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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第15章 覚醒の両翼

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566.決闘前の波紋

「来ましたよ、ご主人様」


 アオイと関係を持った二日後の早朝、ホタル達を除く全員でメルシュ達を祭壇麓、大規模突発クエスト用の特設テントがあった場所で出迎える。


「マスター!」


 感極まったように胸に飛び込んでくるメルシュ!?


「ど、どうした?」

「なんか、ようやく本当に再会できたって気がして、嬉しくなっちゃったんだよね~」


挿絵(By みてみん)


 今日のメルシュは、いつもより妙に可愛らしい。


「今朝も顔を合わせてるのに……なんか変な感じ」

「本当ね……ッ」


 涙を浮かべながら、四日前の時以上にしっかりと抱き締め合うアオイとアヤナ。


「魔法の家で会っているのに、不思議と久し振りという気分になるな」

「……だね」


 ルイーサとジュリーを始め、レギオンメンバーの多くが感慨深そうな表情を浮かべていた。


「無事、迎えに来たわよ。ミキコ、パンパン」

「お疲れ様です、タマコ様。皆も」

「なんか、不思議な気分だなー」


 《ザ・フェミニスターズ》の面々も、再会を喜んでいるようだ。


「一応、久し振りと言っておこうかな」


 遅れて、アテル一行も祭壇を下りて来る。


「これからについて、少し話さないか?」

「数日後には、僕達は先へ進もうと考えている」


 安全も兼ねて、足並み揃えて攻略をするものだと思っていた。


「一緒には行かないのか?」

「僕等は同盟は組んだけれど、将来は敵同士。それなら、お互い手の内は知らない方が良いだろう?」


 この前の海戦時、リューナに自分のSSランクや新しい剣を見せ付けておいて。


「ただ、今のお互いの実力は知っておきたいかな。以前のような模擬戦ではなく――本気の殺し合いという形で」


 一方的に手の内の一端を知っているのは、フェアじゃないよな。


「ああ――望むところだ」



●●●



「フーン、フンフンフンフーンフーン♪」


 楽しそうに朝食の準備をしているリエリア。


「昨日の朝からずっと楽しそうだね、リエリア」

「自分に自信が持てるようになったから、浮かれてるんですかね?」


 コトリとケルフェが、小屋の中のソファーで寛ぎながら、何気ない様子で話している。


「……」


 あの人を……ギルマスを殺すと誓ったあの日から、何もしていない時間は落ち着かない。


「素振りでもしてこようかな」


「おー、お前ら! これから、コセとアテルで本気の模擬戦するってよ! 見に行こーぜ!」


 “神秘の館”に朝食を食べに行っていたはずのザッカルさんが、アルーシャさんと共に戻ってきて嬉しそうにそう告げた。


「いやー、でも再会はとっておきたいし……」

「そ、そうですね!」


 コトリとケルフェが急に緊張しだす。


「へ、見に行かないんですか!?」


 何故か凄くショックを受けている様子のリエリア……もしかして。


「遠くから観るだけなら別に良いのでは? 互いにSSランクを使う気満々みたいですし、別次元の戦いが見られるかもしれませんよ?」


 バトルメイドのアルーシャさんの言葉に、強く興味を惹かれる。


 ギルマスの実力、戦術、戦いの癖、知っておいて損は無いはず。


「私は行きます」

「わ、私も行きたいです!」

「と、遠くからなら」

「そ、そうですね。ギルマスの勇姿は見たいですし!」


 結局、コトリもケルフェも行くらしい。


「お前達のリーダーとやらの実力、私がこの目で確かめてやるか! まあ、三大レギオンの一角たる我々、《真竜王国》からすれば大したことないだろうがな!」


 何故か粋がっているエトラ。


「エトラ、自分からフラグを立てるような事を……主として恥ずかしいよ」

「フラグ? 誰かが前にそんなことを言っていたような……」


「お前がコセの実力を見てどう思うのか、今から楽しみだぜ!」


 ザッカルさんも、コトリ達と同じく、だいぶギルマスに心酔してますね。


「ホイップはどうします?」

「うーん……わ、私も行こっかな……遠くからだし」


 なにかを気にしている様子のホイップ


 ホイップは、隠れNPCになる前は異世界人だったらしいですが……ギルマスとなにか関係があるのでしょうか?



●●●



「フー……」

『どうした、ユウコ?』


 コイツが用もなく“湖の城”に居るのは珍しい。


「キクル……私の下僕達が、私が勝手に大樹村を離れた事に文句を言い出したのよ。もう少し従順な子達だと思っていたのだけれど」

『フーン』


 訊く必要なかったな。


「下手をすると、勝手に私の後を追って来かねない」

『なにを選ぶかなんて、奴等の自由だろう。その結果、死ぬことになろうとも』

「助けてあげたいとは思わないの?」

『意思に反して助けたって、どうせ運命は変えられないさ』


 レイナが見逃そうとしたホナミが、結局は死んでしまったように。


「……貴方は、そういう考えの持ち主なのね」


 人の気配が近付いてくる。


「ここにおられましたか、お二方」


 俺のホーン・バトルメイドのディアが、声を掛けてきた。


『なにかあったのか?』


「コセさんとアテルさんが、全力の模擬戦をするとのこと。メルシュさんより、良ければ見に来ないかと連絡がありました」

『面白そうだな』


 あの二人の戦う姿、何気に一度も見たことがない。


 Aランク武具が一番、Sランク武具が二番目に多いこのゲームは、最終的な最強スタイルは多岐に渡る。


 手に入る武具はランダム要素が多いし、幾つもアカウントを作って、色んな最強スタイルを作り上げた物だ。


 剣斧と毒を主体としたスタイルは一番最初のビルドだが、偶然手に入ったアイテムがたまたま似ていたから踏襲した形になった。


 フ、運命を感じずにはいられないな。


「いずれ、私が入るかもしれないレギオンリーダーの戦いね。興味があるわ」


『本気で《龍意のケンシ》に入るつもりなのか?』


 コイツの肌に合わない気がするんだが。


「貴方がレギオンを起ち上げてくれるなら、幹部になってあげても良いわよ」


『俺が? 冗談はよしてくれ』


 本当なら、一人でこのダンジョン・ザ・チョイスを楽しみたいくらいなのに。


「開始まで三十分を切っています。急いだ方がよろしいかと」


『場所は?』


「“神秘の館”前だそうです」


 なら、一度“林檎樹の小屋”に出てから向かう必要があるか。


「レイナ様達は全員、今頃は城の前に集まっているかと」


『そうか……一応、アイツにも知らせておくか』


 数日前に出会った同志に。


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