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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第15章 覚醒の両翼

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585.明星の御使いの覚醒

「オールセット2――“ミケカムイ”!!」


 “半ベルセルク”のサブ職業を装備して獅子の耳を生やし――雷のような金色のオーラを纏う!!


 ――突っ込んだ私に対し、瞬時に右側から仕掛けてくるアルファ・ドラコニアン!!


挿絵(By みてみん)


 首を狙った爪を“獅子皇帝の盾”で打ち去なしながら、“侵略の雷帝剣”で胴を僅かに斬る!


「ハアハア」

《やるな、女のくせに》

「黙れ!」


 攻勢を仕掛け、爪と剣、攻守入り乱れる戦闘を繰り広げる。


 でも、十二文字での反射神経に、スピード特化の“ミケカムイ”を使用してなんとか対処できている程度……。


《自分の優位を捨ててまで、仲間を守ろうとしているのか? さすがは、高次元に片脚を突っ込んでいる人間だな!》


 コイツが他の誰かを狙わないように、私は空戦能力という強みを捨てて攻勢を仕掛けなければならない。


《だから、お前達は肝心な所で勝ちを拾えないんだ!!》


 ――不可視の衝撃波を、爪から斬撃のように放ってきた!!?


「クッッ!!」


 咄嗟に盾で防ぐも、距離を開けられてしまう!


 ――奴の姿勢が、クレーレ達に!!


「よせッ!!」


 黄昏の翼翻し、身体への負担を無視して即座に詰める!!


 ――回し蹴りから繰り出された衝撃波をぶつけられ、無様に……地面を転がされてしまう。


「ク……ソ」


 見事に引っ掛けられた。


《休む暇があるのか?》


 ――必死に立ち上がろうと藻掻く私の頭を、容赦なく踏み付けようとしてくるアルファ・ドラコニアン!!


「――ぁああああッッ!!」


 間一髪で避けた瞬間、不可視の衝撃波が横から身体を打ち付けた!!


「ガッ……ハアハア」


 息を整えないと……ろくにスキルも使えない。


《……つまらなくなってきたな――もう殺すか》



「――“神代の聖十字”!!」



 青白い十字の光が、アルファ・ドラコニアンに直撃――する直前に止められてしまう!!


「――――ハアアアアッ!!!」


 一気に威力を増強――暴発させてアルファ・ドラコニアンの不可視の障壁を破って吹き飛ばした!?


 イチカ……あんなに強かったんだ。


「ハアハア、ハアハア」


 神代の光がその手の十字架から消え、膝を付くイチカ。


 彼女はもう限界だ。


《……聖十字……滑稽な話だ》


 あれだけの攻撃を浴びても、身体の表面が少し傷付いている程度だなんて……。


「滑稽とは……どういう意味ですか!!」


 イチカ、時間を稼ごうとしている?


「オールセット1」


 カムイを解いて、MPと体力の回復を。


《十字、世界の宗教など、我々レプティリアンが、貴様ら地球人類を分断支配するために作ったシステムの一つに過ぎない》

「分断……支配?」

《宗教が崇拝する神々の原型は、全て我々レプティリアンだと言っている。ユダヤ教も、キリスト教も、我々が貴様らに与えた崇拝の概念が生み出し、それらを原種と交配させた雑種のレプティリアン達が様々な形で広め、部族を、国を作り、対立関係、大規模な争いに発展させられる土壌を作り出した》


「そんな……それじゃあ、いったいいつから……私達は……」


 イチカの戦意が衰えていく。


《故に、お前達は家畜なのだ! 最初から我々に支配され、搾取され、死ぬまで労働力として使われ、その苦しみ、怒り、憎悪を我々ネガティブ側人類に恵むために存在する!! 何十万年も前からな!!》


「何十万年も前……から」


 息が整ってきた。


《にも関わらず、ライトワーカー、スターシード、ワンダラー、高次元存在共が地球人類に転生して我々の統治を脅かそうと企てた――そう、お前らだ》


「私達が、高次元存在?」

《低次元への転生。当然の如く記憶のほとんどは持ち越せず、使命など無意識レベルでしか憶えていない……にも関わらず、お前達の存在は我々を脅かす……と言っても、十年前、お前達は完全、完璧な敗北を喫したんだがな!!》


