表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第17章 飛躍の龍意

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

714/956

668.不可思議な出会い

「“威風魔法”――プレステージダウンバースト!!」

「ギャぁああああああッッ!!!!」


 赤髪のエルフに、トドメを刺すミキコ。


「大丈夫ですか?」

「え?」


 なんだ、今までと態度が全然違う。


「仲間は居ますか? 良ければ、クエスト終了まで一緒に行動しません?」


 あり得ない。ミキコが、俺に対してこんな――そうか、今は身体が女だから、俺がコセだって気付いていないのか!


「は、はい、是非!」


 うわ、俺の身体、声まで可憐になってる!


 ていうか、おっぱいデカ! トゥスカと同じくらいありそう! 足元が見えない!


「あ、あの……服、着てください」


 顔を真っ赤にして目を背けるミキコ……同姓に対してでも初心なんだ。なんか意外。


「む、向こうで着替えてきますね」


 転送直前の爆発の影響なのか、廃虚のようにボロボロになってしまった多様学区。


 瓦礫の影に隠れ、チョイスプレートを開く。


「上位パーティーの顔の表示は変わっていない……これなら、ミキコにバレずに済むか」


 なんで彼女がここに居るのか判らないうちは、俺の正体を明かすのは危険過ぎる。


「鎧も壊れたし、武器も普段と違う物を使うか……それにしても」


 男の身体の時と全然違う感覚。胸の前にあんな重いのがいきなり付いたら、そりゃバランスとれずに転ぶわ。


「本当、この身体のせいで酷い目にあった」


挿絵(By みてみん)


 ……女性が性的に狙われるって、ああいう感じなのか。


 理解していたつもりだったけれど、思っていた以上の恐怖を感じたな。


「ユリカが、俺に処女を貰って欲しいって言ってきた気持ち、ちょっとだけ解ったかもしれない……さて、さっさと装備を整えないと!」


 ……身体、クエスト終われば戻るよな?



◇◇◇



『……ク――ハハハハハハハハハ!! 視聴者を楽しませるために仕組んだアレに、奴が選ばれるとはな、なんたる不運!』


 転送装置の副作用によるという設定を口実に、幼体化、老化、性転換させる。転移させられたうちの一割の人間に、これらの症状がランダムに出るように細工していた。


『ほう。魔族も、ちょうど80体目が倒されたか。ここからが、今回のイベントの本当のスタートだ!』



●●●



 準備を終え、ミキコの元へ戻る。


「お、お待たせしました。えと……」

「私はミキコです」


 あ、名前を変えないと!


「め、メイです……」


 妹の名前を使っちまった!


「素敵な名前ですね。私も、もっと女の子らしい名前が良かったです」


 名前にコンプレックスあったんだ。


「先程はありがとうございました。ミキコさんは、いつからこのステージに?」

「何故ですか?」


 和やかな雰囲気でも、それなりに警戒しているか。


「このステージは三日に一度は依頼をこなさないと滞在ペナルティーが発生するため、顔を合わせる機会は多いんですよ」


「なるほど……実は、私のパーティーは今朝早く着いたばかりで、到着早々に転移させられてしまって。突発クエストの真っ最中なのは知っていたのですが」


 いや、突発クエスト真っ最中なのを知っていたってどういう事だ?


 色々突っ込みたい所だけれど、立ち入り過ぎると拗れかねない。


「メイさんは、レギオンに所属で?」

「ええ、まあ……」

「女性の割合は?」


 さすがザ・フェミニスターズ。真っ先にそこを尋ねるのか。


「私以外は……みんな女ですね。NPCも含めて」

「……驚きました。私の前のレギオン以外で、女だけのレギオンが存在するなんて」


 いや、女だけのレギオンではないんだけれど。


「なら、メイさんのレギオンメンバーを探すのが、一番安全そうですね♪」


 全員女だと思い込んだ瞬間、一気に警戒心が下がったような……。


「ミキコさんの仲間は良いのですか?」

「ああ……まあ」


 なんだ、この微妙な反応。


「訳あって一緒に行動するようになっただけで、仲はあまり……」


 ミキコは、《ザ・フェミニスターズ》の面々とここまで来たわけじゃないのか。


「――メイさん」

「はい、近付いてますね」


 地面を砕き抜いて出て来たのは、巨大なムカデ。


「雑魚が――」


 十手に神代文字を三つ刻んで、巨大ムカデの攻撃を避けつつ一撃を入れた!?


