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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第18章 陰謀の根源

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693.無限庭園と怪物豚箱と七色領域

「……なんだこれ?」

「なんなんでしょうね」

「本当、なんなのでしょう」


 レンさんとフミノさんと一緒に、ただ目の前の光景を眺めている。


 鏡の先に広がっていたのは【無限庭園】と呼ばれる場所で、千体の植物モンスターを倒さないと抜け出せない厄介な場所……と聞いていたけれど。


「チトセ、“除草液”が切れた。こっちを頼む」

「了解♪ ヘラーシャ、向こうの“除草液”が少なくなってる!」

「任せてください!」


 庭園の一角を中心に“除草液”を円状に撒いて、そこに近付いてきた植物モンスターが勝手に自滅していく。


 円の外から攻撃が届く距離に近付かなければ、いずれは千に届くでしょう。


「この方法だと楽だけれど、散らばっている宝箱からアイテムを拾えないらしいわよ」

「まあ、モンスターからドロップする種や実のアイテムの方が大事らしいから、別に良いんじゃね」


 二人とも、完全にやる気を失っている。


「少し移動して宝箱を……」


 でも、ここまでで結構な“除草液”を使ってるし……チトセさん達が楽しそうだから良いですかね。



●●●



 窓も扉も無い、上に長い長方形状の部屋で、レッドオーガ四体とグレートオーガ相手に戦闘を繰り広げる。


「“隠形”、“潜伏”」


 気配と姿を同時に消す。


 こんな狭い部屋で、一人でコイツらを相手にしないといけないなんてさ。


「“分裂”」


 “道化の投げナイフ”を四本に増やし――両手で二本ずつ投げ放つ!!


「――ラッキー!」


 私を探していた四体のレッドオーガ全ての首に命中し、そのうちの三体に“即死”が適用された!


 “死の宣告の指輪”。私の攻撃全てに低確立で“即死”の効果を与える代わりに、私自身もあらゆる攻撃ダメージに“即死”が適用されるという呪いの装備。


 たまたまツグミが手に入れた物だけれど、隠れNPCとしての二度目の人生なんだし、こういうギャンブルも悪くないよねってね!


「“六連瞬足”」


 残った二体のオーガを翻弄しながら、“帰還”した道化のナイフを再び投擲!


「チ! グレートオーガはさすがに硬いか」


 多少でも傷付けないと、“即死”は適用外。


 “超頑強”持ちだし、只の投げナイフで傷付かないのも当然ちゃ当然だけれど。


「“黒影魔法”――ブラックシャドーニードル!!」


 大半は躱されたけれど、四発は当たったのに発動しないか。


「“影鰐・六重”」


 飛び掛かって来たオーガの攻撃を避けると同時に、動きを止めてやった。


「装備セット2」


挿絵(By みてみん)


 “ブラッディーコレクション”以前の愛刀、“腹の一物をぶちまけろ”に持ち替える。


「フッ!!」


 文字を刻むも、二文字を行ったり来たり。全然、ツグミ達のように安定してくれない!


「……ああ、ムカつくわね」


 “ブラッディーコレクション”を手に入れる前なら、なんとか三文字刻めてたのに。


『ギ……グ』


「本当にムカつくのよkcy」


 無理矢理維持した状態で――振り上げる。



「“狂血武術”――吸血鬼断ち」



 グレートオーガの首を、容易く切り落とした。


「……情けないわね」


 最後の一体を仕留めた事で、宝箱が出現。



○“免許皆伝”を手に入れました。



「【迷いの丘】でも手に入れたな、これ。確か、卓越者っていうサブ職業を作るためのアイテムだっけ?」


 宝箱を開けてアイテムを回収したからか、私の身体が転移していく。


「……もう、みんな仕留めてたの」


 私がさっきと似た場所である最初の入り口へと戻ると、既に戦闘を終えたツグミ達が全員揃っていた。


「ネロの相手はなんだった?」

「私はオーガだったよ~♪ ハユタタは?」

「私はトロル。ツグミは狼だったって」


 ここでは一人で挑まなければならないため、なかなか厄介。


「みんな、次に挑めるようになったよ」


 部屋の中央には白いコンソールがあり、私達はそのコンソールを操作して出された課題、ルール縛りでモンスターとの戦闘を制する必要がある。


「次は、一つの部屋に二人で挑めるみたい。モンスターの数は倍になっちゃうけど」

「ちょうど六人だし、二人一組で行くかい?」


 シレイアからの提案。


「じゃあ、私はセリーヌさんと組もっかな?」

「「へ!?」」


 ツグミと組めば楽できると思ったのに!


「そんじゃよろしく、マスター」

「シレイアさん……サボるつもりでしょ」

「まあ、危なそうなら助けてやるよ」


 向こうも当然のように決めて……。


「「ゲ!!」」


 なし崩し的に、私はハユタタとじゃない!


「何よ、文句あんの?」

「そっちこそ、さっきゲ!! って言ってたよね?」


 この人魚とは、出会った時から馬が合わない!



●●●



「寒い」

「アウ……」


 モモカとバニラが寒がっている。


「ジュリー姉、宝箱を見付けたよ!」


 “氷耐性”があるからかなのか、雪豹獣人だからなのか、クレーレは元気だな。


「気を付けて回収してきてくれ」

「ほーい!」


 最近、クレーレは自信に溢れているような……今のクレーレを見てると、そのうち自信が傲慢に変わってしまいそうで……怖いと思ってしまう。


「さっきの火山エリアではグッタリしてたのに、元気ですね、あの子は」


 サキの呆れ顔。


「峡谷エリア、烈風エリア、大雨エリア、火山エリア、氷雪エリアの順で来ましたが、残りは昇雷エリアと剣山エリアでしたか」


 エリーシャからの確認。


「それぞれのエリアが属性に対応していて、そのエリアに対応したモンスター、宝箱からはそのエリアの属性関連スキルやアイテムが手に入る」


 基本は単一属性が多いが、二属性のアイテムが手に入る割合も少なくない。


 うちのレギオンは氷属性使いが多いから、このエリアは特に長めに散策したいけれど……。


「……」

「大丈夫、モモカちゃん?」

「……うん」


 “凍結耐性”付きのマントを装備させているけれど、子供の身体のモモカには、この寒さ、気温の激しい移り変わりはキツいだろうな。


 モモカが居なければ、もう少しじっくり宝箱を探すんだけれど……良くないな、こういう考え方は。


「……子供を育てるという行為は、自分を育て直すに等しい行為だな」


「クレーレが戻ってきましたよ」

「ジュリー姉、“凍結氷葬のスキルカード”を手に入れたよー!」


 本当に元気だな、クレーレは。


「モモカ、キンちゃんを呼ぶと良い」


 冷気は下へと流れる。地面から離れれば少しはマシだろう。


「サキ、ウサリーレを呼んでモモカを暖めさせてくれ。セラとサタちゃんも呼ぼう」


「分かりました」


「ジュリー……」


 走金竜のキンちゃんの上に跨がったモモカが、弱々しく私の名を呼ぶ。


「どうした?」

「……ごめん」


挿絵(By みてみん)


 さっきよぎった私の心の内を、読まれてしまったような気がした。


「そこは、ありがとうって言うんだ」


 謝られるより、感謝された方が私は気分が良い……きっと、言う側のモモカだって。


「ありがとう……ジュリー」


「どういたしまして、モモカ」


 こんなにも愛おしい子に、トラウマを植え付けた男、ルーカス。


 もし私の前に現れるような事があれば――絶対に赦さない。


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