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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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633.ハンニバルデビル

「ハアハア、ハアハア」

「悪魔、こっちには来ないみたいですね、ノーザンさん」


 馬獣人のケルフェが知らせてくれる。


「悪魔の大群が現れるなんて思ってなかったから、《カトリック》を始末するのに力を使いすぎた」


 始末できたのは、ケルフェと二人でたった八人。


 多ければ百人超えのレギオン。コセ様のためにも、もう少し片付けておきたかったのに。


「は、離せぇぇッ!!」

「やめてぇぇぇ!!」


 見覚えの無い集団三人が、大型の黒ネズミ、“デビルハムスター”によって生きたまま食い殺される。


 任務で盗賊を探していたら、洞穴の中でネズミ系のモンスターに食い殺されていたなんて例は少なくなかったな。懐かしい。


「《カトリック》の奴等か――なに、この感じ?」


 怖気の正体を探ろうとした瞬間、地面に走る赤光の地割れから黒灰色の腕が伸びてきて……デビルハムスターを掴んで引きずり込んだ!?


「なんですか、今の?」

「解らない。けれど――」


 更に何度も腕が伸び出て、そのたびにデビルハムスター、更にはレッサーデーモン、イービルスパイダーと、どんどんモンスターを引きずり込んで!!


「ここもマズそう。離れた方が――ケルフェ!!」

「しま――」


 見えていたのとはまったく別の場所から伸びてきた腕に、ケルフェの足が掴まれた!!


「“超高速”!」


 引き摺られていくケルフェを急いで追う!


「“超竜撃”!!」


 赤い光に引きずり込もうとする腕を、間一髪で切り飛ばした。


 ユリカさん達が根獄で手に入れたというブラウンの斧、“グレイトドラゴンアックス”……コセ様とのお揃いで♡


「ノーザンさん!」


 僕に向かって、今度は腕が三本も襲い掛かってきた!?


「“超高速”!」


 ケルフェを抱えながら、屋根の上へと逃れる。


「あの腕、赤い光のどこからでも現れるのか」


 赤い光のラインの一部が、ひときわ強く輝き出した!!


『ギィァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!』


 腕を一つ失った、元八本腕の異形が姿を現す。


 青灰色の爬虫類のような肌を持つ、二足歩行で首が埋まった……まさしく悪魔、化け物という呼び名が相応しい不自然な異形の存在。


「く!」


 凄まじい瞬発速度で、屋根の上まで追い掛けてきたか!


『ギギギ!』


 腕を明後日の方向に伸ばし――捕らえたグレーターデーモンを、口を大きく歪ませて食い千切った!?


 しかも、僕がぶった切った腕が再生したばかりでなく、身体が一回り大きく!


「コイツ、捕食する事で力を増すタイプのモンスターか!」


 なら、今ここで始末しないと危険すぎる。


 何より、赤い光の中から出て来た今しか、コイツを仕留めるチャンスは無いと思った方が良い。


「ケルフェ」

「はい、仕留めましょう!」


 幸い、あの捕食悪魔を恐れてか、他の悪魔達は一定の距離を保ってこちらへは近付いて来ない。


「“雪玉発射”!!」


 腕の一本を盾に、構わず距離を詰めてきた!?


「“獣化”――“闘気盾”!!』


 馬の人獣になったケルフェが、正面から隻眼の盾を掲げて体当たり。


『“砂鉄盾術”――アイアンサンドチャージ!!』


 屋根を飛び出し、向こうの家の壁へと自分から突っ込むケルフェ。


『クッ!!』


 不自然に壊れない家の壁からケルフェが弾き飛ばされ、逆に向かいの壁に叩き付けられる!


「“獣化”――“超高速”!!』


 ケルフェに襲い掛かろうとする捕食悪魔の背後を、牛の人獣形態で取った!


『――“極寒断ち”!!』


 “極寒忍耐の破邪魂”の力で、凍結切断!!


『コイツ!!』


 二本の腕を犠牲に、本体への直撃を避けた!?


『――砂嵐脚!!』


 僕に気を取られた捕食悪魔の頭をケルフェが狙うも、あちらも腕二本を犠牲に防がれてしまう!


 弾かれた捕食悪魔は下側の腕でバランスを整えながら、最上部の腕二本を伸ばしてアークデーモン、バットアバターを新たに捕食――再び腕を再生させるだけでなく、腕が十本に増えて蝙蝠の翼まで生えた!?


『――“暗黒砲”!!』


 口から暗黒の砲撃を!?


『“超高速”!』

『“早駆け”!』


 凄まじい威力――余波だけでこれなんて。


『『ああああッッ!!』』


 伸縮する十本の腕で、二人とも回避直後に殴り飛ばされたッ!!


 アイツ相手に、消耗を抑えるとか考えている場合じゃない!


 ケルフェも同じ考えに至ったのか、同時に“獣化”を解除。


「“ニタイカムイ”!」

「“ミケカムイ”!」


 互いに武具に九文字刻むと共に、僕はパワー特化、ケルフェは速度特化の神を降ろす。


 息つく暇もない程の激しい攻防の末、奴の腕をボロボロにしていく。


 捕食さえすればいくらでも再生できると理解しているからなのか、躊躇いなく腕を盾にし続けるか、この悪魔。


「ぁあッ!!」


 ケルフェが、尻尾で弾き飛ばされる!!


 腕に注意を引き付け続けてからの、尻尾の薙ぎ払い……コイツ、間違いなくそこらの悪魔よりも知能が高い。


「しま!!」


 こちらの攻勢を崩されたところで、三度悪魔の捕食を許してしまった!!


 しかも、今度は身体が一回り大きくなるだけでなく前傾姿勢となり、肌が黒い装甲に覆われていく。


「く――“凄愴苛烈”!!」


挿絵(By みてみん)


 もはや、一刻の猶予もない! 無理をしてでも一気に仕留める!!


『ギギギィッ!!』


 身を削る身体強化を施しても、ここまで強化された奴の守りを崩せないどころか、余裕であしらわれてしまう!


「“超竜撃”――“極寒断ち”!!」


 武術よりも早く繰り出せる武具効果で攻撃し、刹那の隙を作り出す!


 お願い、ケルフェ! なんとかこの隙を突いて――


「“閃光の如き生き様”――――“殴打撃”!!」


 悪魔の感知を掻い潜って、白い閃光の一撃が捕食悪魔の脇腹を打ち据え――吹っ飛ばした!?


「えっと……コトリ?」

「無事だった、ノーザン?」


 笑顔で余裕そうだな、コイツ。


『ギ……ガギ――ィィィ!!』

「アイツ、逃げるきか!!」


 捕食する素振りすら見せず、一心不乱に。


 どれだけコトリの一撃が堪えたのか、知能が高い故に恐怖感もいっぱしなのか。


「追うよ、コトリ、ケルフェ!」

「いや、大丈夫だと思うよ」

「へ?」



「――“神代の聖十字”」



 捕食悪魔の背後から迫る青白い滅却の光により、呆気なく、跡形もなく……捕食悪魔は滅び消えた。


「今のは……」


 暗がりから現れたのは、豊かな橙髪を靡かせた銀鎧の戦士、イチカ。


挿絵(By みてみん)


 そのイチカの手の十字架には、僕が未だ到達し得ない領域、十二文字の神代文字が刻まれている。


 ……コセ様と出遭ってから、いったいこれで何度目の嫉妬だろうか。


おまけ

グレイトドラゴンアックス

挿絵(By みてみん)


極寒忍耐の破邪魂

挿絵(By みてみん)

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