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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第15章 覚醒の両翼

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584.剣道戦士フミノ

「――オララララララララララララ!!」


 ハッスルモードになったチトセが、二丁のガトリングから銃弾の雨を浴びせ、不気味なおどろおどろしい盾を持つアルファ・ドラコニアンを足止めしてくれる。


「ハアハア」

「ハアハア、アイツ……強過ぎんだけど」


 クレーレが弱音を吐く……なんか意外。


「それでどうします? ジュリーさん」

「後退して皆と合流する?」


 イチカとフミノに尋ねられる。


「アルファ・ドラコニアンが現れたにもかかわらず未だに援軍が来ないのは、どこも手こずってるからだと思う」


 アルファ・ドラコニアンの出現に気付けない程激戦を繰り広げているのか、最悪……ここ以外にも、アルファ・ドラコニアンが現れている可能性も……。


「とにかく全員で畳み掛けて、奴の不可視の力を限界まで引き出し、力技で突破する。考えられる有効打は他に無い」


 以前戦った経験から導き出した、もっとも効果的であろう戦術。


「絶対に神代文字を切らすな。切れた瞬間に死ぬと思え」


 あの不可視の力に対抗するには、神代の力は必須。


「解りました」

「じゃあ、私から斬り込むかな」


 フミノが、鏡の板で出来た竹刀状の武器に六文字刻む。


「待って、フミ姉」


 クレーレが止める。


「最初は、私が仕掛けるから」



●●●



「“尖衝武装”」


 鏡の竹刀、“只ひたすら打ち込むのみ”に、突きに特化した赤い四角錐の光を纏わせる。


「おい、そろそろMPが切れる!」


 豹変チトセちゃんが限界を伝えてきた。


 模擬レギオン戦でたびたび豹変ぶりを見ていたけれど……ちょっと未だに慣れない。


「準備……出来たよ」

「お、重い……」


 クレーレちゃんとジュリーちゃんが、“トマホークレールシューター”という巨大武器を必死に支えている。


「”獣化”状態なら、これくらいわけないのに」

「い、良いから早く!!」


 クレーレちゃんとジュリーちゃんの文字の力が、巨大射出鈍器にセットされた投げ斧全てに吸い込まれていく。



「いっくよ! “闘気斧”――――“投げ斧射出”!!」



 十一の斧全てが高速射出――チトセちゃんの攻撃を防いでいるトカゲ男に迫る!


《何をするかと思えば》


 奴を中心に、半径二メートル以内で全ての斧が止められた!


「――クレーレ!!」

「おうともさ!!」


 二人の文字が共振して全ての斧から神代の力が炸裂――止まっていた斧達に再び暴威が宿――


《小賢しい!!》


 不可視の槍か何かで攻撃されたみたいに、全ての斧を弾き飛ばされてしまった!!


 でも、このタイミングなら!


「――ムーブメント」


 突きの構えで、奴の背後に回り込む。


 ――気付かれぬよう、新たな攻撃能力を使わずに胸を狙う!


《――チ!》


 二の腕に掠っただけで躱された!?


 肉壁が無くなったため、チトセちゃんの攻撃を急いで躱――した先に、トカゲ男が回り込んでいる!!


「“聖炎水魔法”――バーンセイントスプラッシュ!!」


《――“法呑み”》


 黒い盾に付いた口が開き、援護しようとしたイチカちゃんの魔法を食べてしまう!


 ――また来る!


《返礼してやる――“法吐き”》


 避けようと動く私に盾の口を向け、燃える水をそのままの勢いで吐き出して来た!!


「――“魔斬り”!」


 水を切り裂いて消失させる。


「“聖炎水剣術”――バーンセイントプリック!!」


 イチカちゃんが背後から突きを仕掛けるも、念力で止められた!


「装備セット2」


 左手にSランク武器、“アルティメット硬鞭(こうべん)”を装備!


挿絵(By みてみん)


「“殴打撃”!!」


 わざと目立つ“只ひたすら打ち込むのみ”で攻撃し、念で止めさせる。


《……なんだ?》


 私がコッソリ振るった硬鞭が、盾にぶつかった事を訝しむトカゲ男。


 鏡の竹刀で急所を狙い、鋼鉄の棒で盾を狙い続ける!


《なにを狙って……盾が》


 私の“アルティメット硬鞭”の“究極摩耗”は、ある程度強く接触させれば、武具を簡単に抉り削る事が可能。


 一定以上の損傷を与えれば武器は強制的に装備が解除されるため、武具を使う人型モンスター、対人戦にて大いに有利に立てる武器。


 まあ、鉱物系以外のモンスターには、只のランクが高いだけの武器になっちゃうんだけれど。


「余程頑丈な盾ね。Sランクかしら?」


 Bランクくらいなら、耐久性に優れた盾でもとっくに装備解除に追いやれているはず。


《ク――ハハハハハハハハハ!!》


 高らかに笑い出したと思ったら、盾を明後日の方向に投げ捨てた?


