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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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612.魔神・光輝天

「魔神・光輝天の弱点属性は闇。有効武器は槍。危険攻撃は、無数の光球を放ってくる“後輪光輝宮(こうりんこうききゅう)”だよ」


 いつものメルシュの講義だけれど、今回の危険攻撃はいつもと違って大仰な感じだな。


 というか、ルイーサの装備に名前が似ている。


「その危険攻撃はどういう物なん?」


 サンヤの質問。


「背後に光の後輪を出して、そこからある程度追尾させられる光球を撃ち出してくるね。何発撃ってくるかは判らないけれど、MPが尽きるまで撃つことが可能だから、最悪、百発くらい放ってくる可能性もあるね」


 かなり厄介そう。


「ステージギミックは?」

「天井から頭サイズくらいのクリスタルが二つ、定期的に落ちてきて天使に転じるよ。一番強いのが“スローン”、次点で“ドミニオン”……て解る?」


 俺達は散々天使と戦ったけれど、別ルートを通ったメンバーはどうなんだろう? まあ、正確には天使じゃなくて堕天使だったけれど。


「“ドミニオン”は解るけれど、“スローン”は遭遇してないかな」


 コトリの言葉。


「私達は大天使としか戦っていないが、“スローン”はどの程度なんだ?」


 ルイーサ達は上を選んだのか。


「大天使と比べたらだいぶ弱いよ。だよね、マスター」


「大天使は判らないけれど、“スローン”は“ドミニオン”よりも少し強いくらいだったな。動きが良くて身体能力も少し上って感じだ」


 後は、“スローン”の方が飛行しながら攻めて来がちだった気がする。


「何はともあれ、いつも通り速攻が望ましいって事だな!」

「半端にダメージを与えるのが、一番危ない物ね」


 脳筋思考のザッカルとナオだけれど、実際その通りだからな。


「それでは、私達から挑ませて頂きます」


 イチカさん達が最初にボス戦へ。


「ルイーサ、結構ボロボロだな」


 傷は治しているだろうけれど、鎧がすすだらけだ。


「状況と相性が悪い敵がいてな。少々手こずった」


 相性しだいでは、レギオンでトップクラスの実力者であるルイーサでも手こずるのか。


「そういえば、大天使を倒した時に変なアイテムを手に入れたぞ、メルシュ」


 ルイーサが実体化させて見せたのは、赤味を帯びた白い炎が揺らぐ……豪奢なランタン?


「“ミカエルの情熱”か。他に大天使と戦った人は?」


「リエリアちゃんが持ってるはずよ♪」

「は、はい、持ってます!」

「私も」


 リエリア、チトセ、クマムから似たようなアイテムがメルシュの手に。


「みんな、結構大天使に挑んでたんだね」

「で、どういうアイテムなんだ?」

「さあ?」


 分かんないのかよ!


「隠れNPC、アークエンジェルを手に入れるためのアイテムだよ」


 ジュリーが教えてくれる。


「“ミカエルの情熱”、“ガブリエルの情熱”、“ラファエルの情熱”、“ウリエルの情熱”の四つがあれば、アークエンジェルと契約できる」


 本当にもう隠す気無いんだな、ジュリーのやつ。


「残念。“ウリエルの情熱”が無いね」


 全然残念そうに見えないメルシュ。


 あいつ、今までと違って今回の隠れNPCと契約する気ないだろ。


 まあ、メルシュの“英知の引き出し”でも隠れNPCの入手法は解らないはずだから、当然の反応なんだけれど……。


「なら、換金だな。次の都市でだけ高額で売れるアイテムだから」


 情熱を売る……まあ、良いか。


「ていうか、なんで天使で情熱? イメージが結び付かないんだけれど」

「天使は神への情熱で常に燃え上がっている、と本で読んだことありますよ、私」


 ナオの疑問に答えるクマム。


「本では巨大で、全身が輝いているとか書かれている割に、絵画とかだと翼の生えた人間のように描かれる事が多いがな」

「確かに不思議だね」


 リューナとジュリーの言葉。


 この二人、だいぶ打ち解けたな。最初はまあまあギスギスしてたのに。


「まあ、神話って結構適当だからね。他の民族や民族が崇める神を悪魔呼ばわりして民族浄化を正当化したり、宗教の派閥争いに利用されたりとかさ」


 シレイアが、くだらないとでも言いたげなテンションで身も蓋もない事を言い出す。


「天使で有名なミカエルだって、勢力によっては堕天使扱いされたりしますしね」


 クマムは、意外と天使に詳しかったりするのだろうか?


