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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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615.マキシマム・ガンマレイレーザ

「ヨウナ、全員配置に付いたぞ」


 《エクリプス》幹部のカヨコからの伝令。


「準備万端だねー」


 真ん中の城の最上階で、私の愛おしいSSランク、大型機械砲――“マキシマム・ガンマレイレーザ”を構える。


「予定通り、開幕と同時に一発ぶっぱなすから」


 それで何人か仕留められれば御の字。


 一昨日、祭壇から下りてきた《龍意のケンシ》の人数は五、六十人。こっちの総数は百二十七人。


「私の一発でビビらせて守勢に回った所に特攻隊をぶつけて、数押しでエンブレムを破壊。うちの必勝パターン」


 SSランクを手に入れてからというもの、なんでもありの奪い合いで敵レギオンを全員奴隷にし、ここまで勢力を拡大させてきた。


「《日高見のケンシ》と《白面のケンシ》はレギオン戦に持ち込む前に逃したけれど、今度こそ新しい男を手に入れてやるわ!」


「まだ男の奴隷が欲しいのか?」

「カヨコだって、今居る男とのセックスは飽きたって言ってたじゃん。レイラとナナ、スン、ユジュ、それと……バレリアとシャーロットもそんなこと言ってたでしょう」


 もう一ヶ月以上、新しい男を仕入れていない。


「コセってやつ、なかなか私好みの顔してたし、あれだけ女侍らせてるんだから、性欲も人一倍でしょう」


 五、六人で回して、一晩中イかせまくってやるわ!


『レギオン戦開始、十秒前。八、七、六……』

「ようやくか」


 スコープを除き、遥か遠くの敵陣地へと狙いを付ける。


 ……櫓が幾つもあるのに、昇っているのは黒い鳥人の女? 一人だけか。


『一、零! レギオン戦、開始!!』


 虚空から響く無機質な音声が途切れると同時に――SSランクの最大火力で()()()()()()()()()()()()()()!!


「――行けやぁぁ!!」


 極太のレーザーを上空で分散させ、奴等の陣地全域にレーザーの雨を降らせる!!


「ハーッハハハハハハハ!!」


 さっきの黒い鳥人は櫓もろとも消滅したみたいだが、他に何人くたばったかな?


「……よしよし」


 中立地帯に入るための三つの扉のうち、左右の扉を自分たちでぶっ壊して特攻隊、約百人が中立地帯に流れ込んでいる。


 向こうに動きはないし、このままこっちの軍勢が敵陣地に到達するまで何度かレーザーをぶっ放して足止め。屋内での戦闘になればこっちの勝ちは決まったようなも――向こうの木造の屋敷エントランスから、二人の人間が飛び出して来た?


「速い……狙いを付けるのは無理か」


 あっという間に壁の影に隠れて……ここから壁諸共にぶち抜いてやれば――


「な!?」


 自らの陣地の左右の扉を、自分達でぶち抜いて来ただと!?


「ヨウナ?」

「仕事が速すぎる――いや、それよりも」


 このままだと、たった一人で約五十人の軍勢とぶつかる事になるぞ!



●●●



「いつまで保てるか判らない」


 《エクリプス》がSSランクを二つ以上所持している前提で考えられたコセの作戦は、私とルイーサにそれぞれSSランクの剣を持たせての特攻。


 開始早々に撃ってこなければ、私かルイーサが犠牲覚悟で突っ込む予定だった。


 囮のつもりで配置していた夜鷹の“鳥獣戯画”バージョン、ヨっちゃんだったけれど、まさかこっち陣地全域を攻撃して来るなんてね。


「こっちに来るぞ!」

「撃ち落としなさい!」


 十を超える魔法陣が一斉展開。


 ――“雄偉なる明星は救済を願いて”を振るい、放たれた様々な遠距離攻撃諸共に天雷で吹き飛ばす!!


挿絵(By みてみん)


「うぅ……」

「まさか……今のって」


 敵軍は壊滅状態。まだ戦えそうなのが何人か居るけれど。


「これだけの力を、ポイントの消費無しで自由に振るえるなんて」


 自分で使ってみたからこそ、より実感する。


 SSランクは、このダンジョン・ザ・チョイスのゲームバランスを破壊しすぎる。


 野原を超え、敵が自分で破壊した扉から敵陣地へと向かう。


「……まさか、共鳴精錬した剣を自分が同時に使えないからって、私達に使わせるのを選ぶとは」


 コセは、自分の手柄に固執しない。


 効率的で大胆な方法を、躊躇なく実行する決断力と度胸がある。


「私の旦那は――世界一だな!」



●●●



『私の旦那は――世界一だな!』


「ジュリーの奴……」


 レギオン戦専用のアイテム、“通信機”で連絡を取ろうとしたら、いきなり惚気セリフを聞かされることになるとは。


 右側の扉を超えて、敵陣地へと突入――――レーザーが迫ってきた!!


