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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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608.打ち出の小槌

「ハッ!!」


 ドワーフメイドのエリーシャが、砦内にて“エンジェルナイツ”や“リザードマン”、“ハイリザードマン”を“打ち出の小槌”で倒していく。


挿絵(By みてみん)


 その際、小槌を打ち付ける度にキラキラしたエフェクトを散らせていた。


「あ! 今、赤い光が出た!」


 クレーレが喜ぶ。


「何かしらのアイテムが手に入ったみたいだね」


 “一寸法師”から稀にドロップするアイテム、“打ち出の小槌”。


 “打ち出の小槌”でモンスターを攻撃した際に10G、倒した時には10000G手に入るという特殊効果がある。


 稀に、モンスターを小槌で倒した際にアイテムが手に入る事があり、赤いエフェクトはその証であった。


 まあ、“打ち出の小槌”で手に入るアイテムなんて、ほとんど低ランクの指輪や髪飾りなどの装飾程度なんだけれど。


「砦内は狭いので、外で戦った時よりも楽ですね」


 とはエリーシャの言葉。


「その分、大きな得物を振るえないし、攻撃も避けづらい。前衛は任せるよ、エリーシャ」

「はい、ジュリー様」

「後ろは黒ピカとセラに守らせてますから、万全ですね」

「またしてもこんな辱めを……ク!」


 “鳥獣戯画”で女の子化している黒ピカが嫌がっている……初めてあの姿を目撃した時は驚いたな。てっきり、生物系のモンスターにしか効果が適用されないと思っていたのに。


 ほとんど人間そのものであるセラにも、一応使用可能みたいだけれど。


「私だって活躍したいのにー!」 


 背後はサキのモンスターが担当しているため、今のところ出番の無いクレーレは面白くなさそうだ。


「クレーレ、そんな事では一流のレディーにはなれないわよ。女はいつだって優雅でなきゃ!」


 バトルパペットのローゼが、何やら偉そうに語っている。


「一流のレディーか……優雅……よく分かんない!」

「フフン! この私の言うとおりにすれば万事間違いないから、そこは安心しなさ~い♪」

「むしろ安心出来ないだろう」


 呆れながらマリアが突っ込むこのやり取りも、見るのはこれで何度目だろう?


「罠解除」


 先頭のエリーシャが“盗術”を使用し、レーザートラップを解除。


 SFに出て来る研究所のような砦内を不思議に思いつつ、先へと進む。


 パパとママは、天使の砦内をどうしてこんな機械的なデザインにしたのか。


「少々お待ちを。罠解除」


 再び解除されるレーザートラップ。


 さっきの物より、だいぶ殺意増してたな。


「ああいう罠があるから、NPCが先頭じゃないと不安なのよね」


 モモカやバニラは先行させられない。


「……」

「どうしたのだ、モモカ姫?」


 ――モモカが、黒ピカをマジマジと見詰めている!?


 天地がひっくり返ってもありえない光景!!


「サタちゃんや金ちゃんが、女の子になったのも見てみたい!」

「へ? 我は?」

「黒ピカはあの姿が嫌みたいだし、代わりにサタちゃんを呼びましょうか♪」


 サキの悪い笑顔。


「待て待て待て待て! 我、超頑張るから! お願いだから活躍の機会を奪わないで!」


 こんな狭い場所で、巨体に成長したサタちゃんなんて呼び出せないから。


「ジュリー様、“ドミニオン”です」


 灰色味の羽毛の翼と、銀の(しゃく)持ちの甲冑天使。


挿絵(By みてみん)


『下等な人間風情が、我等に刃向かうなど――赦されぬ』


 ここの天使って、オリジナルでもなんだか偉そうだったんだよな。


「ジュリー様、いかがしましょう?」

「私が出る」


挿絵(By みてみん)


 右手に“侵略の雷帝剣”、左手に“避雷針の魔光剣”を握る。


『身の程を知ることを、死出への手向けとするがよい!』


 笏を鈍器のように振ってくる天使、“ドミニオン”。


「ク!!」


 二刀流で攻めるも、余裕で去なされてしまう!


 コセやユイは、よく二刀流なんて使いこなせるな。私では全然上手く扱えない。


『ぬるいわ!』


 ――蹴りをなんとか左腕でガードし、距離を開けられた!


『エンジェルランサー!!』


 “天使法術”を使ってきたか!


「――“侵略雷”!」


 黄雷を纏わせた雷帝の剣で、エンジェルランサーを払い消す!


 魔法ならば、放つのに使用されたMP分を私が消費する事で消し去れる。


「“避雷針”――へ?」


 “侵略雷”が、魔光剣に移った?


「オリジナルではこんな……」


『“天使棒術”――エンジェルブレイク!!』

「クソ――がぁッ!!」


 パワー負けするも、二刀を交差させてなんとか踏みとどまる!


 “避雷針の魔光剣”に笏が触れた途端、武術のエネルギーが霧散していた。つまり、魔光剣に溜まった“侵略雷”の効果はそのままということ。


『チ! “天の裁き”!!』


 “ドミニオンの笏”の効果を使用してきたか!


 でも、“侵略雷”の効果により、大量のTPと引き換えに相殺された。


『奇っ怪な!』


 距離を取ってくれた瞬間――勝負に出る!


「――“雷光斬”!!」

『“天使棒術”、エンジェルスイング!』


 侵略の雷纏う斬撃は武術を打ち消し、甲冑天使を壁に叩き付けた。


 神代文字無しだと、それなりに強敵か。


「“魔力砲”」


 総MP半分と引き換えに、まあまあ厄介な“ドミニオン”を消滅させる。


「……二刀流は諦めるか」


 ちょっと憧れてたんだけれどな。



●●●



「……暑いな。いや、熱い」


 上階ルートを選んで上ってきたが、進めば進むほど暑さが増していく。


「そろそろ来るぞ、ルイーサ――大天使が」


 フェルナンダの言葉通り、急速に周囲の熱量が上がって――……涼しくなった?


「あれが……天使?」



「――――コォォォぉぉぉぉ」



 軽く十メートルはありそうだが……それよりも!


「黄金の剣を持つ、白い炎の巨人?」


 実態があるようには見えないが、所持している武具のおかげでなんとか存在を実感できる。


「“ミカエル”だな。単純な戦闘能力なら一番高い大天使だ」


 フェルナンダの説明の途中、“ミカエル”が炎の翼を羽ばたかせて高度を上げていく!


「ちょっと……マズいんじゃない、コレ?」


 アヤナの言いたいことは理解できる。


 なにせ、ミカエルが信じられないくらい高度を上げた瞬間、門番を倒した際に消えたはずの白炎のカーテンが復活――私達が逃げられないように囲ったのだから!


「これって……アイツを倒さないと出られない的な?」

「ああ、その通りだ」


 アオイの予想を肯定するフェルナンダ。


「どうします? 僕じゃ、あの高さまで攻撃を届かせるのは……」

「……私も無理っぽい」

「“光線魔法”なら届くでしょうけど、見るからに効かなそうだし」

「奴には光の単一属性は通用しない。火に対しても高い耐性がある。尚かつ、接近戦を仕掛けるなら機動力が必要だ」


「つまり、まともに奴と戦えるのは私だけと言うことだな! ――オールセット2」


 高機動飛行に優れた装備に変更。


「“後光輪”、“浮遊”――“超噴射”!!」


 “降臨の後光輪”と“ジェットウィングユニット”を使用し、“ミカエル”に仕掛ける!!


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