「そう言えば、神話の化け物のモデルが敵国の軍勢だったりするんだっけ?」

「日本だと、天皇家は元々神って事になってますね。本来は不死身? 不老なんでしたっけ?」


 ヒビキさんまで話に入ってきた。


「まあ、神話なんて、現代の創作物と本質的には変わらないんだろう。創作物が最初からフィクション扱いで、神話が半ば実話として扱われているというだけで」


 ジュリーのぶっちゃけ話。


「そう聞くと、一気にバカらしくなってくるな、色々と」

「なにがだ、リューナ?」

「日本人には実感しづらいかもしれないが、私達の生活には、その神話を元にした宗教のしきたりが根付いている。日本には国教は無いらしいが、葬式とかは基本的に仏教式だろう?」


「まあ、そうだな」


 いただきますの挨拶とか初詣とかも、一応は宗教からか。


 キリスト教の幼稚園に居たときは、イエス様に感謝をとか、毎日言わされてたっけ。


「日本人は無宗教という認識が強いが、そんな日本ですら、それだけ根深く宗教があちこちに浸透している。私達の生活を左右するそれらの元が誰かの創作物だと考えると、一気にバカらしく思えて来ないか?」


「国教があったり、結婚や階級、食べてはいけない物、お祈りの時間などが全て宗教によって決められている国民からすると、今のリューナの発言はたまった物ではありませんね」

 

 クリスが流暢に……割とこの話を深刻に捉えている?


「権力者の発言次第でそれらの決まりが大きく変わり、結果、宗派が別れ、今度はその宗派同士で対立が起き、最悪は内紛、民族浄化にまで至る……なるほど。分断支配のためのシステムっていうのは、こういう事でもあるのか」


 なんか、ジュリーが妙に納得していた……どうしたんだろ?



●●●



「来なさい――餓者髑髏!!」


 “餓者髑髏の腕輪”より、魔神に匹敵するサイズの髑髏を呼び出す。


 餓者髑髏はネクロマンサーの固有スキル、“死霊支配”によって強化されるため、私が使用する事に。


 金色に発光するライン刻まれた白石の天使、魔神・光輝天が飛び立つ前に――掴み掛からせる!


 更に“宵闇の暗闘を血で染め上げよ”に九文字刻み、餓者髑髏を強化!


 “シュバルツバルトブルーム”で飛び上がり、“殲滅のノクターン”を掲げる!


「“暗澹竜魔法”――ダークネスドラゴキャノン!!」


 “殲滅のノクターン”で強化された暗黒竜の魔法を放ち、餓者髑髏を避けて右翼を破壊。


「もう一発」


 スキル硬直が切れるのを待つほんの数秒の間に、魔神の背後に光の後輪が!!


 光輪から放たれる無数の光球により、餓者髑髏の身体があっという間に削られていく。


 餓者髑髏が身代わりになっていなかったら、アレがこっちに即座に放たれていたと思うと……ゾッとするわね。


「カナ、天使が来たぞ!」


 天井から真っ直ぐ、キラキラと回転しながら落ちてくる幻想的なクリスタルが――二体の“ドミニオン”へと転じた!?


「見とれている場合じゃなかった!」


 迫る天使から逃れようとした瞬間、下から上がってきた二つの流星が、物の見事に“ドミニオン”を仕留めたてくれる!


 さすが、ザッカルとシレイア。


「これで決める――”三重魔法”、“暗澹竜魔法”――ダークネスドラゴキャノン!!」


 餓者髑髏に回していた分の神代の力を杖に集約――再生が追いつかずに削られていっている餓者髑髏ごと、魔神・光輝天を滅ぼした。



○おめでとうございます。魔神・光輝天の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★光輝天の四翼 ★光輝魔法のスキルカード

★光輝弾の指輪 ★後輪光輝宮のスキルカード


○これより、第四十二ステージの“光輝正教の主都”に転移します。



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