「“守護武術”――ガーディアンランパートッ!!」


 咄嗟に生み出したオーロラのカーテンで防ぎつつ、突破される前に守りに優れた城壁を生み出す!


挿絵(By みてみん)


「チ!」


 城壁で弾かれたレーザーを操って、障壁を掻い潜ってくるか!


「“障壁支配”!!」


 ユニークスキル、“障壁の支配者”の力で障壁扱いのガーディアンランパートを自在に変形――無数のレーザーを防ぎきる!


 ――レーザーが放たれていた真ん中の城のような屋敷上部に雷が直撃し、私を襲っていた青白い光線の奔流が途切れた。


「助かったぞ、ジュリー」


 彼女が屋敷上部から侵入するのが見える。


 私もすぐに追いかけ、屋敷に乗り込む。



●●●



『敵のSSランク使いと二人が戦闘を開始したのを確認――待機部隊、進軍せよ!』


 “拡声器”を使用したレリーフェの凛々しい声が、俺の寝室にまで聞こえてくる。


「やはり、こういう役割はレリーフェさんにピッタリですね」

「だな」

「う~ん、いちご大福、美味しい~」

「ほんま、サトミは料理が上手やね~」


 ドライアドのヨシノ、マクスウェルのフェルナンダ、スライムのバルンバルン、九尾のタマモなど、隠れNPC組が吞気にお茶してる……。


「コセ、アーン!」

「あ、アーン」


 膝上のモモカが、手をベタベタにしながら千切ったごま大福を口に運んでくれる。


 あのうどん屋の一件以来、俺に食べさせる事にはまってしまったらしい……恥ずかしいからもうやめて。


「本当に、クリスとレン以外の隠れNPCは参加しないつもりなんだな、今回は」


「プレーヤーの成長を妨げたくないからね~」

「本当は使用人NPCも不参加にしたかったんだけれど、今回は彼女達にとって初の本番だし、レミーシャにはクオリアのサポートっていう仕事があるしね」


 シレイアとメルシュも、羊羹食ったりお茶を飲んでリラックス。


「随分落ち着いているな、お前ら」

「コセさんが落ち着いてますからね。バニラちゃん、アーン」

「ヤ!」

「ええー……」


 バニラに拒まれて落ち込む、テイマーのサキ。


「はい、バニラ!」

「アウ♪」


 モモカのごま大福は喜んで食べるバニラ。


「俺がって?」

「お前が大将だからと言うのもあるが、お前には、自分が顕現させたSSランクの消失が判るのだろう?」

「なら、コセが慌てない限り、ジュリーとルイーサは無事って事だ余! ――アッつ!?」


 フェルナンダとナノカの意見に、一応納得する。


「それで、マスターは大丈夫? SSランクの同時顕現維持はキツいんでしょう?」


 メルシュの心配げな顔。


「俺は維持だけに集中してるからな。思っていた程キツくはないよ」


 距離が離れれば離れるほど、維持しづらくなる感覚はあるけれど。


「EXランク、“奴隷神の腕輪”……まさか、こんなにも早く使い道が見つかるなんてな」


 この前の突発クエストでエレジーが手に入れたという、Sランクよりも珍しいEXランクアイテム。


 装備したレギオンリーダーのレギオンメンバー全員を俺の奴隷扱いにし、たとえ俺のTP・MPが尽きても、発動した能力の消費に合わせて奴隷達から均等にTPやMPを削るという代物。


 ジュリーとルイーサが奴隷扱いになったことで、今は“連携装備”が適用されている。


 本来の意図とは違う使用方法なんだろうけれど、おかげで二人にSSランクを貸し与える事が出来た。


「デメリットは、“奴隷王の腕輪”とほぼ同じ。パーティーメンバーからレギオン全体に対象が拡大されただけ」


 サキの言葉。


「……ああ」


 俺が死ねば、奴隷扱いになっているレギオンメンバー全員が死ぬ。


 観測者側が用意したアイテムであることを考えると、デメリットの方を期待して選んだ可能性が高そうだ。


「万が一の時は、我々も戦いますので。ですが、その必要はおそらく――」



『レギオン《エクリプス》の大将、ヨウナが敗れた事により、レギオン戦は終了! 《龍意のケンシ》の勝利!』



「え、もう?」


 ヨシノの言うとおり、隠れNPCも俺も、全然出番が無かったな。


おまけ

雄偉なる明星は救済を願いて

挿絵(By みてみん)


雄偉なる双聖女の極光聖剣

挿絵(By みてみん)


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