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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第17章 飛躍の龍意

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669.情愛の魔女ツグミ

「ハイパワーフリング――“散弾化”!!」


 投げつけた“自在玉”が分裂。硬い昆虫型モンスターの身体を穿ち抜いて、集団を殲滅し終える。


「ハァー……ようやく、爆発後に寄って来たモンスターを始末し終えたな」


「転送装置がどうのとか言ってたけど、どうなったんすかね?」


 サンヤの疑問。


「どうやら、森にいた私達は対象外だったらしいな」


 結局、イチカ達とは合流できずに一夜を明かしてしまった。


「それにしても、とんでもない爆発でしたの。学区から離れた場所で野宿して正解でしたね」

「まったくだ」


 下手をすると、あの爆発に巻き込まれて死んでいた可能性まであっただろう。


「――来るぞ」


 煙の上がる学区の方から、魔族が駆けてくる!


「あの爆発、コイツらの破壊工作が原因か?」


 どっちにしろ、討伐数を稼ぐチャン――カバが横合いから飛び出してきて、魔族を食い殺した?


 ――“警鐘”のスキルに反応!!


「あら、他のプレーヤーが居たの」


 どぎつい色のワンピースに、派手な金髪ロング靡かせる鞭使いの女。


「今まで、モンスターが魔族を襲う事はなかった」


 あのカバモンスターは、あの女の命令で動いていたと思った方が良い。


「カニバリゼ・ヒッポポタマス。非常に強力、凶悪なモンスターですの。ただ、あのモンスターは指輪モンスターではないはずですの」


 サカナからの情報と、目の前の光景。


 私の知識から、この目の前の矛盾を取り払う方法は……。


「もしや、テイマーのサブ職業持ち?」

「ざーんねん、ちょっと惜しいわぁ~。サブ職業はとっくに分解済みで、これは私のスキルの“魔物契約”よぅ~ん♪」


 なんだ、この不自然なキモい喋り方は!


「貴女、3位のパーティーのエリューナちゃんね。三人合わせても魔族討伐数は3。まあ、ちょっとした足しにはなるかしらぁ~」


「気持ちの悪い女だな」


「――グフ! フフフフハハハハハハハハハ!!」


 突然の馬鹿笑いに、薄ら寒い物が込み上げる。


「そぉーお~? 私、そんなに女に見えるかしらぁ~♡」


 クネクネして気持ち悪い!


「リューナ、コイツさっさと殺そう」

「こんなにも存在そのものが不愉快な女、なかなか見ないわね」


 サカナですら、口調を取り繕えないくらい不気味だったらしい。


「他のモンスターを召喚される前に、一気に仕留め――」


 枝の上の奴に対し、更に上から誰かが襲撃した!?


「幻影拳!!」

「――“絡め取り”」


 鞭が一瞬で絡みつき、襲撃者を……オカマを縛り上げた。


「あら、コウジ。仲間を見捨てて逃げたと思ってたら、引き返して追ってきたの」


「そ、そっちの名前は呼ばないって約束……でしょうが、ヒトシッ!」


 捕まったオカマ、現れる前からボロボロだったのか。


「コウジとヒトシって、《メモリアル》のパーティーと同じ名前じゃね?」


 サンヤの言葉に急いで確認。


「……本当だ」


 でも、この表示顔と名前からして、ヒトシはオカマのはず。


「アンタこそ、私の事はユーナって呼ぶ約束でしょう~」

「自分だけ……自分だけ、本物の女になれたくせに――アンタが男だって知ってるってだけで、なんで殺されなきゃならないのよぉぉぉ!!」


 よく分からないけれど、色々見苦しいな。



「“吹雪魔法”――ブリザードトルネード!!」



 コウジとかいうのは始末できたけれど、オカマ女には避けられた。


「ちょっと、私のパーティー討伐数が4も減っちゃったじゃない――返しなさいよ」

「知るか。これはこういうゲームだろう? ――キモいオカマ野郎」


 逃げられないように挑発しておく。


「――――ぶっ殺してやる」


 性転換の理由は判らないが、元男という事実は、奴にとって耐えがたい物らしい。


「サンヤ、ヒビキ、サカナ。コイツは、ここで絶対に仕留めるぞ!」


「「了解!」」

「私をサカナって呼ぶな!!」


 こんな状況でも文句を言うのか、お前。どれだけ嫌なんだよ。



●●●



「ハーッ! ハーッ! ハーッ!」

「大丈夫ですか、お婆ちゃん?」


挿絵(By みてみん)


 フェアリーっぽい特徴の銀髪お婆ちゃんに尋ねる。


「こ、これくらいで、俺様が弱音を吐くとおおお思ったらぁぁ、大間違いだからなぁぁ……!」


 こんな皺くちゃで足腰プルプルさせているお婆ちゃん、放ってはおけない!


