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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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636.醜悪よりも邪悪な悪魔

「……なにをしているんだ、お前?」


 怖くて気持ち悪い人が、煙の中から無傷で出て来る。


挿絵(By みてみん)


 ローゼも、マリアも、お姉ちゃん達まで傷付けて――バニラにまで!!


 バニラの、痛い痛いって気持ちが首輪から伝わってくる――赦せない!!


「なぁにしてるんだって聞いてるんだよ――俺はぁあ!!」


 手に持ってたのが棍棒になって、襲ってきた!!


「装備セット2――“竜化”!!」


挿絵(By みてみん)


 金色の鱗に覆われたつよつよな姿になって、重たい攻撃を左腕の黄金の爪、“ドラゴンキラー”で受け止める!


「その姿は……」

『本当は、嫌だったのに……』


 コセ達と仲良くないときに使ってた姿……皆と一緒に居るようになって、この姿になるのが段々嫌になってたのに!!


『本当は――嫌だったのに!!』


 右手の金の爪、“光輝なる者の運命(さだめ)”から感じた力任せに――右腕を突き出す!!


()()()()()()()()()!?」


 金属の盾に邪魔されて、ちゃんと当てられなかった――次は殺してやる!


『“後輪光輝宮”!!』


 背中に現れた大っきいのから、光の玉をたくさんいっぱい出す!!


()()だからって、調子に乗るな!!」


 金属の筒がたくさんぶつかってきて、吹き飛ばされる!!


『“金色の竜翼”――ぁぁあああッッ!!』


 力いっぱい飛んで、頭突きする!!


『ぅああああああッッ!!』


 “光輝なる者の運命”で胸を攻撃――鎧がちょっと壊れた!!


『やっ――ッッッ!!?』


 顔、思いっ切り蹴られて……首、痛い。


「こっちが手加減してやっていれば――調子に乗りやがってッ!!」


 痛……い。痛い……何度も……踏まないで――コセ。



「――――モモカッ!!」



 コセの声……聞こえた瞬間、身体が軽くなった……?



●●●



「離せ!! 離せ離せ離せ!!」


 モモカを踏みつけていたクソヤローに“神代の天竜”で激突し、皆から引き離す!!


「――ぁぁあああ!!」


 何故か悪魔が入り込まない一画に移動。急停止すると同時に、無様に地べたを転がっていく白人のレギオンリーダー、ルーカス。


「子供に――子供に何をしているんだ、お前はッ!!」


「ハアハア……はあ? 安い倫理観振りかざしてんじゃねぇよ、ジャップ!!」


 侮蔑的な感情……やっぱりコイツも、只のクズか。


 “サムシンググレートソード”に、十二文字を刻む。


「お前ら日本人は()()()()()()()()()!! 白人様に逆らってんじゃねぇよ――“竜化”!!」


 モモカに似た、金色の体表を持つ化け物に!


「レプティリアンだったのか」

『よく知ってるな、クソジャップのくせに!!』

「ジャップ……お前、アメリカ人か?」


 確か、アメリカで広まった日本人の蔑称だったはず。


『は? あんな罪人共と一緒にするな。これでもな、俺には高貴な血が流れてるんだ――イギリス王家の末席の血がな!!』


 突撃――してきたと見せ掛けて、視覚から槍が四本。


「“神代の鎧”」


 槍を弾き飛ばし、これ見よがしに左手の平を突き出す!


 横に避けると同時に尻尾の薙ぎ払いを仕掛けてきたため――尻尾を片腕で叩っ切る!!


『グァァぁ!!』


 痛みに距離を取る蜥蜴野郎。


「“飛王剣”!!」

『それは!?』


 鈍色の武具を必死に並べ、なんとか左の翼の犠牲だけで済ませるルーカス。


『く、くたばれ!!』


 怯えに任せるように、武具の群れを飛ばしてきたか。


「“六腕”――装備セット3」


 右の義腕に“ケラウノスの神剣”と“ヴェノムキャリバー”、左の義腕に“魔術師殺しの剣”と“ザ・ディープシー・カリバーン”、左手には“偉大なる英雄竜の猛撃剣”を装備――全ての武具を力尽くで弾き飛ばす!


挿絵(By みてみん)


『ど、どうした? ご自慢のSSランクは使わないのか?』


 さすがに気付いていたか。


「悪いな、今は使えないんだ」


 この局面を乗り越えるためにカナとマリナにSSランクを預けたため、今の俺が新たにSSランクの剣を生成するのは不可能。


 けれど、目の前に居るような頭クズには、他者に貴重なSSランクを貸し与えたなんて想像も出来ないだろうな。


『クソジャップ如きが――舐めてんじゃねぇぞ!!』


 感情的になったからか、今度こそ正面からぶつかってきた!


