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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第17章 飛躍の龍意

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662.多様学区での依頼②

 北の魔法区画で、本日私達が請けた依頼は――



★魔法による撃ち合い勝負! (魔法使い一人以上)

 この俺に勝てる奴なんていねー。俺様の最強を証明してやるよ。なぜなら俺は、あの栄光の魔女の末裔だからな!

報酬:俺に勝てたら、俺様の最強Sランク装備の中から一つを選ばせてやる! あの栄光の魔女が使っていた最強最高の装備だぜ!



「依頼する側なのに、なぜこんなにも偉そうなのか」


 私は観客席から、白い学生服のイケメン只人とウララ様が、互いに変な機械の上に乗って対峙している様を見ることしかできない。


『観客のお前達に、このゲームのルールを説明しよう!』


 スピーカーからの声。


「「「「キャー!! パラノイア様ー!!」」」」


 依頼主でありウララ様の対戦相手である男に、黄色い声援が飛ぶ。


「大丈夫ですか、カプアさん?」


 顔が引き攣っていたためか、クマムに心配される。


「いえ……彼女達のああいう雰囲気、昔から苦手で」


 モテる男に媚び諂う姿……人として恥ずかしくはならないのだろうか。


『俺様達の背後にある白い石版は、魔法か準魔法による攻撃しか受け付けない代物だ。勝敗は、どちらが相手の石版を先に破壊するかで決められる! まあ、勝つのは俺、パラノイア様で決まりだがな!』


 なんであんなのがモテるのか、本気で理解に苦しむ。


 いや、作り物の存在だからモテているだけで、ああいう男が実在してもモテないのでは?


「クマムさん、ああいう顔だけの男って実際、モテると思います?」

「モテると思いますよ。芸能人ならよけいに」

「そう……なんですか」


 え、アレがモテるの? 顔だけなのに?


「人間を人間扱いせず、他人を、自分に付加価値をくれる所有物くらいに思っているような人達からなら」

「……な、なるほど」


 意外と辛辣だ、この女。


「今の、半分くらいコセさんの受け売りなんですけれどね」


 コセ……彼は、そういう考えの持ち主なのか。


『相手への直接攻撃は禁止だが、魔法に対する妨害はなんでもありだ』


 敵の攻撃を防ぎつつ、自分の攻撃は当てる。それがこのゲームの肝か。


『準備は良いかな?』

『いつでもオーケーです!』


 最近のウララ様は、いつにも増して麗しい。


『カウントダウンを開始せよ!』


 二人の間を挟んだ奥にある巨大モニターに数字が表示され、数字が減っていく。


 0になると同時に、ブー! という音が鳴り響いた!


『最上位魔法使いの姿を、その目に焼き付けるが良い!! “六重魔法”、ファイアボルトバレット!!』


 詠唱破棄による広範囲攻撃? 最初の口上も含めて、なんて無駄の多い!


『“不可侵条約”』


 浮かせた六冊の書物から“締結の聖典”の能力を使用し、全ての雷火を防ぎきるウララ様。


『ハハハハハ!! なかなかやるじゃないか! だが判っているかな? 今のはハンデ! すぐに終わったら面白くないから、盛り上げるためにわざと魔法の威力が減衰するよう――』


『“三重魔法”、“六重詠唱”』


 ウララ様の周りに、九つの魔法陣が展開される。



『“神代の魔法陣”――“雷雲魔法”、サンダークラウズスプランター!!』



 ウララ様の魔法全てが白い巨大石版に吸い込まれ……被弾カ所からあっという間に黒く染まり、砕け散った。


『…………へ?』

『はい、終了です』


 ……思っていた以上に呆気なかった……え、あんなにイキってたのに?


