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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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610.堕天形態

「“アームリングリング”に“天使王の指輪”。砦内を選択した割には上々やね。ホホ」


 タマモが、扇で口元を隠しながら笑う。


「こっちって、天使系の武具が手に入るルートだと思ってたけれど」

「宝箱も意外と多いですし、まるでこっちが宝物庫みたい」


 コトリとケルフェの会話。


 現れる天使やリザードマンを倒しながら進み、安全エリアに置かれていた宝箱を開けて回っていた私達。


 一通り回収し終え、備え付けてあった湧き水ソーマを掬って喉を潤す。


「ケルフェ……ホイップのこと、本当に良かったの?」


 私は彼女と行動するうようになってから半月くらいだけれど、ケルフェ達は結構な期間、一緒に死線をくぐり抜けてきたはず。


「……あの方が、彼女のためだと思いました。普段から笑顔を振り撒いてましたが、壁を作って一定以上は踏み込まないようにしている……無理をしているように感じてましたから」

「そうだね。一緒にお風呂とか遠慮してたし、普段の雰囲気や格好に反して妙に清楚っていうか」


 ケルフェとコトリの評価。


「エトラは?」

「最初は、私と一緒でお前達を警戒しているのかと思っていたが……ウララ? とカプアもか? チョイチョイ気にしているようだった。その辺に理由があるんだろう」


 なんとなく避けているような印象はあったけれど、ウララさん達だけじゃなくて全員に対しての印象だったな、私は。


「私としては、ホイップがそれで良いなら良いんじゃないかって感じだ」


 特に誰も、ショックを受けてはいないと。


「貴女は良かったの、タマモ?」

「うちはかまへんよ。将来性の無い男より、あんさんらの方がずっとおもろそうやし。末永くよろしゅう」


 将来性の無いって……なんで私が、一番ホイップを心配しているのやら。


 結局ホイップって、隠れNPCになる前はどんな人間だったんだろう?



●●●



「お?」

「あ!」


 地下に下り始めて暫く、別の集団の気配がすると思いきや、背後から下りてきたのはリューナのパーティー。


「コセ達も、下を選んだのか」

「ああ……それにしても」

「随分不気味な雰囲気になったっすね」


 最初は白い煉瓦造りだったのが、下に行くほどに、染み付きの赤紫色煉瓦造りに代わっていっていた。

 

「メルシュ、これは?」

「地下に関してのみ、他のパーティーと合同になる仕様みたいだね」


 珍しいケースだな。


「他に気配は感じませんし、地下を選んだのはこの二パーティーだけみたいですね」


 ヒビキさんの意見。


「トゥスカ、サンヤはなにも?」


 気配に敏感そうな獣人二人に尋ねる。


「はい、前後どちらからも」

「音が反響しやすいみたいだから、私も間違いないと思うっす」

「なら、このまま俺達だけで進んでも問題ないか」

「後ろは私のパーティーが引き受けよう」


 俺のパーティーが前、後ろがリューナ達という隊列で進むことに。


「止まって! ……罠解除」


 階段途中でメルシュが使用。両壁が歪んで目の前の通路を三秒ほど塞いだのち、元に戻る。


「相変わらず殺意高いな」


 見落とした瞬間、即死が決まるような罠ばかり。


「オッケー、進むよ」


 再び階段を下りていく俺達。


 通路は二人が難なくすれ違える程度なため、全員が小さめの武器に持ち替えている。


 これだけでも、メルシュが一番厄介なルートと言っていた意味が分かってしまう。


「人数が居てもあまり意味の無いルートか」

「ご主人様、来ます」

「リューナ」


 トゥスカとヒビキの警戒声。


「黒い天使?」


 天使というより堕天使っぽい甲冑騎士が、階段を駆け上がってくる。


「“ドミニオン”の堕天形態。光耐性が下がってるぶん、闇耐性がめちゃくちゃ高いよ」


 堕天形態とかあるのか。


「“大地盾術”――グランドバッシュ!」


 翳した“古代の叡智の盾”から発した衝撃波により、黒天使を弾き飛ばす。


「“熱砲線”!」


 ヒビキさんの声が背後から響く。後ろからも来たか。


「奴を追う!」


挿絵(By みてみん)


 一人階段を下りていき、転がり落ちていった天使を発見。


 持ち手のボタンを押し、三角形状の“古代の叡智の盾”尖端から側面にかけてレーザー刃を生成。


『――混沌拳!!』


 少し広い足場にて再び激突――カウンターで潜り込み、腹部分に盾のレーザー刃を突き刺し――“偉大なる英雄の光剣”のレーザー剣で、身体を回転させながら胴を薙いだ。


「ご主人様、無事ですか?」

「ああ。リューナ達も問題なさそうだな」

 

 すぐに全員で追いついて来た。


「……意外とやるんだねぇ、コセって」


 感心したように呟いたのは、サンヤ。


「模擬レギオン戦の時、散々戦っている姿を見てきただろう?」


 リューナが突っ込む。


「だって、見たのはSSランクを使っている時くらいだったから、素の戦闘能力とかよく分かんなかったんだもん」


 そう言われてみるとそうかもしれない。


 純粋な模擬レギオン戦の時は、大将の俺が戦う事なんてほとんどなかったしな。


「今度、手合わせして頂いてもよろしいでしょうか?」


 ヒビキさんからの要望。


「まあ、良いですけど」


 模擬戦闘って、なんか苦手意識が。


 前にユイに、俺は実戦形式じゃないと本気を出せないタイプって言われたし。


「地下は広大だから、ポータルまでまだまだ時間が掛かるよ」

「なら、急いだ方が良いな」


 メルシュに促されるまま進み、時たまに現れる罠と襲撃を撥ねのけながら進んでいく。


「ここは……監獄?」


 三階分はありそうな広大な空間に出たと思いきや、部屋の壁を覆い尽くすように牢が並んでいた。


「海外ドラマで見るような監獄感だな」

「壁が濃い赤紫色なので、余計に不気味ですね」


 異世界人であるリューナとヒビキの感想。


 ――ビー!! という音が響き渡ると同時に、奥に見える出口と俺達が入ってきた入り口が閉じてしまう!?


 そしてすぐに、ガチャガチャと独房のドアが一斉に開いていった。



○全ての堕天使を倒せ。



 牢から出て来たのは、堕天形態に酷似した様々な甲冑天使達。


「“プリンシパリティー”、“パワー”、“ヴァーチュ”、“ドミニオン”、“スローン”、その他様々な天使達ですの。堕天してますので、“不浄液”ではなく“浄化液”が効きます」


 ネレイスが教えてくれる。


「一番強いのは“スローン”。四枚羽の天使がそれだよ。“スローン”は閉じ込められた人数分出て来るから気を付けて」


 さっき戦った“ドミニオン”よりも強いのが十体。その他大勢を含めると……二百は居そうだな。


「来るぞ!」


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