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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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546.ブラックエリアの騎士

「恩に着るよ、お前達」


 クオリア達三人が協力してくれたおかげで、獣人のムダンを救う事が出来た。


「そういう協定ですから」

「私達は、とっくに目的を果たせてるしねー」


 気の良い奴等だ。


「本当にありがとう――さぁて」


 謎のエキゾチック人形メイドとマズダー、オゥロが交戦していた、隠れNPCシャドウ・グリードとやらを見据える。


「コイツらを片付けて、クエストを終われるようにしないとな」


 どことなく奴に似ている気がするが、あの異形の強さとは比べるべくもなく弱い。


「どんどん数が増えてる。どうする?」


 後退してきたマズダーに尋ねられる。


「二人に訊きたい。コセという男なら、こんなときどうする?」

「「ブラックエリアで本体を叩くでしょう(と思う)」」


 信頼されてるな。


「よし! 私達もブラックエリアに向かい、コセ達を援護する! マズダー、オゥロ、後ろは任せた!」

「「おう!」」


「武器交換――“隆起のグランドアックス”」


 “ガリバーの眼”から、重厚感のあるブラウンの斧へと持ち替える。


「――“隆起の大地”!!」


 最大MPの半分を消費し、墓場に四メートルを超える崖を一瞬で作って――シャドウ・グリード達をまとめて空高く打ち上げた!


「予想通りだ」


 空高く打ち上げられたシャドウ・グリード達が、見えない天井にぶつかって消滅する。


 “橋の砦町”での王国兵狩りと同じで、ほぼ即死するほどのダメージを受けるギミック。


 少し触れるだけならともかく、勢いよく叩き付けられればあっという間にHPはゼロになる。


「“悪夢魔法”――ナイトメアミスト」


 クオリアの放った悪夢の霧が、前方に残っていたグリードを捕らえて動きを止めた。


「じゃあね」


 “レーザーライン・グリップ”付きの“レーザーアックス”で、次々と仕留めていくクレーレ。


 コセの仲間達は、本当に頼りになる。


 彼らは攻略に積極的なようだし、レギオンに入れて貰うのも悪くないか。


 若干、メルシュによってネタバレされがちなのがネックではあるけれど。


「マズダー、突入の安全を確保しろ!」

「了解、マスター!!」


 私の契約隠れNPCが突出し、アスラの固有スキルである“六腕”を発動。鋼鉄の四本腕が、肩を起点に浮き従う。


「“三重武術”――颶風拳!!」


 巻き起こした烈風で、黒の門から出て来たばかりのグリード達を押し込むマズダー。


「“三重武術”――爆裂拳!!」


 門を超えた先で、マズダーがシャドウグリードを更にぶっ飛ばして光に変えた。


挿絵(By みてみん)


「さすがに凄い数だ」


 ブラックエリアというだけあり一面が墓場よりも暗いが、それ以上に不気味なのは……目の前を覆い尽くすほどのシャドウ・グリードの数。


「密集しているぶん、纏めて倒しやすいってもんだよ!」


 確かに、クレーレの言うことにも一理ある。


 ここからでは見えないが、反対側辺りから戦闘の気配も感じる。おそらくコセ達だろう。


「――あれは!?」


 シャドウ・グリードの群れの中に見え隠れするあのシルエットは――


「デスアーマー……あんな物まで」


挿絵(By みてみん)


 しかも、ここから確認できるだけで四体。


 向こう側にも、おそらく同数は存在しているはず。


「あの不気味な鎧がどうかしたの?」


 クレーレに尋ねられる。


「あれは、九十ステージよりも上で出ると言われていた幻のモンスターだ」


 ハッカーが流出させたと言われていた開発データの中に、イラストと共に記載されていたのを昔見たことがある。


 私がこっちの世界に飛ばされた五年前は、まだ七十五ステージの街までしか実装されていなかったけれど。


「へー、じゃあ強いんだ」


「シャドウ・グリードの本体は、おそらくあの巨大キューブ」


 その周囲を守るのがデスアーマーの役目なのだろう。


 デスアーマーの一体が――こちらへと動きだした!?


「私が()()で薙ぎ払う! 後は任せたぞ! 武器交換――“愚かしきは縋り付くかつての栄光”」


 機械感が強いブラウンの両手斧へと持ち替え――最大の十二文字を刻む。


「まさか、この前のアレを?」


 目が見えぬクオリアでも、察しが付いたか。


 これを放てば、疲労が蓄積している今の私は……暫くまともに戦えなくなるだろう。



「食らえ――――“神代の戦略砲”!!」



 青白い大規模砲撃を紫の巨大キューブに向かって放つと、まるで守らんとするかのようにシャドウ・グリードが密集して盾となる!?


「ハア、ハア、ハア、ハア」


 大斧持ちのデスアーマー一体を巻き込んで数を減らしたとはいえ、まだ少なくとも三体以上……しかも、キューブの周りの黒い靄から次々とシャドウ・グリード達が生まれていく。


 私達だけでは、厳しい状況だな。



●●●



『“可動”!』


 ”変幻蟲の巨剣斧”を躍動させ、チョコレート女さん達の影を二方向に薙ぎ払わせるキクルさん!


『“重力魔法”――ヘビープレッシャー!!』


 重圧でチョコレート影さん達の動きを止めてくれた!


『やれ、レイナ!』

「はい! “六重詠唱”、“晄竜(こうりゅう)魔法”――サンライトドラゴキャノン!!」


 銀杖である“勇ましき愚者の行軍”に六文字刻み、力を流し込んで威力を底上げした巨大竜弾により――チョコレート影さん達の姿が一気に減る。


『おい、エレジー。あの騎士、一体は仕留めろ』


 キクルさんの、かつてないほど冷たく低い声。


 私達が別れて行動していた理由を知ってから、キクルさんはエレジーさんに冷たく当たってしまっている。


 きっと、キクルさんも頭では分かっている。


 でもまだ、冷静な判断に感情が追い付いていない。


「……分かりました――“獣化”」


 メルシュさんから受け取ったというスキルカードで得た能力で、白緑の鹿人獣となって飛び出していくエレジーさん!


「キクルさん! 悪いのは……」


 本当に悪いのは……私なのに。


「悪いのは私さ。だから、私があの獣人の援護に入ってやるよ」


 ホナミさんが、キューブへと向かう私達から離れていく。


『行くぞ!』


 構わず突っ込んでいくキクルさん。


「罪作りな女だ、お前は」


 グダラさんに指摘される。


「お前のために怒りを抑えられない男に、その感情を惨めにさせるような事を言うな。バカ」

「……それってどういう……」

「お前は男受けは良いが、男心は何も分かっていないな――キクル! 左の騎士は私がやる!」

『頼んだ!』


 グダラさんも離れていく。


「マスター、ザッカル殿達です」


 右側で、派手な攻撃が行われている。


 左側では……黒棘の化け物、ユウコ・エルフ・ビッチさんが暴れ回っていた。


 なんでだろう……あの人に対しては、存在そのものに黒い感情が湧き上がってしまう。


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