『も、持ってけ泥棒……』



○以下から一つを選択して手に入れられます。


★真の栄光の杖 ★栄光の魔女の腕輪

★栄光の魔女の外套 ★栄光のティアラ




○○○



「鳥から人に感染しやすい新型インフルエンザウイルスの開発のため、鳥モンスターの捕獲をしてこい」


 眼鏡を掛けた白衣の長身男に、高圧的に頼まれる。


 東の生態区画の端っこ。大きな真っ白な研究所の内部で。


「数は最低でも6。種類は問わないが、多ければ多いほど良い。その分、報酬の“万能プランター”に金も上乗せしてやろう」


「先生、豚コレラを含めた五十を超えるウイルスのサンプル、ここに置いておきますね」


 女の研究者が、にこやかに去って行く。


「殺処分せざるを得ないように速効性と感染力の強い病原菌を作れ? 金持ちどもめ、自分達は金さえ出せば良いと思って……まだ居たのか! 捕獲用のアイテムは森への入り口で受け取れ! 浅ましい冒険者風情が」


 さっさと部屋を出て、建物の東端から下へと下りていく。


「あれがNPCの役目とはいえ、さすがに腹立たしいですね、ジュリー様」


 エリーシャの言葉。


「ちょうど、モモカが同行しないときにこの依頼を請けられて良かった」


 “万能プランター”を確実に手に入れられる貴重な依頼だけれど、この依頼は他の依頼に比べて妙に闇深い。


「人に伝染しやすい鳥インフルエンザに、わざわざ五十のウイルスの存在の仄めかし……」


 あの会話は、オリジナルの時から存在していた。


 “油田島”での依頼といい、パパとママは、陰謀論や都市伝説ネタを積極的にダンジョン・ザ・チョイスに取り入れていた節がある。


 今なら、DSに対する反抗意識ゆえだとも思えるけれど、昔の私には全然ピンとこなかった。


 創作物ゆえに許される、酷い物語の一つとしか。


「そういえば、ネットで叩いている人もいたっけ」


 現体制に反対の危険思想家が作っているクソゲーとか、現実と創作の区別がついていないとか。


「現実は小説よりも奇なり、か……」


 オルフェから話を聞いたときもそうだったけれど、色んな人から敵に関する情報が出れば出るほど、この言葉を実感させられる。


「依頼を請けた冒険者達ね。ほら、持っていきな」


 扉横のカウンターで、不健康そうに太った黒人のおばさんから、ピンクの玉と白いドローンのような物を渡された。



○“捕獲用眠り玉”×99を受け取りました。

○“移送用電磁ドローン”×99を受け取りました。



「さっさと戻って来なよ。じゃないと、アタシが定時で帰れないからね」


 ウザ。


 三人で扉をくぐり、多様学区の周りを囲っている森へと足を踏み入れる。


「どうします、マスター?」

「鳥モンスターを捕獲しながら、他の敵モンスターは殲滅。夕方まで、少しでも素材と経験値を稼ぐよ」


 モモカ、バニラ、クレーレも居ないから、疲れ知らずのNPC二人となら、色々無茶もできる。


「行くよ」



●●●



「あいやー!!」


 袴を履いた男の木刀を避け、胸へと思いっきり突きを繰り出して倒す。


「これで終わりか?」


 依頼を請けたのち、武芸区画の道場までトゥスカ達と移動。そこの師範代に頼まれて“教え子”三十人と順に試合し、勝利した。


「いやー、見事! これで、生意気なコイツらも心を入れ替えるだろう!」


 師範代の男が、嬉しそうに声を掛けてくる。


「自分で戦えば良かったんじゃないのか? 師範代なんだし」


 師範代とかよく分からんけど。


「いやー……万が一負けたら、俺の威厳が無くなるだろう?」


 肩を組まれ、耳元で囁いてきた。


 なんてくだらない見栄っ張り。


「約束どおり、報酬は渡すから。ほら、好きなのを選びな」



○以下から一つを選択してください。


★斬鉄の竹刀(たけとう) ★ライト竹刀(しない) ★ダーク竹刀(しない) 

★栄枯盛衰 ★只ひたすら打ち込め 



「さて、どれを選ぶかな」


 完全に、俺向きの武器は無さそうだけれど。


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