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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第15章 覚醒の両翼

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564.魅惑の誘い

「お疲れ様です、アテル様」


挿絵(By みてみん)


 船に戻ると、豊かな黒髪を腰まで伸ばした僕のバトルメイド、川蝉鳥人の美女、ルシャーナが出迎えてくれる。


「他も粗方片付いているみたいだね。ヒフミさん達の方は?」

「先程クフェリス様とスヴェトラーナ様が加勢に向かいましたので、すぐに片付くかと」

「砲撃も止んでるし、このまま任せて良さそうだ。僕は疲れたから、一休みさせて貰うよ」


 舵を担当してくれている燕鳥人のワロースに軽く挨拶し、装備を外して船内のベッドに寝転がる。


「……ちょっと、強がりが過ぎたかな」


 SSランクの“五葉手の九鬼の黒翼”は、自分の身体で作り出したためか生成するだけでも体力を持っていかれる。


 神代の力も限界まで大いに振るったし、ツェツァさんの親友である彼女に気付かれてはいないだろうか?


「……コセ。今の僕と君、どれくらい実力に差があるのかな?」


 確かめる機会があれば良いんだけれど。



●●●



「く!!」


 青白く発光するフミノさんの竹刀に、翻弄される。


 庭先で行っていたミキコとの模擬戦に現れた彼女が、参加したいと言ってきたのだ。


 そのミキコはというと、さっさと汗を流しに消えたし!


「なにか戸惑っているようですね!」


挿絵(By みてみん)


 竹刀を太刀と結び付けてしまっている俺は、その攻撃の軌道に対して反応が一瞬遅れていた。


 太刀は突いたり切り付けるのが基本なのに対し、竹刀による攻撃は剣先による打突。


 ユイとの模擬戦に慣れすぎてしまっているせいで、竹刀特有の動きに戸惑い、劣勢に立たされている!


「――グハッ!!」


 胸部分に突きが決まり、尻餅を着かされてしまった。


「あら、少しやり過ぎてしまったかしら?」

「ハアハア……今のって、もしかして剣道ですか?」

「その通りです。まあ、こっちの世界に来てから私なりの実戦向けアレンジを加えているから、真っ当な剣道ではないのですけれど」

「そういう物ですか」


 中学の部活で見学した事はあるけれど、やったことはなかったからよく分からないんだよな。


「フー、良い汗かいた……それにしても、不思議」

「何がですか?」

「今生きている事が。あんな死に方をしたのに、最後の瞬間はあんなにも安らかだったから……今は生きてるって感覚が希薄なの」


 まるで、この世界に眩しい物を見ているかのようなフミノさん。


「ああ……イチカさんの様子は?」

「ショックは受けているみたいでしたけれど、今朝のうちにギルドで手続きしていましたわ。貴方のレギオンに入るために」


 前を見て行動を起こしているから、大丈夫って言いたいのかな?


「なら、少しは安心ですね……そう言えば、賞金稼ぎはレギオンに入れなかったっけ」


 バウンティーハンターを廃業するには、殺して手に入れた賞金の二割を返納する必要があったはず。


「……フミノさんは生き返ったこと……嫌でした?」

「もしかして、セリーヌちゃんのこと?」


 鋭い。


「ええ……まあ」


 彼女の心境が、イマイチ分からない。


 生き返らされたことそのものに不満があると仮定し、似た境遇のフミノさんに尋ねてみる事に。


「死んでいたかった。なんて思っていない限りは、嫌ではないと思いますよ。私の場合、一度死んだ事で心が洗われた気分ですし」


 フミノさんの笑顔は、眩しい程に曇りがなく……儚げだ。


「そろそろ帰りますね。シャワー浴びたい」

「ああ……気をつけて」


 優雅に去っていくフミノさん。


「……あの人、結局一人で何しに来たんだろう?」


 只の気紛れ?


