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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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552.英雄は黄昏の中で

 精神を蝕む不浄な気を、剣に刻んだ神代の光で消し去りながら――上空から大岩の雨を降らせる!!


「速い!!」


 素早く機敏な動きと、尻尾で掴んだ巨大な影斧で対処してしまう凶獣。


「――これならどうだ!!」


 ただひたすら大きな巨岩を作り出し、投下!!


 ここまでの戦闘で、奴の判断基準、パターンはある程度読めた。


 “雄偉なる黄昏は英雄と共に”に収束させた黄昏色の光を、巨岩に向かって撃ちだし――岩を破砕しながら地上へと波光させる!!


《『ガアァァァぁぁぁぁぁぁっp4gs!!!!』》


 奴は頭が良い。こちらの次の行動に対処出来るよう、ギリギリまで見定めてから動くクセがあった。


 俺の次の行動を警戒しながら、落ちてくる巨岩を躱せるギリギリまで状況を探っていた所に、突然巨岩を貫いて光が降り注いだ挙げ句、巨岩は流星群のように大岩となって降り注ぐ状況。


 幾ら奴でも、対処しきれはしない。


 対処しきれない物量攻撃。俺が奴なら、次に取る行動は――畳み掛けて相手の動きを封じる!!


「――“拒絶領域”!!」


 瞬時に神代の力を流し込んだ円柱状の衝撃波で、凶獣の背後からの襲撃を防ぎ――無数の光線を浴びせて影の巨体を削っていく!!


「これでも決定打にならないか」


 優勢ではあるものの、右手の剣からトゥスカの限界が近付いているのを感じる。


《『私に――力をぉぉぉz4んbj!!!!』》


 残っていたシャドウ・グリード達が一斉に、“支援”のスキルを発動して本体を強化した!!?


「“超噴射”――“猪突猛進”!!」


 上空からの急加速で、上体を起こす前に腹に激突――両手の二つの雄偉の限界まで、力を高める!!


「“大地竜剣術”――グランドドラゴンブレイク!!!」


 無理矢理引き上げた十八文字分の力を叩き込み、胸を爆ぜさせる!!


 同時に漏れ出す赤い光と、それを放出するガラス玉のような多面球体――アレが核か!!


「“黄昏大地剣術”、トワイライト――」


《『お母さ……』》


 その言葉に――決意が揺らいでしまった。


 三十九ステージで倒した、哀れな異形の最後と重ねてしまったがために。


「――グランドブレイクッ!!」


《『――ギャアアアああああああああああッッッッッ!!!!』》


 一瞬の遅れと文字の力が揺らいだ事で――ガラス玉を半分しか破壊できなかった!!


 力を出し切った事で、二振りの雄偉の剣の名が消えてしまう。


 ――なにをやっているんだ、俺は!!


「グッ――オールセット1ッ!!」


 腕で薙ぎ払われながらも、“サムシンググレートソード”と“偉大なる英雄竜の猛撃剣”に持ち替える!


 ガラス玉の崩壊は……徐々に進行している。


 奴の身体も、さっきまでのような回復能力は消え、上手く再生出来ないらしい。


 赤いガラス玉が露出したまま、幾分か小さくなった。


「ハアハア、ハアハア」


 十八文字はまだキツいうえ、奴が振りまく精神汚染を防ぐために神代の力が消耗させられている……予想を上回るペースで事態は悪化しているな。


《『――お母さぁぁぁjd4hrrfh!!!!』》


「もう――躊躇わない」


 魂を削る覚悟で――三つの武具に十八文字を刻む!!!


 正面からぶつかり合い、剣と爪の壮絶なぶつかり合いが――止むことなく繰り広げられる!!


 声を発する余裕も無く、互角の攻防。


 けれど、向こうは尻尾で掴んだ斧を温存している。


 ――激しい打ち合いの末、奴の動きが僅かに守勢に――


「“二刀流”――“飛王剣”!!」


 上段から振り下ろす際に王の斬撃共々偉大な剣を叩き付け――凶悪な爪が爆ぜた!!!


「――“拒絶領域”!!」


 空中バク転からの斧攻撃を弾き飛ばし、奴に身動きが取れない隙が生まれる!!


「“可変”――“神代の牙”ッ!!」


 竜の顎と化した“偉大なる英雄竜の猛撃剣”で胴を噛み付かせ、青白い牙で奴の身体を穿ち捕らえた!!


《『ギィぁぁぁぁぁぁfjbg4hfwqzmッッ!!!!』》


 

「――――“神代の撃竜砲線”ッッ!!!」



 赤のコアに、直接神代の光をぶち当て続けるッッ!!


 英雄竜の剣以外の文字を消し、両手で握り締めて――魂と意志を振り絞るッッッ!!!


「――ぅああああああああああああッッッ!!!!」


《『――――ギャアアあああああああああああああッッッッッ!!!!』》


 ――”神代の牙”が砕け、放射した光の威力で吹き飛ばされていったッ!!


「グぅッッ!!!」


 鼻血が……頭が割れそうだ。


 身体が沸騰したように熱く、腕や足の感覚が鈍くなってきて……剣を握るどころか、立ち方すら解らなくなってくる。


「まだ……だ」


 まだ……奴は生きてるッッ!!


《『グギュギ――――ギャアアああああああああああッッッッjるgh4jwhcsぞkpm!!!!!!』》


 崩れかけた身体のまま、猛スピードで迫って――


「――――“神代の放線”!!」


 背後から放たれたトゥスカの攻撃が直撃!!



「――――“神代の聖十字”!!」



 凶獣が倒れた所に、裁きの十字光が上空から降り注いだ!?


《『……あった……か……い…………』》


 ……哀れな獣は……ようやく眠りについた。


「ご主人様ッ!!」

「ドゥ……スガ……」


 全身が震えて……もう……意識が…………。



●●●




 降り立つと同時に“炎鳥化”を解き、炎の翼や尾羽などを消す。


「ご主人様! ご主人様ッ!!」


 気を失ったコセさんは酷い状態で、トゥスカさんが慌てる気持ちはよく分かる。


「私が治療――ぅ」


 思わず膝を付いてしまう。


 さっきの一撃で、完全に限界を超えてしまったようです……。


『シャドウ・グリードの本体、汚染されし隠れNPC、“ヘルシング”が――討伐されました』


 無機質なアナウンス。



『クエストの制限時間を既に超えているため、ヘルシングが討伐された事で、四十ステージから参加の皆さんは、第二回大規模突発クエスト・死者の墓を曝け、クリアとなります』



「……終わった?」


 いつの間にか、シャドウグリードの出現から一時間を超えていたんだ。


「ユウダイ様!!」

「おい、無事か!!」


 ナターシャさんとエルザさんが駆けよってくる。


「……コセ……ユウダイ」


 私の、新たな契約者となるかもしれない人。


「ゲームをクリアするまで……か」


 身体が光に換わっていくなか、トゥスカさんの腕の中で眠る彼を見て思う。


 彼に尽くせば、私のこの拭いようのない罪悪感は……消えるのだろうかと。


挿絵(By みてみん)


 久し振りに――未来に希望を感じている私が居た。


第14章 随意なる黄昏は英雄と共に 完結です。

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