「お婆ちゃん、お名前は?」

「まま、まずは、じ自分からなな名乗るのがぁぁ、マナーぁぁ!!」


 典型的な頑固お婆ちゃん。槍を杖代わりに無理して。


「私はツグミ。佐藤 亜望です! お婆ちゃん♪」


「俺様をババア呼ばわりするんじゃないよぉぉぉ!! ゼハー、ゼハー、ゼハー、ゼハー」


 うん、あまりにも放っておけなさすぎる。


 この人、結構質が高いし。


「じゃあ、お名前を教えて」

「……セリーヌ」

「クエストが終わるまで、セリーヌお婆ちゃんの事は私が守ってあげるからね!」


 ()()()()()()()()S()S()()()()()使()()()()()()()()()()()


「それで、私達はこれからどうすれば良いと思います?」

「どっこいしょ……ぁー、仲間との合流だな。とはいえぇ、どこに行けば良い物か……」

「じゃあ、捜しましょう!」


 工房だった物の瓦礫に座り込んじゃったお婆ちゃんを背負う。


「お、下ろせー! こんな姿、万が一あの人に見られたらぁぁ!」

「暴れないで、セリーヌお婆ちゃん。ほら、ドードー」

「バカにしとるのか!」

「じゃあ、行くよー!」

「話を聞けぇぇい!」


 取り敢えず、祭壇を目指してみようかな。一緒に来た皆も、あそこに集まって来るかもしれないし。


「――ツグミ、魔族がぁ!」


 黒いローブを纏った、紫色の肌の女性が接近してくる。



 ――突然、魔族の女性が横に吹っ飛んでいった?



「これで29!! もうすぐ、ようやくこの俺にもSSランクが手に入る!!」


 魔族の女性が、光になって消える。


「……ツグミぃ、俺様を下ろして逃げろぉぉ」

「嫌だよ。セリーヌお婆ちゃんを、置いてなんていけない」


 セリーヌお婆ちゃんは私に、クエストの詳細について教えてくれた。あらかじめ聞いていたのとだいぶ状況は違っちゃってるけれど、貰った恩は返す主義だもの。


「セリーヌ? ……なるほどね」


 男がチョイスプレートで何かを確認している? と思ってたら、なんらかの能力であっという間に近付いてきた。


 あれ? あの人の武器、さっきは棒だと思ったのに槍だ。


「おい、そこの女。その背負ってるババアをこっちに渡しな。そうすりゃ、お前は助けてやるよ。なんならこの俺、ユウスケの新しいレギオンに加えてやっても良い!」


 私の胸を見て発情しないで欲しい。


「嫌です。ご老人を見捨てるなんてできません」

「はぁ? お前、バカか? このダンジョン・ザ・チョイスに、NPC以外でババアなんて居るわけねぇだろ!」


 セリーヌお婆ちゃんはNPCじゃないって判るはずなのに、何を言っているんだろう、この人?


「マジでふざけてんなら、ババアごとテメーも殺すぞ?」

「……無理だと思いますよ? 貴方、そんなに強そうに見えませんし」


 この人は質が低い感じ。


「――あの仮面野郎といい、ミカゲといい、どいつもこいつも俺をバカにしてんじゃねぇぞ!!」



「私が尊敬している男子は、貴方みたいにバカにされたからって――幼稚じみた態度はとりませんでしたよ」



「あ? 知らねーよ、そんなもん!! ――“発射”!!」


 槍の穂先が飛んできた!?


 ――左手のSFっぽいピンクの機械甲手、“紡ぎ噤む春の(めい)”に九文字刻んで回避。


「おおお前、神代文字をぉぉ……」


 お婆ちゃんが驚いている。


「あんまり喋ると、舌かんじゃうよ」


 あの時は痛かった。


「……テメーもか――テメーも、ミカゲ達と同じでずるしてんのかよ!! ぶっ殺してやるッ!!」


 なんで怒ってるんだろう、あの人?


「しっかり掴まっててね、セリーヌお婆ちゃん」


 SSランク無しで戦うのは随分久しぶりだけれど、まあ、きっとなんとかなるよね♪


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