《どうも武器を扱うのは面倒だ――ここからは、一切の隙も見せない》


 ――イチカちゃんの剣による不意打ちを避け、私の攻撃にも対応し――尻尾の薙ぎ払いで二人纏めて吹き飛ばされるッ!!


《俺を、そこらの雑魚ドラコニアと一緒だと思うなよ?》


 厄介に感じてた念力無しで、完全に手玉に取られてしまった……まずい。


「なら、切り札を使います!」


 イチカちゃんが腰からその手に掴んだのは、銀の懐中時計!


「それって確か……」

「後はお願いします――“時止め”」

《く!!》


 懐中時計から藍色の光線が放たれ、トカゲ男は躱せずに接触。


 “時止め”、モンスターの動きを六秒間だけ止められる能力。


 ただし、使用者はその間無防備になってしまうため、敵が一体で仲間が居るときでなければ意味が無いという、なんとも使い勝手の悪いアイテム。


 Sランク武具は強力だけれど、一癖も二癖もある武具が多くて手が掛かるイメージ。


「“鏡面武術”――ミラーサーフィスストライク!!」


 六文字分の力を集約した一撃を、喉を狙って放つ!!


「――――ゲフッッ!!?」


 紙一重で躱された挙げ句、鋭利な右足の爪が腹部に突き刺さって……蹴り上げられた。


《“時止め”だか何か知らないが、俺には通用しないらしいな》


「まさか……」


 コイツ……モンスターじゃないの?



「“天雷魔法”――ヘブンサンダラスレイン!!」



 発光する雷が何重にも轟いて、トカゲ男を牽制する。


「次は私が相手だ、アルファ・ドラコニアン」


挿絵(By みてみん)


 ……黄昏の翼を広げ、舞い降りる天使がいた。



●●●



「イチカ、フミノの治療を! チトセ、適度に私を援護!」


 アルファ・ドラコニアンはモンスター扱いじゃない……少し考えれば気付けた事なのに……事前に伝えることが出来なかったのは、この場の指揮を取っていた私のミス。


《お前は、俺を楽しませてくれるのか?》

「知るか」


 奴の念能力も、無限ではないはず。


「盾を捨てた事を後悔しろ――“四重詠唱”、“天雷魔法”――ヘブンサンダラスレイン!!」


 とにかく広範囲に、天の雷をばら撒く!!


《お前には頭が無いのか? 神代の力すら込めず、無駄にエネルギーを消費するとは》


 なんとでも言え。


「天雷の金星球――“磁力”!!」


 指輪から呼び出した金塊球に神代の力を込めてから――高速反発射出!!


「“天雷魔法”」


 魔法陣を分かりやすく展開。避けようとすれば狙い撃つと知らしめる。


 ――奴は避けず、受け止める選択をしたらしい。


「ヘブンスプランター!! ――“回転”!!」


 金星球に雷を吸収させると同時に回転を加えて、威力を一気に増強!!


《やってくれたなッ!!》


 私だけじゃなくフミノとイチカの神代の力も加わり、回転速度は尚も増していく!



《――ぅおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!》



 大気が弾け――金星球までもが弾き飛ばされた!!?


《ハアハア、ハアハア……本当に……やってくれたな》


 両腕が肘近くまで消失し、残っている部分も焦げ付いているようだけれど……致命傷には程遠い。


「スティール……上手くいったよ、ジュリ姉!」


 奴の盾の所有権を奪ったクレーレが、暢気に手を振っている。


挿絵(By みてみん)


《なるほど。最初の広範囲攻撃は、俺の注意を引くためか》


 嫌でも注目させ、クレーレが盾を奪う隙と時間を稼いだ。


《フン! 既に、その武具に頼る気など失せていた物を》


「へ? ――――ぁぁああああああああああッッッッ!!!?」


 壊れかけていた盾が赤い光になって――突然、叫びだしたクレーレの胸に吸い込まれていった!!?


「クレーレちゃん、まさかコセくんのように!?」


 チトセは、あの現象を知っている?


「……や……ば」


 クレーレが倒れ、蹲って動かなくなってしまう。


《“瞬間再生”》


 アイツ、前のアルファ・ドラコニアンと同じく激レアなおまもりを!!


《貴様らに合わせるのはもうやめだ。全力で捻り潰してやる》


 隙は見せないとか抜かしながら、楽しむのを優先していたということか――


「チトセさん! クレーレをお願いします!!」


 “明星の遣いの嘆き”に無理矢理十二文字を刻んで、他の人間を狙わせないために――全速力で仕掛けるッ!!


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