「俺も、汗を流しておこうかな」


 “神秘の館”に戻り、修練場前を通り過ぎようとした時だった。


「ダーぁリ~ン♡」


 いきなりタックルをされるも、誰の仕業か分からない!?


「……え、アオイ?」


 体当たりしてきたのは、緑髪で左サイドテールを作っている美少女。


 絶対にダーリンとか言わなそうな人に言われたため、思考が混乱する。


「あの……いったいどうしたんだ?」

「お姉ちゃんだけ……狡い」

「は?」


 なんの話だ?


「お姉ちゃんと……シたんでしょ?」


挿絵(By みてみん)


「……本人から聞いたのか?」

「あ、やっぱり」


 引っ掛けだったのかよ!


「男運無いはずのお姉ちゃんが、私より先に良い男手に入れるとか、世の中間違ってる」

「そこまで言う!?」


 そう言えば、アヤナが前の彼氏にお金をうんたらとか……思い出さなきゃよかった。


「えっと……俺と付き合いたいってこと?」

「というか……ね」


 上目遣いのまま、顔が近付いてくる。


「私、結構お姉ちゃんへの対抗意識……高いんだ」


 アヤナとは全然違う……場所が暗い廊下なのもあって、一瞬で魅惑的な空気感を作られてしまう。


「エッチしようよ……コセ君」


 近付く唇を拒む理由を、俺は見付ける事が出来なかった。



●●●




○拿捕した海賊船より、以下の物を入手しました。


60000000(六千万)

★豪奢な刀剣×3    ★豪奢なマント

★豪奢な盾×2     ★豪奢な槍×4

★高級燻製チーズ×15  ★ビンテージワイン×12

★ドラゴンの熟成肉×8 ★香辛料セット×28

★金塊×6       ★銀塊×11

★オリハルコン×4   ★ブラックオリハルコン

★ルビー×21      ★サファイア×7

          :

          :



「収獲と言えるのは、この三つかな」



★アームリングリング×2

★万能進化の種

★自由の女神の両肩腕



 海賊船一隻から手に入った物と考えると、上出来とも言える。


「メルシュちゃん。その三つは、いったいどういう物なんですか?」


 クルーザー上でチトセに訊かれる。


「“アームリングリング”は、”リングリング”の腕輪版。腕輪は基本的に二つまでしか装備できないっていう制約があるけれど、このアイテムがあればその他欄の数だけ腕輪を装備できる」


 まあ、ちゃんと腕に装備しないと効果を発揮しない物もあるけれど。


「“万能進化の種”というのは?」

「強化可能なスキル、アイテムならこの種で全部賄えちゃうんだよね」

「もしかして、“超化の種”の代わりにも?」

「うん。他に、“二重魔法”を”三重魔法”にしたりもね」


 私が持ってる分の“万能プランター”では”Lvアップの実”を栽培してたけれど、今日からは“万能進化の種”に変えるかな。


 マスターの分も含めて、うちのレギオンに“万能プランター”はまだ二つしか無い。


 せめて、もう一つくらいは欲しいところ。


「“自由の女神の両肩腕”は、鎧の肩部に装着するタイプのSランク。これが、今回拿捕した海賊船から確定で手に入るSランク武具枠だったんだと思うよ」


 鎧持ちじゃないと意味が無いから……うーん、誰に使わせるべきか。


 他の武具に装着出来るタイプの武具は一つまでだし……まあ、鎧持ちに直接訊いてみるか。


「チトセ様、メルシュ様。目的地の島が見えてきました」


 二階の操舵室でクルーザーを飛ばしていたヘラーシャより、報告が入る。


「ジュリー達ゴーストシップ組は、既に着いているみたいだね」


 ルート的に向こうの方が早く着けるから、当然と言えば当然なんだけれど。


 そんなこんなで、私達は無事にボス戦を終え、その日のうちに三十九ステージ、“蛇神信仰の町”へと至るのだった。


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