触し――一瞬で跡形もなく消し飛ばした。


「コトリ、無事か!」


 エトラが、慌てながらコトリに駆け寄っていく。


「なぁに? 私の事がそんなに心配だった?」


挿絵(By みてみん)


「……あ、当たり前だろう! お前が死んだら、私だってまた死ぬんだからな!」


 私達と大きく一定の距離を置いていたエトラが、少しだけ歩み寄ってくれた気がする一幕。


「フフ……あれ?」


 キメライガを倒した結果、何故か色んなモンスターの素材が大量に手に入っていた。



●●●



 セメタリーコンドルの頭を、矢で撃ち抜く。


「……いつまで続くんだ、これ」


 転移した先は塔の中で、最上階目を指しながら、ひたすら襲ってくる鳥モンスターを倒すだけ。


 塔の壁の至る所に出入り口があり、私達はそこから出られないが、鳥モンスターは入り放題。



○“天の川で沼るピアス”を手に入れました。



 道中、稀にある部屋で宝箱から回収。


「変な名前のピアスだな」


「レリーフェ、一昨日から不機嫌ね」


 ユリカに指摘されてしまう。


「……そう見えるか?」

「そりゃそうでしょ。分かりやすすぎなくらいよ」


 ダメだな。あの日、レギオン同士の顔合わせでルフィルに無視されただけでこれだ。


 他に、色々気掛かりがあるのもそうだろうが。


「すまん。改めるから許してくれ」


「別に無理しなくて良いわよ。ていうか、今夜にでもコセにぶつけたら?」

「今夜……いやいや、なにを言っている!」


 アレは、そういう野蛮な目的のためにスるものではなく、もっと崇高な儀式的な物であってだな……そもそも、本来は避妊などせずにスべき物であって……。


「さっきから凄い顔色が変化してるわよ? 大丈夫?」


「だ、大丈夫だ」


 いったいどんな顔をしていたんだ、私は。


 その後、度重なる鳥モンスターの襲撃を撃退し続け、ようやく最上階へとたどり着く。


『よく来た、人間種共』


 最上階の奥にある鏡、その前に立っているのは……カラス人間?


『我が名はマルファス。鏡の城に封じられし七十二柱の一柱である』

「ここ、勘違いされがちですが、城に封印されている七十二柱は三柱だけですので」


 ヨシノからのよく分からない情報。


「“聖水銛術”――セイントジャベリン!!」


 スゥーシャが仕掛けた!?


『“魔断障壁”』


 橙色の障壁に止められる。


『この程度の力で……力で』


 “魔断障壁”が、徐々に罅割れていく。


「止めずに躱せば良かった物を」


 ユニークスキル、“徹頭徹尾”を持ったスゥーシャの攻撃を、正面から止める事はまず不可能。


『な……に?』


 障壁は破られ、マルファスの左手のひらから胸までをも貫く。


「――“煉獄の業火炎”」


 ユリカが大火球を生み出し、神代文字で強化――マルファスへと落として焼き尽くした。


「ここ、勘違いされがちですが、マルファスは決して弱いモンスターではありません。畳み掛けたから楽に倒せたのです」


「今日はどうしたんだ、ヨシノ? 頭大丈夫か?」


 そもそも、私達以外の誰が勘違いするんだよ。

 


●●●



「“鎮魂歌”――ァァアアアアアアア!!」


 ナターシャの歌光が、闇に堕ちた神殿内部から広がり、死霊系のモンスター共々、その主に大ダメージを与える。


「“火山弓術”――ヴォルケーノアロー!!」


 大きな黒銀の弓、“アルテミスの魔弓”から放たれた巨大噴火矢を食らい、腐った黒い樹木のような化け物、死霊の主が消滅する。


「ここ、勘違いされがちですが、七十二柱の魔神であるビフロンスは決して弱くありません。勘違いされがちですが」


 ……なんでナターシャは念押ししてきたんだろう?


「ハアハア、ようやく……終わった」


 シューラさんが膝を付く。


 ここに辿り着くまでのあいだ、散々「ギャー!!」とか「くんなー!!」とか、死霊系モンスターに対して叫び続けてたからな。


「シューラ、本当に幽霊とかアンデッドがダメなんですね」

「ゾンビが出る幻覚城は避けてあげたのに、この様とは」


 トゥスカが慰め、メルシュが鞭打つ。


「ババアになったってな、怖い物は怖い物なんだよ!」


 逆ギレしてきたよ、この八十代。


「罰として、マスターと共鳴精錬の刑にしようか」


「なんで罰ゲームみたいな扱いなんだよ……」


「なんだい、アレはアタシでもできるのかい?」


「神代文字を十二文字刻めないとやっても意味ないよ。ていうか、そのためには“超同調”のスキルを使う必要があるんだけれど、共鳴精錬を成功させるほど同調するのは……精神セックスをするような物だって」

「なるほどね……まあ、別に構わんさ。生娘ってわけじゃないしねー」


「「「「へ?」」」」


「……なんでそこで驚いてんだい! こっちはれっきとしたババアなんだ! 経験済みで当たり前だろう!」


「じゃあ、旦那さんが居るんですか?」


 トゥスカが尋ねる。


「…………随分前に死んだよ。デルタの奴等に殺されてね」


「すみません……」

「気にしなくて良いよ。アタシも全然気にしてないし」


 今、シューラさんから強い憎悪を感じた。


 あの憎悪は、デルタに対してなのか……?


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