『が……押されて』


 “アルティメット・ハフト”の能力は、鈍色の武具を無数に生み出して操るというもの。“ブラッディーコレクション”のような変幻自在な扱いは出来ないため、まだ相手しやすい。


「“神代の剣”」

『――ぁぁああああッッ!!?』


 “サムシンググレートソード”に青白い刀身を纏わせて目を引き、“偉大なる英雄竜の猛撃剣”で壊れた鎧の隙間――胸部分を貫いて見せる。


「小賢しいフェイントを仕掛けてくる割に、自分はフェイントに弱いんだな」


『黙れよ――黄色い猿がぁぁああ!!』

「お前が黙れよ、蜥蜴野郎!!」


 全ての剣に鎧から十二文字分の神代の力を流し込み――鈍色の武具の群れを砕き斬る。


『バカ……な』


「――“雷霆剣術”、ケラウノスプリック」


 “アルティメット・ハフト”から生成されていた剣の腹を貫き折り、鎧の上から腹を深々と突き刺す。


『が……ぁ』

「“二重武術”――クロススラッシュ!!」


 両腕と下側の義腕で二つの斜め十字を見舞い、鎧ごと身体を大きく切り裂いた。


「ハアハア、ハアハア」


 さすがに……キツくなってきたな。


 けれど、ようやくあの蜥蜴野郎の姿が人間に戻った。


「……に、逃げ」

「ビビってんのか? 高貴な白人様が」

「――黙れぇ!!」


 思えばコイツ、俺が現れてからずっと怯えているように見える。


「野蛮な黄色人種が――お前ら薄汚いジャップさえ居なければ、この世はとっくに白人の――イギリスの物だったんだ!!」

「アメリカの間違いだろう」


 奴が逃げ出さないよう、ゆっくりと近付いていく。


「ハッ!! 何も分かっていないな、黄色い猿が! アメリカは、イギリスから流れた罪人共が原住民を殺しまくって作った国。今も昔も――罪人奴隷ども(アイツら)イギリス(おれたち)の言いなりなんだよ!!」


「そうか――“超噴射”!!」


 能書き垂れている間に間合いまで入り、男の身体に六振りの剣を突き刺す!!


「――み、“身代わり”ぃぃッッ!!」


 致命傷を負わせ、剣が抜けて転がっていった次の瞬間――奴の傷が塞がっていく!?


「“身代わり”……まさか、始まりの村で手に入るスキル!?」


 コイツ、自分の奴隷に致命傷を押しつけやがった!!


「――死ねッ!!」

「ぁぁああああああッッッッ!!!」


 一刀で頭をかち割って――後ろに跳ばれたせいで、左眼しか切り裂けなかっただと!?


「クソ!」


 なら追撃して、今度こそ終わらせるだけ――



『――ハイ、時間切れー! 両者レギオンリーダーが時間まで生き残ったため、今回の突発クエストは勝者無し! ざーんねん!』



 身体が動かなくなり、光になって消え出す!


「は……ハハ! やはり、運命の神は俺様を愛しているらしい」


 左目を押さえながら、狂気が滲んだ笑顔を向けてくるルーカス。


「絶対に許さんぞ、ユウダイ・コセ。お前もお前の仲間も、必ずこの俺が――惨たらしく皆殺しにしてやるッッ!!」


 絶対に仕留めなきゃいけない相手だったのに――俺は!!


「そして、モモカは絶対に俺の物にしてやる――お前への憎しみを思い出す度にモモカをファックしまくって、顔をグチャグチャに殴って、手脚を切断して――飽きたら血肉を貪り喰ってやるぅぅぅぅぅッッッ!!!!」



「――――なら、クエスト後にすぐにこの場所に来いッッッ!!!」



「ヒッ!!」


「そんなに俺を殺したいなら、すぐに決着を着けてやるッ!!」


 その言葉を最後に、俺はクエスト直前にいた場所……“神秘の館”のリビングへと転送された。



◇◇◇



『……あっぶなー』


 もうちょっとで、コセに“アルティメット・ハフト”を奪われちゃうとこだった。


『残り二十四秒だけだったけれど……バレたらペナルティー食らっちゃうかなー、これ』


 まあ、前例もあるし、アイツらにSSランクが渡るよりはマシだって判断して貰えるはず……たぶん。


『つうかアイツ、まじ弱すぎ。SSランク持ちがSSランク無しに負けるってどういう事よ!』


 やっぱり、神代文字って狡くね? 私らが潰さなきゃいけないアイツらしか使えないチート能力とか、ゲームバランスクソすぎっしょ!


『誰かどうにかしてよ、ここんとこさー』


 私、もう知ーらない。



●●●



「……」


 “退廃と快楽の都”で、最後に戦いを繰り広げた場所で待つこと一時間以上。


「やっぱり来ないか」

「コセ」


 現れたのは、ヴァンパイアロードの隠れNPC、エルザ。


「ルーカス率いる《カトリック》の生き残りが、ボス扉の中へと逃げた」


 街の祭壇とは逆方向に、ボス部屋の扉はある。


「……そうか」


 結局、あの蜥蜴野郎は逃げたのか。


 悪魔の領域からボス戦。ろくに休む暇も無く今回のクエスト……みんな、もう限界だったため、向こうに戦力を回す余裕は無かった。


「むしろラッキーだったかもな。あの人数とSSランク持ち相手じゃ、疲弊したお前では万が一もありえた」

「……だな」


 クソ! 感情的に喋ってないで、クエスト中にとっとと仕留めていれば!


「なるようにしかなりませんよ、コセ様」


 ドライアドの隠れNPC、ヨシノが迎えに来てくれる。


「帰りましょう。皆さん、貴方を待っていま」す」

「……うん」


 今日は……ずいぶん長い一日だったな。


第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔達 完結です!

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