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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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602.魔神・甲鉄百足

「“魔神・甲鉄百足(こうてつむかで)”の弱点属性は火。有効武器は鎚。危険攻撃は、口から吐く“劇毒弾”。劇毒は毒耐性を貫通するから気を付けて」


 久し振りのメルシュのボス講義が、酷く懐かしい。


「高い防御能力に加え、切断されるとバラバラに動き出す性質があります」

「打撃か魔法、もしくは切断されても動けないくらいズタズタにしろ」

「……」


 戦闘経験のあるヒビキとレンのアドバイスに、半眼を向けるメルシュ……やっぱり、わざと情報を伏せている伏があるな、アイツ。


「ステージギミックは?」

「壁に幾つも穴があって、そこからダミーの百足が襲ってくる事がある」


 ホーン族のエトラの質問に、ジュリーが解答……なんか、雰囲気変わったかな、エトラ?


「よし、私達から行くよ!」


 コトリ達が門の向こう側に消えていくのを、意味ありげに見詰めているウララ……とカプア?


「次は誰が行く?」


 メルシュが誰ともなく尋ねる。


「すまんが、私達は後の方で頼む」


 ノーザンはともかく、アヤナとアオイの消耗が激しい。


「じゃあ、後から二番目くらいが良いかな」

「助かるよ」

「メルシュ。“酒呑童子の無限瓢箪”は、アオイに渡しても構わないか?」


 フェルナンダが尋ねた。


「……ああ、なるほど。確かに、チトセよりもアオイ向きか」

「どゆこと?」


 当事者のアオイが割って入る。


「瓢箪に入れた液体は、勝手に満タンになるんだ。“薬液充填”のスキルも、チョイスプレート内よりも瓢箪の中身が優先される」

「薬液銃のチトセは“薬液工廠リュック”の方が合ってるだろうし、チトセを除けば、薬液武器をメインにしているアオイが一番消費量が多そうだしね」

「確かに、今日だけで“溶解液”を八本分くらい使用した」


 そのうちの六本は、“酒呑童子”に使った分だろうが。


「ほれ」

「うん、ありがたく貰うね」

「良いなー。私も、そろそろ新装備が欲しい」


 アヤナが何かに羨んだりするの、なんだか久し振りな気がするな。


「私も……少し我が儘を言ってみるか」



●●●



「タマとスゥーシャは下がってなさい、良いわね」

「「……はい」」


 疲れている二人に負担がいかないよう、手早く倒す。


「バルンバルン、初手で動きを制限してください」

「うん、分かった~」


 ドライアドのヨシノの指示にスライムの隠れNPCであるバルンバルンが返事をしたタイミングで、奥の暗がりから紫と橙色の発光ラインを刻んだ、石でできた巨体が動き出す。


「“三重魔法”――“岩石魔法”、ロックマウンテン!!」


 バルンバルンの魔法により出現した巨岩が落下――魔神・甲鉄百足の進行を阻む。


「“四重詠唱”――“植物魔法”、バインバインド!」


 ヨシノの放った蔦により、魔神の拘束が完了――一気に決める!



「“六重詠唱”――“煉獄魔法”、インフェルノブラスター!!」



 杖に三文字だけ刻み、六つの魔法陣を地味に強化――甲鉄百足の巨体を瞬時に焼き尽くす!!


『ギギ……ギ…………』

「フー、上手くいった」


 むしろ、オーバーキルだったかも。


 弱点属性の火特化の私が、火属性攻撃ダメージを倍化する植物に囚われている状態で、威力に優れた二属性魔法を六発。おまけに神代文字ありなんだから、当然の結果か。


「一応警戒はしていたが、ステージギミックを拝む機会はなかったな」


 元騎士団長だったっていうエルフのレリーフェが警戒を解くと、本当に終わったんだって気になる。


「じゃあ、ちゃっちゃと選んじゃいましょう」


 早くしないと、コトリ達が突発クエストに巻き込まれる確率が上がっちゃうし。


「……」

「どうした、ユリカ?」

「ううん、なんでもない」


 いつの間にか、当たり前のように他人を心配するようになってるな、私。



●●●



「なにしてんだよ……ユイ」

「……ごめん、つい」


 最後にボス戦を挑んだアタシらだったが、アタシのマスターがやらかしやがった。


『『『ギチギチギチ』』』


 甲鉄百足を巨太刀で切り刻み、八体に分裂させちまったと。


「まあ、しゃあない。アタシらのパーティーは、斬るか刺すが得意な戦士ばっかだしねー」


 アタシの専用武具にも、鈍器は無いし。


「ザッカル様、文句を言っている場合ではありませんよ」

「まあ、しゃーねぇか」


 アルーシャに指摘されたからなのか、すぐに切り替えるザッカル。


「お前ら、下がれ! ――“万悪穿ち”!!」


 黒の槍群が、ボス部屋の奥を覆い尽くすように着弾……倒せたのは一体だけ。残りは壁の穴から向こうへ逃げやがった


「あれくらい壊せば、さすがに動けなくなるか」

「問題は、残りがどこから来るかね」


 カナの言うとおり、両壁に無数に空けられた、穴のどこから攻めてくるのか。


『ギギ!』

「――ハイパワーブレイズ!!」


 “大弓術”を行使し、百足の分身一足を穿ち砕く。


挿絵(By みてみん)


「“暗黒魔法”――ダークレイ!」


 “殲滅のノクターン”を使用し、魔法の一撃で身体の半分を消し去るカナ。


「“岩石武術”――ロックブレイク!」


 すかさずアルーシャが“岩石王鎚”を飛ばし、カナの獲物に止めを刺す。


挿絵(By みてみん)


「“太刀風”!!」


 放たれた“劇毒弾”を、振るった太刀から吹き付ける乱風をぶつけ、相殺するマスター。


「“裂闇爪”、“四連瞬足”――ハイパワースラッシュ!!」


 “劇毒弾”を放った個体を、数瞬のうちに仕留めるザッカル。


 幾ら分裂すると言っても、これだけの手練れが徒党を組めば、余裕を持って対処可能だね。


「――オラ!」


 アルーシャを狙った奴の胴体を“ウォーグリーブ”で蹴り飛ばし、“大弓術”を叩き込んで撃破。


「助かりました」

「どういたしまして」



○おめでとうございます。魔神・甲鉄百足の討伐に成功しました。



 いつの間にか、全部片付いていたらしい。


「さてさて」



○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★甲鉄百足の手甲 ★劇毒弾のスキルカード

★甲鉄百足の指輪 ★劇毒の指輪



「なんか……パッとしないね」

「まあ、“劇毒弾”は地味に強力なんだけれどね」

「“甲鉄百足の手甲”……気になる!」


 なんか、カナだけ楽しそうだな。



○これより、第四十一ステージの“妖しき色街”に転移します。



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