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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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550.トマホーク祭りと殲滅の悪夢

「逢魔の剣! 怨霊の剣!」


 指輪により連動する巨剣を呼び出したオゥロが、豪快な二刀流を持って盾持ちのデスアーマーを押さえ込む。


 翼を持ち、浮遊するように羽ばたける鳥人ならではの戦法。


 でなければ、あんな巨剣二本なんて使い余してしまう。


「数が多い――“駒召喚”、ポーン!!」


 マズダーが、隠れNPCである”チェスのクイーン”の固有スキルを使用し、黒金の兵士八体を呼び出した。


 他にナイト、ビショップ、ルークを二体呼び出せるが、同時に出せるのは一種類のみ。


 その中でポーンは最弱。


 けれど、隠れNPCであるマズダーは、チェスのクイーンのもう一つの固有スキルを使用する条件を満たしている。


「――“昇格”!!」


 盾と短剣を持っていたポーンが、全て私に酷似した姿となる!


「行け!!」


 八体の黒金の私が、凶悪な尻尾と斧を持つシャドウ・グリードを、その手の斧と鋭い盾で蹴散らし始めた!


「なんかアレ、ホタルっちに似てない?」


 クレーレからの質問。


「“昇格”は、奴隷が自分の主をキングに見立てて使用するスキル。だから、キングへと昇格(プロモーション)したポーンは、私とほぼ同じ性能を得る」


 単純にパワーとディフェンスに優れた私は、“昇格”対象として理想的と言って良いだろう。


「“逢魔魔法”――オミナスオーブ!!」


 右手の“オミナスロッド”から黒い球体を放ち、デスアーマーに直撃させるオゥロ。


「“怨霊魔法”――――エクトプラズムカノン!!」


挿絵(By みてみん)


 浮遊する墓、“墓石に宿りしは怨霊の祟り”より九文字分の力が込められたプラズマ弾が撃ち込まれ……頭を吹き飛ばした。


「ハアハア……キツい」


 オゥロはまだ、九文字を長時間維持できない。


 今の私と同じく、疲労困憊のはず。


「ク、更に二体も来るか!」


 クオリアと新顔のメイドは、シャドウ・グリードで手一杯なのに!


「そろそろ、コイツの番かな――オールセット2」


 クレーレが、バカでかい金属の金棒? を装備した。


「それは……まさか」


 天空遺跡で手に入る素材で作れるアイテムリストにあった……。


「“トマホーク……レールシューター”」


 でも、天空遺跡のアイテムリストで作れるのって、全部イマイチだった気が……。



●●●



「やっぱ重……“獣化”」


 雪豹の人獣となって、三メートルを超える金棒みたいなのを支える。


『”氷砕王斧”、”爆裂王斧”、”雷鉄王斧”! ――“投げ斧連結”』


 三つのトマホークを出現させて、“トマホーク・レールシューター”にセット。


 既にセットしてある“雄大なる雪原の風”、“雄大なる大地の風”、“首刈りの鉞”、“レーザーアックス”と合わせて、これで七つ。刃が外側を向き、柄部分が巨大金棒に収納される形で装着される。


 本当は最大で十二、四方に三つずつ装着出来るらしくて、装着数と装着した投げ斧のランク次第で威力が上昇するらしい。


『――オりゃ!!』


 力任せに振り回して、一体をズタズタに。


『もう一体は――』


 薙刀の一振りが頭に迫るも、“偶発無敵”が偶然発動してくれたおかげで助かった!


『“氷砕武術”――アイスクラッシュブレイク!!』


 受けようとした薙刀の柄ごと、黒い不気味鎧の身体をペシャンコに!!


『“闘気斧”――“投げ斧射出”!!』


 青白いオーラを纏わせて威力を底上げしてから、放電一秒後に斧と金棒との連結が解除――七本全ての斧を高速で回転射出する!!


 近場のモンスターに数秒間自動追尾する性質上、プレーヤー相手にはまったくと言って良い程意味が無い攻撃法だけれど、威力はメルシュ姉のお墨付き。


 黒い不気味鎧は、二体ともズタズタにされて消えていく。


『ブイ!! 私の勝ち――ぁぁぁぁぁぁああああああ!!!』


 黒い不気味鎧が消える際に出た青白い光の粉が――私の胸に流れ込んでくるッッ!!!


『なに……これ」


挿絵(By みてみん)


 勝手に“獣化”が解けて、胸を中心に激しい痛みが……。


「クレーレちゃん!?」

「クレーレ様!!」


 遠くから……クオリア姉とレミっちの……声…………。



●●●



 突然叫び声を上げ、気を失われてしまったクレーレ様。


「来なさい、“プラズマロイド・(ビースト)”」


 メルシュ様より提供されし四足歩行機械獣を呼び出し、私の代わりにシャドウ・グリードと戦って貰う。


「いったいなにが……」


 私の常識には無いクレーレ様の状態に困惑しながらも、取り敢えず肩を貸して起き上がらせる。


「きっと、コセ様と同じ症状です」


 我が主は、何かご存知のよう。


「このままでは、いずれ物量に押し潰されるでしょう。後退を進言致します」


 プラズマロイド系は、同系統装備のバトルパペットと比べると基本性能は高い物の、“不壊”の効果も無ければアイテムも装備出来ないため、総合的にはバトルパペットに戦力として劣る。


 今やらせている時間稼ぎも、長くは続かない。


「ホタルさん達も、もうまともに戦えるのはマズダーさんだけ……仕方ありませんね」

「聞いていましたね、ホタル殿! 今から撤退を始めます!」

「それは……」

「後は、コセ様達にお任せしましょう」


 ちょうど反対側で戦っているであろう、偉大なお方に。


「……クオリア様?」


 地獄の番犬の上で、神代の力を刻々と練り上げておられる?


「敵を一掃します――私の全力を持って」


 左腕の銀の装身具、“鬱屈なる感情の発露”に十二文字を刻み、尚も力を高めていく。


 これが、我が主の真の力……どうやら私は、とんでもない方に仕えることとなってしまったようだ。


「“六重詠唱”、“悪夢魔法”」


挿絵(By みてみん)


 六つの魔法陣を生み出した上、文字を十五文字に!!?



「――――“直情の激発”」



 六つの黒の奔流が、見渡す限りのシャドウ・グリードを消し飛ばし――鎮座する濃紫の巨大キューブに直撃した!!


「――ハアハア、すぐに、ハアハア、後退を……」


 まずい、クオリア様が弱り切っている!


「来い!」


 プラズマロイドを呼び戻し、クレーレ様と共に跨がる。


「すみませんが、先に退かせて貰います」

「……ああ、後ろは受け持つ」


 ホタル殿三人を置いて、私達は三人だけでブラックエリアを脱出した。


《『――ギュルァァぁぁぁぁぁあdfjvけ4ghdr4fjp!!!!』》


 NPCである私が恐怖を抱くほどの、凄まじき化け物の産声に背を向けて。


おまけ

墓石に宿りしは怨霊の祟り

挿絵(By みてみん)

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