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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第17章 飛躍の龍意

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665.深夜偵察

「ハーレム王は人使いが荒い……」


 前に私が情事を覗いていた罰として、真夜中に偵察に行くように命令するなんて。


「さて……」


 同じレギオンなのか、複数パーティーでテントを囲んでいる集団が居る。宿泊施設と思われる窓からも明かり。


 思っていたよりも、参加しているパーティーは多そう。


「半日頑張って一匹だけか」


 男二人とすれ違うも、気付かれない。


 さすがユニークスキルの“透明化”と“隠形”の合わせ技。情事に夢中だったとはいえ、コセさんが気付かなかっただけの事はある。


「つうか、結構強かったぞ、あの紫野郎」


 紫野郎。話の流れから、魔族の事かな? 付いてってみよう。


「1位のパーティーは《悠々自適が良いじゃない》の元レギオンリーダーの所か」

「あれだろ。SSランク持ちの女パーティーに抜けられた後、レギオンが荒れて自然消滅したっていう」

「よせよせ。人が変わったように暴力的になったって話だぞ」

「実際見たことあるから知ってるよ。俺も、ユニークスキル持ちは敵に回したくねぇ」


 へー、ユニークスキル持ってるんだ。


 商業区画を離れて、一際灯りが見える工業区画へと足を運ぶ。


「もう、リーダーも参加すれば良かったのに~」

「一日目は動かなくて良いとか、いったいなにを考えてるのかしらね~」


 野太いカマ喋り……。


私達メモリアルがSSランクを手に入れれば、最強に決まっているのに!」

「もう、あのクソ生意気な塩女と逝かれ仮面共に、デカい顔させずに済むわ!」

「彼女達、もう居ないけれどね。なんだっけ、なんとかケンシ? とかいうレギオンに入ったっぽいわよ」


 ケンシ? てことは、アテルかキクルのレギオンにSSランク持ちが増えたってこと?


「ちょっと、アンタたち! さっきからうるさいわよ!!」


 奥の建物から出て来た人、3位のパーティーリーダー。


「そういえば2位のパーティー、全然見掛けなかったわね」

「1位のユウスケちゃんのパーティーも、午後からは見なかったわ~。私、タイプなのに~」

「えー、趣味が悪いわよ~。私は、噂のコセキュンの方が、気になる~!」


 まずい……ハーレム王のケツが狙われてる。


 ――遠くで爆発音、それも二カ所!


「“跳躍”」


 高い場所に登って周囲を確認。


 爆発は北と西の森で起きたみたい……西はまだ爆発が続いてる。


「もしかして、森にプレーヤーが居るの?」


 じゃないと、爆発が起きた理由を説明できない。


「おい、誰だ! そこに居るのは!」


 しまった! 気付かれ……あれ、周囲を見回してこっちは全然みてない。


「チクショー!! どこだー!!」


 随分、野太い声で叫んでるな。さっきまでお姉言葉だったのに。


「――ぁああッ!!」


 一人殺された?


「クソ、また!」


 何かにどんどん殺されている。


 チョイスプレートを確認。残っているのはもう、魔族を二人殺しているパーティーリーダーだけ。


「おのれ――“四重魔法”、“魔法円陣”!!」


 自分の周囲、四方に魔法陣を向けた。


 見えない敵を、周囲への攻撃であぶり出そうとしているんだ。


「“爆雷魔――」

『――遅い』


 喉を、下方から一突きで……。


『やはり、モンスターより人間の方が殺しがいがある』


 血が滲んだような黒いローブの隙間から、銀の装甲に包まれたサイボーグ? みたいなのが見えた。


 姿も気配も消える。


「……久し振りに、武者震いした。あれ?」


 パーティーが全滅したのに、3位に知らないパーティーが表示されてる。しかも、討伐数は3。


「討伐数があったオカマは全員、あのサイボーグに殺されたのに」


 あれが魔族だった? でも、魔族の目撃者が、肌が紫だって言ってた。アイツが例外だった可能性もあるけれど……。


「取り敢えず、森の方に行ってみよう」


 西の武芸区画へ。


 爆発があった辺りを目指している最中、武芸区画の入り口付近から戦闘の気配。


「魔族だ、絶対に逃がすな!」


 黒いローブの男が、プレーヤーと戦っている。


 紫の肌……あれが本物の魔族。


 なら、やっぱりさっきのはプレーヤー?


「奥には絶対に行かせるな!」

「俺達のワイフを守れ!」


 ワイフ?


 奴等が言う奥へ、気付かれないように近付く。


 魔法の家が使えないからか、勝手に倉庫を使って寝泊まりしてるのか。


「魔族一匹に、なに手こずってやがる、アイツら」


 コイツ、新しい3位のパーティーリーダー。


 討伐数は……コイツ一人で3か。


「たく、これじゃ愉しんでられねぇだろうがよ!」


 開いたドアから中の様子を覗う……魔族の女が倒れてい――……。


「……アイツで試すか」


 アイツなら、心置きなく試せる。


「……へ?」


 “透明化”状態で近付いて――“切毒の紫花により縁切られ”で、喉を下から突き刺して静かに葬った。


「わざわざこんなことするために、殺さずに

捕らえたの?」


 答えを期待したわけでもなく、囚われていた魔族女の元へ。


 身体を縛っていたロープを切り、すぐにその場を離れる。


「……目、合っちゃった」


 作り物のはずなのに、情が湧いてしまう。


「やっぱり、愛のあるセックスの方が好きだ……好きだ」



●●●



「つまり、魔族を殺した人間を殺しただけなら、チョイスプレートに表示されないと」

「うん、たぶん……」


 朝方、戻ってきたユイから話を聞いていた。


「ズズズ、徹夜明けの甘酒……美味」


「お前、それで魔法の家に入れなくなってたらどうするつもりだったんだ?」

「たぶん大丈夫かなって。その時は、入り口で待ってれば良いだけだし」

「まあ、貴重な情報をありがとな」


 深夜に動きがあるとは思ってたけれど、ユイの話を聞く限り、予想以上の事が起きていたらしい。


「魔族討伐数は54。1位のユウスケのパーティーが討伐数21。2位が新しいパーティーで討伐数13。3位も新しいパーティーで数は6」

「元2位だったパーティーは、森で魔族かプレーヤーにやられたんだと思う」

「森か……失念してたな」


 勝手に区画内だけだと思い込んでいた。


「この分だと、今は森の方が魔族が多いかもな」


 気になるのは、サイボーグ男くらいか。


「というわけだから、私も同行する」


 偵察に行って貰うため、ユイは討伐組に組み込んでいなかったのに。


「仕方ない。ただし、一回寝ろ。討伐は午後からだ。シレイア、ユイを頼む」

「あいよ、旦那様」


 さて、昼までに戦況はどう動くか。


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