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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第17章 飛躍の龍意

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648.食人リゾート

 フェルナンダ達三人が戻ってきた。


「どうだった?」

「メルシュから聞いていた通り、上は動物系のモンスターしか出なかったな。宝箱からも、ランクの低いアイテムばかりだったが、面白いのが一つ手に入ったぞ――“炎上衛星”」


 フェルナンダが出現させたのは、小さな人工衛星?


「炎上って、どういう事だ?」

「TPを消費し、火属性の“赤炎線”を長距離まで発射、燃え上がらせる。ただし、“赤炎線”の攻撃力そのものは低い」

「長距離攻撃が出来ても、威力が無いのではあまり意味が無いのでは?」


 ノーザンの鋭い指摘。


「コイツの真価は燃やす所だ。金属や鉱石には無意味でも、布や植物なら確実に発火させる。まあ、使いどころは限られるだろうが」


 上手く使えるとしたら、ヨシノが居るユリカ達のパーティーだろうか。


「そろそろ出発しよう。フェルナンダ、案内を頼む」

「フ、任せるが良い!」


 頼られてるからなのか、いつもよりテンションが高い。


 エントランスから一階奥へと進む。


「暗いですね」


 通路に高さが無いからか、二足歩行になるスゥーシャ。


「上と同じで、ここも荒らされとるね~――マスター!!」


 死角から現れた生首がスゥーシャを狙い、スライムのバルンバルンが庇って肩を食い千切られた!!


「バルンバルン!?」

「これくらい大丈夫、私は水だからね」


 すぐに回復するも、少し体積が減ったような気がする。


「“パラカン”、ゴーストだ」

「おい、他にもいんぞ」


 いきなり出現し、一気に囲まれてしまう。


「相手しててもきりが無さそうだね」


 狭い場所で、直接攻撃がいまいちなゴーストの集団相手は厄介。


「フェルナンダ!」

「“精霊魔法”――ウンディーネ! シルフ!」


 二体の精霊を呼び出し、ゴーストの相手をさせるフェルナンダ。


「ルイーサ!」

「全員、先に進むのを優先するぞ!」


 倒すのは精霊に任せ、最低限の迎撃をしつつ奥へと進む。


「ここ、食堂?」

「止まるな、アヤナ。用があるのはこの奥、厨房だ」


 フェルナンダが促した広い厨房に辿り着くも、生首共の猛攻はやまない。


「待て、アオイ。用があるのはこっちだ。フラッシュ」


 奥の金属扉、おそらく冷凍室の方に進もうとしたアオイを止め、暗い厨房奥の棚を光源頼りでいじり出すフェルナンダ。


「急ぎな、フェルナンダ。どんどん数が増えてやがる!」


 厨房入り口を死守している一人、シレイアからの催促。


「あった」


 フェルナンダがスイッチでも押したのか、壁の一角が沈んで階段が現れる。


「ルイーサ、私が殿(しんがり)やる。先行って」


 アオイの言葉。


「なら、私も残るわ。ここまであんまし戦ってないし」


 アヤナまで。


「なら私も」

「お前はタンク役。一番危険な先頭を進まないでどうする」


 フェルナンダに諫められる。


「スゥーシャ、バルンバルン、二人のサポートを」

「はい、任せてください!」

「すぐ片付けちゃうからねー」


 私とフェルナンダを先頭に階段を降りる。


「三階分くらい下りたか?」


 十メートル程下に別の扉。


「この先は地獄絵図らしいぞ」

「へ?」


 フェルナンダの言葉を疑問に思いつつ、重そうな扉を開ける……真っ暗でほとんど見えない。


「“閃光魔法”、フラッシュボール」


 部屋の中央上部に光源を飛ばすフェルナンダ。


「……これは」


 煉瓦で覆われた部屋床には――床を覆い尽くすほど大量の骨が敷き詰められている!?


「さっきの生首共は、この骨の成れの果てっていう設定がある」


 作り物だと解っていても、この惨状は――


「ルイーサさん、奥から来るよ」


 ユイの言葉に正気を整え、警戒しながら部屋中央へと進む。


『エーサー~――ッッ!!』


 扉を勢いよく開けて現れたのは、老婆のような顔をした猿!?


