609.VS大天使
『――コォォォ!!』
黄金の剣をこちらに振りかざし、白い炎を複数飛ばしてくる大天使。
“ジェットウィングユニット”の“超噴射”を器用に操り、私よりも巨大な炎を連続回避!
「光属性は効かないんだったな――武器交換、“ストームブリンガー”」
“ヴリルの祈りの聖剣”から、翠の両刃剣に持ち帰る。
「“嵐の穿風”!!」
切っ先から穿ち抜く風を放つも、黄金の剣によって容易く薙ぎ払われてしまう。
そのまま上段から振り下ろされた長剣を避け、更に追い打ちの炎から逃れるべく全速力で距離を取る!
生半可な攻撃ではダメなうえ、私の手札で光属性以外の攻撃となると……。
「これしかないか――武器交換、“古代王の聖剣”」
持ち替えた王の剣を盾に収め――“抜剣”し、“聖剣万象”を纏わせる。
更に“ヴリルの聖骸盾”に九文字刻み、聖剣に力を流し込む。
「“光波衣”、“古王の威厳”」
身体がブレて見えるオーロラを纏い、炎の弾幕が薄れるまで回避に徹する。
強力な一撃で仕留めるため――狙うはカウンター!
「――“後光噴射”!!」
弾幕が薄れたタイミングで真っ直ぐに急接近――“ミカエル”に剣による迎撃を強制させる!
「“守護武術”――ガーディアンカウンター!!」
シビアなタイミングを見極め、横から迫る巨剣を――盾に張った障壁で弾き返す!
「――――“古代剣術”、オールドスラッシュ!!」
下から斜めに、“古王の威厳”によって長大化した古代属性のエネルギー剣を振り抜いた!
「ハアハア!」
切り裂きながら“ミカエル”の中心を抜け、すぐさま振り返――――白炎の腕払いを横から打ち付けられ、炎のカーテンにぶつかり――身体が燃えていく!!!?
「ぁぁああああああッッッ!!!」
身体が熱い――――“古代王の聖剣”に直接神代文字を刻めないぶん威力不足。“ジェットウィングユニット”が重く、“降臨の後光輪”との併用が難しい――もっと軽く――もっと速く――もっと強く!!
私に――もっとふさわしい存在を!!
――思考が現実へと引き戻されていく刹那、私の要求と現実がない交ぜになって――――最適化――再構築されていく。
“古代王の聖剣”は、神代文字に対応した“ヴリルの聖なる古代王剣”へ。
“ジェットウィングユニット”と“降臨の後光輪”は統合され、機械銀翼を持つ黄金の放射円環――“ヴリル・ジェット・ヘイロウ”へ。
「――“後光噴射”」
炎のカーテンから抜け出ながら、“ヴリルの聖なる古代王剣”を盾に収める。
「“抜剣”――“双聖女の威光”」
“聖剣万象”を纏わせた状態で、光属性を含む攻撃全てに対応した“古王の威厳”を使用。
『コォォォ――“情熱の黄金剣”!!』
ぶった切ったはずのミカエルの身体が元通りになった途端、黄金の剣から黄金の炎を燃え上がらせて――超大な火炎として放ってきた!!
「受けて立とう――“極光剣術”、オーロラプリック!!」
黄金の炎を貫き、そのままミカエルの胸を刺し貫く。
「――“神代の威光”!!」
突き刺した直後、剣に刻んだ十二文字から神代のエネルギーを送り込み――内側から暴発させる!!
『……バカ……な……神への情熱が……消え………』
奴の身体を構成していた光炎が消えていき、黄金の剣だけが落下――しきる前に、光となって消えていった。
○“大天使の黄金聖剣”を手に入れました。
○“ミカエルの情熱”を手に入れました。
●●●
『“情熱の黄金矢”!!』
「“咒血竜技”――カースブラッドドラゴンブレス!!」
黄金の弓から放たれた金色の炎が、エルザの繰り出した血の息吹によって拡散されるも……余波だけで全員にダメージが!
「私が引き付けます! ――“炎鳥化”!!」
脚に炎の鉤爪、背から炎の翼を生やしたイチカさんが飛び立ち、“ガブリエル”の注意を引いてくれる。
「クソ! あんな上空から一方的に攻撃とか、ふざけやがって!」
「私も、打てる手が全然無い」
レンちゃんとフミノさんは、今回は当てにならない。
「どうする、チトセ?」
「竜になって私を上空に連れて行って、エルザ!」
「判った――“咒血竜化”」
紅の西洋竜となったエルザの背に飛び乗り、イチカさんを追う!
「“聖炎水魔法”――バーンセイントスプラッシュ!!」
イチカさんのユニークスキルによる魔法でも、白炎で構成された大天使には、大したダメージを与えられているように見えない。
『ここからどうするつもりだ、チトセ?』
「切り札を切ります――“宇霊羅の泉龍”」
コセくんが“湖の主”を倒して手に入れてくれたっていうユニークスキルを使用し、青い水で構成された巨龍を召喚!!
「天使の動きを止めて!」
『グォォォォォォォ!!』
天使の顔に頭突きをし、怯んだその隙に身体に纏わり付く泉龍さん。
「エルザは頭上を旋回――食らいなさい!!」
“倍増薬液ランチャー”から連続で六発、“不浄液”を顔面にぶっかけた!
サブ職業の“看護婦”による“薬効強化”と“Sの女王”の同一連続攻撃による威力補正により、通常以上の効果を発揮しているはずだけれど……。
『――――ギャァァぁぁぁあぁぁぁああああああアアアアアッッッッ!!!!』
怖ろしい女性の悲痛な叫び声が響くこと数秒後……“ガブリエル”の姿は、跡形も無く消え去った。
「な、なんとか倒せた」
他のパーティーは、“不浄液”無しで大天使と戦った場合……勝てるのかな。
○“大天使の黄金天弓”を手に入れました。
○“ガブリエルの情熱”を手に入れました。
●●●
「――ファイア!!」
皆さんの神代の力を集め、更に“ワッカカムイ”発動状態で放った“デイチャージ・クァンタムバスター”の一撃により、大天使の巨体を完全に吹き飛ばしました。
「よくやった、リエリア!」
「ナイスよ、リエリアちゃん!」
「さすがでぇす、リエリア!」
メグミさん、サトミさん、クリスさんが褒めてくれる。
「ありがとうございます、皆さんのおかげです!」
私が落ち込みやすいせいで、気を遣わせてしまっているのが分かってしまう。
別に、嘘をつかれてるとかじゃないのは、解ってはいるんだけれど……。
「炎の壁が消えました。急がないと天使モンスターが出て来るかと」
「そうね。さすがに、アレの相手は疲れたわ~」
リンピョンさんの言葉に、サトミさんが方針を決める。
「このレギオンの人達は優しいから、大丈夫ですよ」
「そういうエレジーさんだって、とっても優しいです」
なんとなく、エレジーさんは「このレギオン」の中に自分を入れずに言っている気がして……。
「……私の優しさなんて……あの人に比べたら、上辺だけだから」
悲しそうに、どこか遠くを見詰めているエレジーさん。
「あの人?」
「急がないと、また天使と戦う事になりますよ」
「そ、そうですね!」
あの人って、誰の事だろう?
○“大天使の黄金騎槍”を手に入れました。
○“ラファエルの情熱”を手に入れました。




