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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第16章 醜悪よりも邪悪な悪魔たち

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600.影鰐と青い心臓

「……アレが、私達が相手にする超強力なモンスターなのか?」


 海岸ルートを選び、砂浜を海沿いに歩いていて暫くすると、砂浜に妙な影が現れた。


 その影の主を特定しようと空を見上げるも、それらしいモンスターの姿はどこにも見当たらない。


「来ます!」


 リンピョンがそう叫んだ瞬間、影が鰐の頭のように口をバクバクさせながら突っ込んできた!?


 咄嗟に影を避けるも、なにがなんだか。


「――ああッ!!?」


 誰よりも影から距離を取っていたはずのホーンマーメイド、リエリアが突然苦しみだした!?


「メグミちゃん、アレ!」


 サトミが杖を指し示した先にあった光景は、例の影がリエリアの影に食らい付いているというもの!


「コイツの攻撃は、影を経由する事が可能なのか! ――“竜光砲”!!」


 リエリアの影ごと、化け物の影を吹き飛ばす!


「……やったのか?」


 例の化け物の影は……見当たらない。


「サトミ様、もしかして今のが……」

「メルシュちゃんが言ってた、海岸ルートで一番面倒な奴だっていう……“影鰐”?」

「だとするとぉ、厄介ですねぇ」


 うちのパーティーにはモンスターを見ただけで特定できるNPCが居ないから、こういう所で他のパーティーにはない情報的不利が発生している気がするな。


「エレジー、リエリアの様子は?」

「身体が麻痺して動けないみたいですが、外傷は見当たりません」

「それじゃあ、エレジーちゃんはリエリアちゃんを守ってて」

「へ? ――あ!?」


 サトミの言葉を疑問に思った様子のエレジーだったが、その答えはあっという間に姿を現す。


「なんて数……」

「いったい、どこから湧いて出やがったのか」


 十や二十を超える“影鰐”が、砂浜を埋め尽くしていく勢いで現れる。


「リンピョン! コイツらの対処法は?」

「物理以外での攻撃! 特に光属性には極端に弱いって!」

「なら、私がやる! ――オールセット3!」


 鎧の中心部に、心臓を模した青い宝石細工を装着!


「下がれ、お前達!」


 左腕の“ドラゴンの顎”を掲げる!


挿絵(By みてみん)



「“竜光砲”――“連射”!!」



 一発で総TPの半分を持っていく強力な竜属性の砲線を、インターバル無しで連続発射!!


「後ろは私がぁ――オールセット2!」


挿絵(By みてみん)


 回り込んできた“影鰐”を、“自由の女神の両肩腕”に持たせた銃剣を用いながら、四丁の銃で迎撃してくれるクリスティーナ。


「……終わったか?」


 奴特有の微かな不気味な気配は、もう感じないが。


「メグミちゃん、“影鰐のスキルカード”っていうのを手に入れてるわよ? それも八枚も」


 サトミが教えてくれる。


「多数のような一個体タイプだと思ってたが、ただただ数が多い奴だったのか」


 念のため気を張り巡らせていたが、同じく警戒していたクリスとリンピョン、エレジーらも気配を感じないようだ。


「エレジーちゃん、リエリアちゃんは大丈夫?」

「だ、大丈夫です……」


 リエリア本人が答える。


 さっきよりはマシみたいだが、まだ身体の左側、特に腕が痺れていそうだ。


「少し休みましょうか――有翼恐竜」


 サトミが指輪を用い、プテラノドンのような生物を呼び出す。


「空から警戒をお願い」

『クォ』


 緑色の有翼竜が飛び立つ。


「さっきのメグミさん、凄かったですね。神代文字無しであの火力」


 空気を変えようとしたのか、エレジーが話題を振ってきた。


「総TPの半分を使う“竜光砲”の連射だからな。まあ、これのおかげだが」


 胸の青い宝石細工をカツカツと叩く。


「それは?」

「SSランクの“マッスルハート”だ。身体能力を引き上げる以外の目玉能力は、一瞬でTPを回復する事くらいだが」

「その能力上、今のレギオンで一番上手く扱えるのはメグミちゃんだろうって、コセさんが持たせてくれたのよね♪」


 まあ、自分とタマが居ないパーティーに持たせたかったんだろうな、コセは。


 十二文字以上刻めるメンバーが一人もいないの、たぶんこのパーティーくらいだし。


「……ごめんなさい、足手まといに」

「あんな所見殺し、さすがにキツいって」

「たまたまリエリアが最初に餌食になってしまっただけで、そうでなければ別の誰かに被害が出ていたでしょう。気にする必要はありません」


 リンピョンとエレジーが励ます。


「でも、でも……こんなんじゃ、私……」


 聞いてはいたが、だいぶ自己肯定感が低いんだな。


 前のパーティーメンバーに、必要以上に卑下された扱いを受けていたらしいが……。


「あの“影鰐”、また出てきたら厄介ね」

「強い弱いじゃなくて、数による不意打ちが一番怖いな」


 常に警戒しながら進むとなると、精神的に参ってしまいそうだ。


 こういう時、疲れ知らずのNPCが一人居てくれるだけでもありがたいんだが……。


「……影に攻撃してくるなら、別の影に隠れていれば」

「リエリア?」

「い、いえ、なんでもないです! き、気にしないでください!」


 リエリアの言葉をエレジーが聞き逃さなかったらしく、突っ込まれて慌てふためいている……可愛いな。


 綺麗で可愛くてあざとさもない、絶妙な愛らしさ……羨ましい。


「話すだけ話してみたらどうだ?」

「えと……私が持ってる指輪で、飛行車っていうのがあるんですけれど、あれなら噛み付かれても麻痺しないし……」


 リエリアに外傷は無い……意外といけるかもしれないな。


『クウォォッ!!』


 悲痛な声と共に、サトミが呼び出した有翼恐竜が墜落した!?


「“影鰐”がまた来まぁした! ゴブリンみたいな奴等も!」


「今度は進路方向からか――リエリアの案で行こう! 良いな、サトミ!」

「ええ。それじゃあお願いね、リエリアちゃん」

「は、はい――プラズマ飛行車!」


 前方左右にデカいライト? が付いた空色の車が出てきた。


 前座席が一人乗り。後部座席が二人乗りか。


「装備セット3――デュフェンドガード! クリス、リンピョンはこっちに乗れ!」


 翠の大型バイクを呼び出し、中距離攻撃が出来る二人をこっちに乗せる!


 リエリアの車との周波数は……調整している時間は無いか!


「出すぞ!」


 向こうが動きやすよう、先に私が発進させる。


 本当は、このバイクでリエリアの飛行車を護衛するつもりだったが。


「模擬レギオン戦の合間に、幾らでも機会はあったろうに」


 私の想定不足だな。


「サトミ様と離ればなれに――“影鰐”が来る!」「さて、どうなる?」


 正面から“影鰐”と接触――身体に不調は無い!


「リンピョン、クリスは問題ないか!」

『なんともない』

『はぁい、大丈夫!』


 リエリアの読み通りで間違いなさそうだな。


『メグミさん、私の声が聞こえますか?』

「ああ、聞こえてる! リエリアの閃きのおかげで、この場はなんとかなりそうだ!」

『エヘヘ』


 嬉しそうな声に、少しホッとする。


「私達で露払いをする! リエリアは私のバイクに付いてきてくれ!」

『了解です!』


 ……リエリアって、ちょっと天然?


おまけ

ドラゴンの顎

挿絵(By みてみん)


マッスルハート

挿絵(By みてみん)

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