 私達を見て、ニヤつきながら舌舐めずりをした!!


「“エブゴゴ”。生き物ならなんでも食べるモンスターだ」

「つまり……」


 このおびたただしい数の白骨体は、コイツの仕業か。


「“太刀風”」


 ユイが仕掛けた!


「速い!」


 ユイの初撃を躱しただけでなく、拾った骨で反撃している!


「――ハッ!!」


 “太刀風”の風に神代の力を乗せ、暴風のように炸裂させて動きを止めた!


「“飛剣・靈光”!!」


 私が隙を突いて左腕と胸を大きく切り裂き、怯ませる。


「――介錯」


 首を刎ね、とどめを刺すユイ。


 一時期悩んでいるように見えたが、吹っ切れたみたいだな。


「奥、かなりの数の気配」

「なら、一気に決める」


 “ヴリルの祈りの聖剣”を“ヴリルの聖骸盾”に収め、腰の“大天使の黄金聖剣”に手を掛ける。


「“抜剣”」


挿絵(By みてみん)


 “聖剣光輝”を纏わせた状態で――突きを放つ!!



「“情熱の黄金聖剣”!!」



 扉奥の“エブゴゴ”多数を、まとめて金色の炎で焼き尽くす。


 焼き尽くされた部屋の奥から更に通路を歩き続け、そこから今度は石階段を下りると……波の音が聞こえて来た。


「……外か」


 階段先は崖っぷちになっており、すぐ下では激しく波が打ち付けている。


「随分暗いと思ったら」


 階段上部の崖は、上に行くほどに出っ張っていた。


「フー、ようやくボス扉まで来られたか」


 すぐにアヤナ達が追いついてくる。


「ボス扉?」

「あっちだ、ルイーサ」


 フェルナンダの指先に、壁に埋まるようにボス部屋の扉が。


 あの崖の出っ張りは、上からボス扉が見えないようにするためだったのだろうか?



○○○



 “エコーモンキー”や“レッサートロル”、“バーバリアン”などを撃退し、ようやくお目当ての遺跡に辿り着いた。


 自然に吞まれて半壊しているけれど、目的の入り口らしき部分だけでもかなり巨大。


「結構掛かりましたね。遺跡で休みますか、レリーフェさん?」


 イチカのそれは、気遣いからくるものだろうか。


「そうしたいところだが、その前に、厄介な集団の相手をしなければならないからな」


 メルシュから聞いてはいたが、私の耳で捉えられただけでも相当数だぞ。


「ここから先へは通さないよぉ~。フェフェフェフェフェ!!」


 遺跡の入り口前に、突然老婆が現れた!


「アレが魔女、“ランダ”ですの」


 あの老婆が四の島、最大の障害。


「総員、戦闘体勢!!」

「やれ、お前達!!」


 遺跡の影から現れるは、これまでに何度か戦った覚えがある複数種類の魔女共。


「現れよ、ロックゴーレム!!」


 地面から岩が生えてきて、人型の石像に転じたか。


「もうやって良いわよね、レリーフェ?」


 リンピョンの獰猛な気配。


「まずはイチカ! デカいのを頼む!」

「了解です!!」


挿絵(By みてみん)


 イチカが操る剣、“雄偉なる十字架はこの手の先に”の力――“随伴の十字架”が大量に放たれる!


「――なんじゃと!?」


 十字架がどこかに直撃すると同時に爆発――全てのロックゴーレムを破壊し、余波だけでも相当数の魔女を葬った。


「今だ、リンピョン!!」

「纏めて凍れ!!」


 ユニークスキル、“嘆きの牢獄”で――足下から一気に魔女共を凍結。動きを封じる。


「掃討戦に入る! 一匹たりとも逃がすな!!」


 魔女を逃がさないように戦う。これは、メルシュから出された私への課題だ。


「貴様ら……――よくもッッ!!』


 安っぽい憎悪を滾らせた老婆の声が、戦場に響き渡る。


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