 コイツ、なかなか隙を晒してくれない。


「十年前……ワクチンによる人類虐殺」


《地球人類の精神性は、完全にネガティブ側へと傾いた。その均衡を、転生してまで必死にポジティブ側で保とうとしていたお前達高次元存在を――地球人類は裏切ったんだ!!》


 何故だろう……アイツの言葉を聞いていると、心が沈んでいく気がする。


《ネガティブ側へと完全に傾いた世界では、お前達ポジティブ側が真に覚醒する事は不可能。低次元はそれだけで、毒のようにお前達の身体と意思を蝕み、やがて低次元へと落とす》


 真の覚醒……コセが起こしたアレがそうだとしたら――この異世界でなら、私達は覚醒する事が可能!


「――嘘ばっかり」


《……なに?》


 思わず、口を挟んでしまった。


「本当にお前達低次元存在が勝利したのなら、どうして私達が覚醒出来る可能性のあるこの異世界にわざわざ追放する? ――それはお前達が、まだ私達を恐れている証拠だろう!!」


《……奴等が()()()()を作り出した理由など――知るものかッ!!》


 途轍もない高速で迫っているはずのアルファ・ドラコニアンなのに、その動きは酷く緩慢に視える。


《なに!?》


 冷静に黄昏の右翼を引き裂かせながら攻撃を去なし、首元に“侵略の雷帝剣”を添え――るも、紙一重で避けられた。


《い、今のはなんだ……なぜ急に!!》


 クリスの従姉、オルフェ。


 今なら彼女が私に、危険を冒してまであの無謀な計画を持ち掛けた理由が解る気がする。


「自らの生き様を、恥じる事も出来ない劣等種よ」


《――奴隷種族如きが、我々を劣等種などとッッ!!》


「――“獅子王撃”」


 盾からのオーラ撃を――突っ込んできた劣等種の腹に食らわせて打ち上げ……私の背後に転がす。


《ぐ……何故いきなり……》


 こんな奴等に人類は、私達は……好き勝手、弄ばれ続けてきたのか。


「オルフェ――私は、貴女に必ず報いる」


 私の人類への嘆きとオルフェへの贖罪、このダンジョン・ザ・チョイスを終わらせるという信念が弾け混ざり――――巨大な螺線となって遥か高みへと昇っていく――!!


《藍色の……光》


 “明星の遣いの嘆き”が、八翼から十二翼の“明星の御使いの絶望”へと変化。


挿絵(By みてみん)


 左右上部の翼二枚に三文字ずつ、計十二文字の彩藍色の神代文字を刻んでいる。


「……」


 “獅子皇帝の盾”と、“ゴルドガントレットシールド”を装着した”轟雷竜の剣甲手”の噛み合わせが悪い。



      《私が欲しいのは――》



 三つの武具に彩藍色の光が吸い込まれ――“ゴルドガントレットシールド”が消え、“轟雷竜の剣甲手”に竜の意匠が増し、肘から先の刃が一回り大きくなった“明星轟雷竜のゴルドガントレット”へ。


 ”獅子皇帝の盾”は、”明星轟雷竜のゴルドガントレット”にピッタリと噛み合う――“明星の獅子皇帝の黄金盾”に。


《“可変”》


 “明星の獅子皇帝の黄金盾”の新ギミック、拳を覆う獅子の顎が開き、甲手となっていた(たてがみ)のパーツが展開――防御から攻撃形態へ。


《……ふ、ふざけるな》


 “明星の獅子皇帝の黄金盾”の八つの鬣のうち、四つに三文字ずつ刻んで――神代の力を、開かれた獅子の顎に集約。



《――――“獅子竜飽光”!!》



 黄昏と金色の奔流に彩藍色の神代の力が混ざり、本来よりも爆発的な威力を誇る光を飽和放射。


《クソぉぉぉぉぉッッッッ!!!!》


 腹部のダメージにより避けきれないと判断したのか、念能力で耐えようとする劣等種。


 だが、不可視の壁は私の一撃を一秒と防ぐことができず……左腕を残す形で胴体から上が吹き飛び、やがて光へと変わっていった。


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