表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

645/956

603.妖しき色街

「名前からなんとなく察してたけれど……ドラマで見た遊郭みたいな雰囲気だな」


 祭壇麓まで来ると、並ぶ建物の中から、着物を着た女性達が客の袖を引いている光景が幾つも見える。


 媚びを売ってでも客を取らないと生きていけない環境……毎日のように客の相手をしても性病などで身体を壊すか、精神を病む。


 人気の花魁になって運良く良い人に身請けされたら御の字。というのが、俺の遊郭への認識。


 客を誘っているのがNPCとはいえ、ちょっと目を背けたくなる光景だ。


「ユウダイ、まさかとは思うけれど」

「なんでそこで疑うんだよ、マリナ」


 俺を慰めてくれる相手が何十人も居る状態なのに。


「ま、それはそうなんだけれど」

「分からんぞ、マリナ。コセは“橋の上の砦町”でそういう店に入ったことがあるからな」

「……ユウダイ?」

「……ご主人様?」

「リューナ、事情を知らないマリナとトゥスカが勘違いしただろうが!」

「ハハハハ! あのとき私を待たせた罰だ!」

「大して待たせてないだ……本当は自分が店に入りたかったんじゃ……」

「そ、そんな分けないだろう……」


 この女好きめ! 露骨に目を逸らしやがって。


「コセ、そういう店ってなぁに?」


 無垢なモモカが、純粋な気持ちで尋ねてきた!?


「……そういう店って名前の店なんだよ」

「そ、そうだぞ、モモカ!」


 さすがにマズいと思ったのか、必死に誤魔化しに協力してくれるリューナ。


「バカな事を言ってないで、さっさと館に戻るぞ。俺様は……この町が嫌いなんだ」


 どこか落ち込んでいるように見えるセリーヌ。


「マスター、ここでは()()()()()()()()()()()


 メルシュが耳打ちしてくれる。


 つまり、セリーヌは元々ここに居て、この町で誰かに買われ……そして死んだのか。


「そうだな。一旦、全員で家に帰ろう」



             ★




○以下から購入できます。


★呪術師の着物  35000(三万五千)

★武術使いの着物 35000(三万五千)

★侍の和装    30000(三万)

★忍の和装    30000(三万)

★破邪の着物   56000(五万六千)



「おお、本当に和服がいっぱい」


 日が暮れたのち、セリーヌの代わりというわけじゃないけれど、俺のパーティーメンバーにユイ、シレイア、コトリ、ケルフェ、エトラ、マリナを加えた面子で“妖しき色街”内を散策していた。


「それにしても……」

「なんで私を見ている、コセ」


 エトラに警戒の眼差しを向けられる。


「いや、疲れてそうだったし、付いてくるとは思わなくて」

「一心同体のコトリが行くと言いだしたら、私も行かないわけにはいかんだろう」


 コトリが死んだら、自分も再びだもんな。


「ごめんね、エトラ」

「どういう意味で言ってるんだ、お前?」

「両方?」


 コトリとエトラの会話の意味がよく分からない。


「まあ、散策してみたかったのもあるがな。私が居たのは、もっと上のステージだったから」


 なんか雰囲気変わったかな、エトラ。


 そうこうしているうちに、町の灯りから随分遠ざかっていた。


「うーん、やっぱ取られてたか」


 ポータル奥にあった社よりも大きい、狐の像がある社祠(しゃし)


「もしかして、ここで“九尾”が?」


 トゥスカの質問。


「うん、この台座に“殺生石”を乗せると、台座奥の狐像から隠れNPCが出て来るの」

「その狐像が無いから、“九尾”は取られた後だと」


 やっぱり、この先は隠れNPCが手に入らない覚悟をしておいた方が良さそうだな。


「ギルマス、向こうから良い匂いがするよ!」

「醤油の匂いか……なんか懐かしい」


 外を歩きながら醤油やてんつゆの匂いを嗅ぐという経験は、実に久し振りだ。


「テイクアウトできる店なら、買って帰るか」


 たまには外食したい気もするけれど、この町をモモカに歩かせたくないし。


「コセ、今夜はこの町の宿で愉しまないかい?」


 シレイアからの提案。


「ダメに決まってるだろう」


 町の宿なんて危険すぎる。



●●●



「フフフフ、和食のレシピ、ゲットー♪」


 喜んでいるサトミさん。


 サトミさんとリューナのパーティーの半数で、コセさんとは別行動を取ることになった私たち。


 レシピや食材の買い出しを中心に、色街の北西へとやってきていた。


「案内してくれてありがとう、ヒビキちゃん」

「サトミさんには、いつも美味しいご飯を提供して頂いていますから」


 レシピ無しではまともな物が作れない私からすれば、感謝しかない。


「もう、ヒビキちゃんの方が年上なんだから、さん付けなんてしなくて良いのに」


 そう思うなら、なぜ私をちゃん付けするのでしょう?


「性分ですので。それより気を付けてください。この町はプレーヤーが多いですから」


 遊女や男妾と実際にまぐわえる場所があるせいか、特に男プレーヤーが居座っているのがこのステージ。


「まあ、そうみたいね」

「……囲まれましたか」


 見られているとは思っていましたが。


「死にたくなきゃ大人しくしろ」

「装備を全て解除してアイテムを実体化しろ。目当てはアイテムだけだからよ」


 大した装備は無さそうだな。


「遊女に貢いで一文無しになった、というところですか」

「普通に私達の身体目当てだとも思うわ。目が血走ってるもの」


 装備を解除させようとしたのは、アイテム狙いに見せ掛けた無力化が狙いと。


「確かに、そっちの方が本命かもしれませんね」


 奴等の下卑た空気は、よく知っている。


 劣等感を悦の沼に浸からせて自分を誤魔化し、女や子供を食い物にしてきた奴等と同じ雰囲気。


「大したアイテムは持っていないでしょうが、害虫狩りと行きますか」

「言うわね、ヒビキちゃん」


 私の願いは、目の前の奴等みたいな精神汚物共を――この手で皆殺しにし尽くすことだから。


「たった四人で、この数をどうにかできるとでも思ってんのか!」


 異種族混成集団八人、プラス指輪モンスターによる水増し程度で、なにを言っているのか。


「一人くらい見せしめにしても構わねー!」

「殺すならあのデカ女だ!」

「――グァ!?」


 包囲していた一人が喉を裂かれ、死亡する。


「ヒビキに言われて警戒していたら、こんな絵に描いたようなクズが出てくるとは」

「本当だよねー」

「ぎゃあああああッッ!!」


 現れた黒尽くめ二人により、瞬きの間に二人が命を落とす。


「今だ!」


 六人により、あっという間に制圧される賊共。


「さっき言っていたデカ女というのは、私の事か?」

「た、助けてくれぇぇ!! 持ってるアイテムは渡すか――」


 ブチ切れたメグミに頭を吹き飛ばされる、リーダーっぽかった男。


「助かりました、リューナ、サンヤ」


 フードを外す二人に礼を述べる。


「こういうのは慣れっこだ。気にするな」

「それより、そろそろ帰ろうっす。早く美味しいご飯が食べたい」


 サンヤは相変わらずのマイペース。


「長居してたら、また絡まれるかもしれませんしね」

「サトミ様、買い出しは充分ですか?」


 リンピョンさんが確認してくださる。


「ええ、問題ないわ! 今夜は腕によりを掛けて、和食のフルコースにしちゃう!」


 ……サトミさんの雰囲気、遊女のNPC達の雰囲気にかなり近いような……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