 まさか、ミキコが神代文字を刻めたなんて。


「大地の剣」


 指輪でブラウンの大剣を生成、ムカデの身体を切り付ける!


 ミキコとは何度か模擬戦をしているから、アイツの前で使っていない武器で立ち回らないと。


 ていうか、久しぶりに着た“大地の精の鎧”、やっぱり少し動きづらいな!


 今まで気付かなかったけれど、鎧って性別で形が変わるんだな。俺の“土帝の戦士下着”もそうだし。


「“嵐の穿孔”!!」


 “ストームブリンガー”の切っ先から放った風のスパイク弾で、ムカデの巨体に穴を空ける!


「“三連空衝”」


 空中を、三連続で高速移動した?


「“威風棒術”、プレステージブレイク!!」

「“大地剣術”、グランドスラッシュ!!」


 頭と胴体に同時に武術が炸裂。ムカデが倒れる。


「この震動……」


 さっきのムカデが、複数体出てこようとしているのか!


「古代竜亀! “自動二輪化”」


 バイク化した竜亀に跨がる。


「ミキコさん、乗って!」


 即座に背部に座ってくれるミキコ。


「出してください!」


 バイクを走らせた数秒後、地面を突き破って現れる……三体のムカデ。


「これからどうします?」

「ここはおそらく中央の区画なので、ひとまず武芸区画に向かいましょう」


 他の区画はあまり土地勘が無いし、他に案が浮かばない。


 もう、SSランク入手にこだわっている場合じゃなくなった。


 誰でも良い。一刻も早く突発クエストを終わらせてくれ!



●●●



「“黄昏魔法”――トワイライトレイ!!」


 通路いっぱいの“ゾンビ”を倒す。


「いやー! 本当に誰か、アレをなんとかしてぇぇ!」

「……倒しましたよ、ゾンビ」

「へ?」


 ようやく気付いて、私を下ろしてくれる。


「アンタ、小っこいのに随分冷静だね。でも、おかげで助かったよ」


 取り敢えず、今は小っこい事は否定せずに置こう。


「私はトゥスカです」

「アタシはシューラ、ダークエルフだよ」


挿絵(By みてみん)


「……ダークエルフって、随分前に滅んだんじゃ?」

「小っこいのによく知ってんねぇ~。まあ、アタシは一人で隠れ住んでたから、他に生き残りが居るのかは知らんけど」


 軽い人だな。


「アンタ、仲間はいんの?」

「はい、レギオンに所属しています」

「じゃあ、アタシが他の仲間と合流できるまで守ってやるよ」


 姉御気取りというか、なんというか。


「判りました。一緒に行きましょう。ちなみに、シューラさんのお仲間は?」

「このステージに一緒に来たパーティーメンバーは、私も入れて六人。ちなみに、全員が女だ」

「レギオン所属じゃないんですか?」

「ああ……実は、私らのリーダーが、どうしても入りたいレギオンがあるとかで、そのレギオンに追い付くのが取り敢えずの目標だったんだよ」

「なんていうレギオンですか?」

「さあ。興味無いから聞いてないね。場合によっては、ここで別れるつもりだったし」


 随分とドライというか、仲間意識が低そう。


「よし! まずは、この不気味な建物から出るぞ!」

「……もしかして、本当はゾンビが怖いだけなんじゃ」

「そ、そんなわけあるかい! ダークエルフであるこのアタシが、あ、あんなグジュグジュの臭々野郎如きにビビるわけないだろう!」


 この人、嘘が下手だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