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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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632.熾天使と紺碧の波音

「“天使法術”――エンジェルランサー!!」


 光の槍群で、上空から現れた悪魔達を蹴散らす。


「ハアハア」


 “念動力”で操る細剣で数を減らしていくも、数が多過ぎる。


 少し離れたところから集団が戦闘している気配はするけれど、仲間でない以上当てにはできない。


「“泥土斧術”――ベリアルスラッシュ!!」


 鬼のような悪魔を両断してくれる、山猫獣人のサンヤさん。


「他と合流できないうちに、とんでもない事になっちゃったっすね」

「本当ですね」


 一人ではないだけ、精神的にかなりマシですけど。


「……なんか、悪魔が減った?」


 サンヤさんの疑念に応えるように――地面の赤い光から、巨軀の悪魔が這い出てきた!?


「昆虫のような甲殻を持つ悪魔……まさか、デーモンロード?」

「グレーターデーモンよりも強そうですね」



「“蒼穹槍術”――アジュアストライク!!」



 黄金のランスにより、悪魔の胴体を刺し貫く……タマさん?


「“情熱の黄金槍”!!」


挿絵(By みてみん)


 突き刺さったランスの穂先から、激しい金色の炎の奔流!?


『“終末の――』

「――させない!!」


 左手のSSランク、“亡者の怨嗟が還る場所”によって、辺りの悪魔ごと、手負いのデーモンロードを神代の力が混ざった黒い靄で切り刻み、光へと変えてしまう。


「向こうにマリナさんやリューナさんを見付けました。合流しましょう、皆さん!」


「あの、モモカちゃんとバニラは?」

「優先して捜したんですけれど、まだ見付かってません」


 もう、誰かと合流していれば良いんだけれど……。


「ヤバいっすね。合流を急ごうっす」


 デーモンロードが倒されたからなのか、悪魔の数がまた増えてきている。


「私が先導するので、付いてきてください!」

「判りました!」

「よろしくっす!」


 タマさんに案内される横で、先程から感じていた敵レギオンメンバーと悪魔達との戦闘を目撃。


「……今のは」


 私の“アイドルドレス”に似た格好の人が目に入る。


「クッソ!! ……――逃げてんじゃねぇぞ、テメーら!! “光輝砲”!!」


 私達に気付いたアイドルのような格好の人が、こっちへ攻撃してきた!?


「――“熾天使化”」


 サブ職業、“熾天使”の能力を発動――六枚の翼と共に天威を纏い、単一の光属性攻撃によるダメージを完全に無効化する。


「よくも――」


 随行させていた“飛龍雲河の細霊剣”を左手で掴む!


挿絵(By みてみん)


 前のレギオン戦で手に入れ、私に下賜された初めてのSランク。



「――“飛龍雲河”ッ!!」



 雲で形作られた巨龍を切っ先から顕現――不届き者へと天罰を与えん!!


 多数の悲鳴と共に、光が立ち昇っていく。


「あの女は……」


 見当たらない……今ので消し飛んだ?


 ……何で、こんな嫌な感じがするんだろう。



●●●



「“暴風魔法”――ダウンバースト!!」

「“颶風魔法”――ストームダウンバースト!!」


 エレジーちゃんと背中合わせに風圧の魔法を発動――蜘蛛やサソリ、蜂なんかの虫悪魔達を押し潰す!


「このままだと、あっという間にMPが尽きてしまいそう」

「ここは一度、ギルマスと合流しますか?」


 エレジーちゃんから、コセさんと合流する案を出してくるなんてね。


「フフ」

「何か?」

「ううん、エレジーちゃん、ちょっと明るくなったなって」


 四十ステージで全員が合流してから、少しずつエレジーちゃんのコセさんへのわだかまりが小さくなっていく感じはしていたけれど、数日前のレギオン戦以降、かなりトゲが無くなった気がする。


「コセさんのこと……許したの?」

「……その代わり、自分がふしだらに思えて来てます」

「ふしだら?」


 エレジーちゃんて、言動は清楚そのものだと思うけれど。


「もしかして、ムッツリスケベだったの?」

「――ちがいます」


 スッゴい冷たい声で返されたんだけれど!?


 ――脇の通路から、鎧の擦れる音が聞こえてきた!


「て、ナターシャちゃん!?」


 頭から血を流したナターシャちゃんが、力なく倒れ込んだ!


「すみません、不覚を取りました」

「エレジーちゃん、警戒をお願い。ハイヒール」


 ナターシャちゃんの傷を癒やす。


「悪魔が多すぎて、このままだとマズいですよ」

「では、建物の中に。外よりは安全なはずです」


 動けるようになったナターシャちゃんが指し示す小さな建物に、三人で移動する。


「地面から!?」


 目的の建物前の赤い光から、蛇人間みたいな化け物が出て来た!!


『シャー!!』


 腕や背から生えた蛇で、私達を攻撃して来る!


 エレジーちゃんとナターシャちゃんが対処してくれるも、下手に動けなくなってしまう。


「“ゴルゴングリード”。黒鬼と同格のモンスターです」


 この乱戦状態じゃなければ、大した敵じゃなさそうだけれど。


「二人とも、耳を塞いで! ――“紺碧の波音”」


挿絵(By みてみん)


 左腕の青緑の細盾、“紺碧の海は波音を奏でて”を杖で叩いて、周囲に音の津波を拡散。音の波を浴びた悪魔モンスター達の動きを封じる!


「今よ!」


「“暴風斧術”――サイクロンスラッシュ!!」

「“聖騎士武術”――パラディンストライク!!」


 二人の攻撃が決まり、“ゴルゴングリード”が倒された。


「装備セット2。先に行ってください!」


 剣から豪奢な銃に持ち替えたナターシャちゃんが、殿を買って出てくれる!


 エレジーちゃんを先頭に、目的の建物に侵入。すぐにナターシャちゃんもやってきた。


「これで、入り口と窓以外からは悪魔は入ってきません」

「だから、窓の少ないこの小さな建物を選んだのね」


 現実だったら、建物ごと攻撃される可能性もあっただろうけれど。


「私達にできるのは、時間切れになるまでここで籠城することだけですか」


 エレジーちゃん……歯痒そうね。


「仕方ないわ、エレジーちゃん」


 今は、勝つよりも生き残る事を優先しなきゃ。



◇◇◇



『うーん、ちょっとやり過ぎちゃったかな~』


 悪魔の大群が多すぎて、レギオン同士のバトルどころじゃなくなってきちゃった。


『ていうか、あの馬鹿ルーカス。この私が、せっかくお膳立てしてやったってのに』


 わざわざコセとルーカスの間の道には悪魔が近付かないように設定してやったのにさ。


()()優先してんじゃないってーの、典型的な低周波人間が』


 イギリス王室の血筋だかなんだか知らねーけど、本当、思い通りに動かない役立たずばっかだわ、アイツのレギオン。


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