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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第17章 飛躍の龍意

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650.王冠平街

「お、コセ達、一気に凄い人数で来たわね」


 ユリカが出迎えてくれる。


 俺達は十人以上でボス戦を挑んだからな。二、三パーティーが一度に転移してきたような物か。


「おお……」


 祭壇上から見えた景色は、六角柱で出来た建物と人工池が広がる平らな地形。


 特に人工池の広大さに、思わず目を奪われそうになる。


「凄いな。どの辺が王冠なのかは分からないけれど」

「向かいにある城が王冠の由来だよ」


 色々詳しいジュリーが教えてくれる。


「見た目からして、モデルはタージ・マハル。和訳で王冠宮殿て意味があるから」

「王冠……まあ、見えなくもないけれど」


 辺りを一際警戒しているマリナとメグミを見付ける。


 どうやら、二の島組しかまだ来ていないみたいだな。


「お疲れ、マリナ」

「うん、お疲れ。まあ、私は全然戦ってないけれど」


 つまらなそうなマリナ。


「剣の維持は疲れただろう? トゥスカと交代しよう」

「ユウダイの方が疲れてるでしょう? 私ならまだまだ平気よ」

「だそうなので、私達は向こうでイチャイチャしていましょう、ご主人様」

「ちょっと、トゥスカ! ……ぁ」


 さすがに限界だったのか、トゥスカの挑発で簡単に精錬剣が解除されてしまった。


「ここは見晴らしが良いから、仕掛けられる可能性は低いとは思うけれどね」


 ジュリーの冷静な判断。


「……トゥスカ、見張り交代よ!」

「フフ、了解です」


 何気に、この二人は仲が良い。



●●●



 全員が合流後、王冠平街を歩く。


「プレーヤーの姿は見当たらないな」

「私の目から見ても、見える範囲にプレーヤーは居ないね」


 そのステージの情報、全てを手に入れられるメルシュのお墨付きが出たか。


「コセ、さすがに今日はみんな疲れてるから、この辺にしておこう」


 レリーフェの提案。


「……」

「コセ?」

「そうだな、もう少し人気の無い所で切り上げよう。チトセ、その時は念のため、広範囲に煙幕を」

「うん、分かった」


 魔法の家の出入り口を、少しでも把握されないようにするために。


 

             ★



「見られてた?」


 夕食後、モモカとバニラがヨシノとお風呂に行った後に、話題を切り出した。


「街中で一瞬、視線を感じたんだ。移動したらすぐに消えたけれど」

「追ってはこなかったのなら、ただ単にこちらを警戒してただけかもしれませんね」


 イチカさんの予想。


「他に何か感じた人は?」

「私も、たぶんコセと同じタイミングで視線を感じた。値踏みされている気はしたが、すぐに興味が失せた……そんな気がする」

「わ、私も、に、似たような感じ……です」


 リューナと地味カナも感じていたらしい。


「俺と随分違うな……女狙いか」

「感じた視線は一つだったし、さっさとこの街での要件を済ませて進んだ方が良いんじゃないか?」


 ルイーサからの提案。


「明日一日は休息に当て、明後日の早朝から街でのイベントをさっさと済ませて攻略開始。それまでは魔法の家の外には出ない。でどうかな、マスター?」


 メルシュの言うとおりなら、この街でやるべき事はさほど時間を取らないらしい。


「特に意見が無ければ、それで行こうか」


 反対意見は無かったため、俺達は明後日から、四十五ステージの攻略を開始する事となった。



●●●



「どうなんだよ、シレイア?」


 いつものパーティーメンバーで、宮殿内部へとやって来たアタシたち。


「水が無くなってるね」


 中庭の池に張ってあるはずの水が無い。


「ここの池に“天女の羽衣(量産品)”を投げ込む。二度手間にならないよう、先に羽衣を買ってきたってのにね」


 この“天女の羽衣(量産品)”、高いのになんの効果もないんだぞ。


「アプサラスは契約済みですか」

「じゃあ、ここにはもう用はねぇな」


 アルーシャがザッカルを追って外へ。


「行きましょう、シレイア」


 カナに促される。


「マスター、例の視線は?」

「私は何も。シレイアさんは?」

「アタシもだね。カナ」

「今回は何も」


 アタシらが動いた事に気付いてないのか、狙いが別なのか。


「ここまでにプレーヤーは見掛けなかったし、集団じゃなくて個人、もしくは少数で決まりかね」


 先日の視線にアタシが気付けなかった辺り、《エクリプス》による報復とは思えないしねー。



●●●



「“マルチギミックのカンダ”……ですか」

「なかなか悪くない武器ですの」


 一日に一度、ランダムに一点物を売るという謎の店でサカナさんが買ってきたのが、このガード付きの直刀。


「色んな機能が備わったAランク。イチカ向きかと」

「曲刀が手に入るかもと期待してきたが、ダメだったか」


 残念がるリューナさん。


「タルワールやピットが手に入った可能性もあったのですがね」


 ヒビキさんからの情報。


「ここに買いに来てたんですか?」

「偶然見付けて、当時のパーティーメンバーと共に毎日のように通っていましたから」

「俺も期待してたんだけれどなー。斧は出ないみたいでよ」


 ヒビキさんとレンは、元は五十ステージを超えてたんでしたね。


「私が貰ってもよろしいんですか?」

「武具効果が多くて、スタイルに合ってる中で使いこなせるのは、イチカかアオイくらいでしょう。イチカの戦闘スタイルに幅を持たせる、ちょうど良い剣だと思いますの」


 サカナさん、優しい。


「ありがとうございます」

「んじゃ、早くコセ達と合流しようっす!」


 サンヤさんに促される。


「チトセ様、掴まっていてください」

「うん、クオリア」


 ケルベロスに乗って移動する、盲目のクオリアさんとチトセさん。


 二人は移動速度が遅めなので、一緒に乗っている。


 仲良さそうなの……良いな。



●●●



 “王冠平街”の出口で待機しながら、街に用を済ませに行った皆を待ち続けている。


 もしかしたらここで待ち伏せされているかもって可能性を危惧していたけれど、結局誰も居なかったな。視線も感じないし。


「サキって、今三体しか“魔物契約”してないんだよな?」


 ジュリーのテイマーに尋ねる。


「そうですよ?」

「でも、マスターの組めるパーティーの数までモンスターと契約出来るなら、どうして増やさないんだ?」


 ジュリーも含めて尋ねる。


「契約モンスターの大きさとか、色々考慮しないといけないからね。能力が被らないようにとか。狙ってた奴も居たんだけれど、ルート的に遭遇出来なかったりしたし」

「この前のアンラ・マンユは大き過ぎてなかなか呼び出せないでしょうが、契約可能ならしたかったですね」


 サキの補足。


「出来ない相手は魔神以外にも居るんだ」

「重要なイベントや特定のモンスター、SSランク相手だと契約できませんね。倒さないとその場所から出られないタイプなんかは、大体そうです」


「ていうかさ、それなら指輪モンスターで事足りるじゃんか。わざわざ契約する必要あんのか?」


 セリーヌからの指摘。


「指輪モンスターと契約モンスターの違いは主に二つ。一つは打たれ強さです」


「「打たれ強さ?」」


 セリーヌとハモった。


「指輪モンスターだと消えてしまうほどのダメージを負っても退場せず、スキルなどの効果を適用出来る幅が広い。それが指輪モンスターに無い強味です」

「もう一つは?」

「こちらはデメリットになりますが、指輪モンスターと違い、契約モンスターは一部の例外を除き復活出来ません」

「つまり、一度死んだらそれまでってことか?」

「使用人NPCのチップと同じだと思ってください。同じタイプのモンスターと契約は出来ても、人格は違っている。ある意味、本当に生きているような物なんです」


 黒ピカやサタちゃんは、死んだらもう二度と会えないのか。


「来たわよ~」


 レシピや食材を買いに行っていたサトミ、クマムのパーティーが合流。


「よし、四十五ステージの攻略開始だ!」


 開けた場所を全員で、ジャングルへと向かって歩き出す。


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