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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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534.黄昏の英雄VS黒の凶獣


「照らし抱け――――“雄偉なる黄昏は――英雄と共に”!!」



挿絵(By みてみん)


 俺とトゥスカの想いと力が、“名も無き英霊の劍”へと集まり、溶け混ざって――一振りの剣となる。


 儚くも優しき慈愛の刀身には、確固にして柔軟な強さが秘められている。


 トゥスカの俺への愛が、そのまま黄昏の剣の形を取ったかのように。


「これが……俺が求めている物の本質」


 なのかもしれない。


「――ぁぁあああああッッッ!!!」


 吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられるエルザ。


「トゥスカ、エルザ達を頼む」

「はい、お任せを」


 焦燥は彼方に消え、あたたかな想いに心身が充ちている。


「行くぞ――異形の凶獣!!」


 “超噴射”で空中の奴に急接近――十二文字刻んだ状態で斬り合う!!


「――ああぁぁぁぁぁぁあ!!」


 さっきよりも、奴の動きに対応できる。


『『“逢魔爪術”――オミナススラッシュぅぅぅhf4hjッ!!』』


 刀身から黄昏の太陽光を炸裂させ、奴の攻撃を弾き返す!!


 この剣が支配するのは……いや、この剣に随伴するは――黄昏の光。


「――黄昏に焼かれろ」


 虚空より、夕焼けの光線を無数に放ち――凶獣の身体を貫き削る。


「“神代の剣”」


 ――四度、背後、頭上に転移してくる獣。



「“黄昏大地剣術”――トワイライト――――グランドブレイク!!」



 身体を独楽のように捻りながら躱し、上段から叩き付けた全力の一撃によって――遥か崖下へと叩き落とす!!


 ――神代の力、トゥスカ、クオリア、クレーレの力が流れ込み――黄昏の剣に十八文字が刻まれる。


「“大地王剣”」


『『ギギュ……――――ギェッッ!!?』』


 寝ている奴の喉に投げ刺し、能力の使用を一時封じる。


「“波動王剣”、“竜王剣”」


 新たに呼び出した二振りの剣を胸と胴に深々と突き刺し、その場に釘付けに。


「二度と見誤らないよう――完全に消滅させてやる!!」


 四人分の力を集約した剣から――――黄昏色の極大滅光を放つ!!!



『『グギャァァァァーーーー――――』



 かつて人だった成れの果てが、消滅していく。


『……オ母さ…………」


 微かに、女の人の無念を……感じた気がした。



●●●



「……コセさんは無事ですか?」


 戻って来るなり気を失った彼は今、トゥスカさんの腕の中で眠っている。


「ええ……ですが」

「こうなると、暫くは起きないだろうな」


 エルザさんが、訳知り顔で断言。


「一先ず、安全エリアまで進みましょう。次のエリアは、ポータルの手前になるはずです」


 ナターシャさんの言葉は、心身共に疲れ切った私達にとって……一つの光明だった。


「今日はもう無理だろうけれど、明日はすぐにボス戦に挑めるね」


 クレーレさんも、私と同意見のようです。


「治療は終わりました。再びモンスターに襲われる前に行きましょう」


 一番余裕があるであろう私が、率先して前に出る。


 トゥスカさんと、コセさんですか……。


 あの二人の関係は……少し羨ましいかな。



○“黒神鉄の爪手袋”を手に入れました。

○“黒神鉄の獣装脚甲”を手に入れました。

○“凶魔刃の蛇尾(だび)”を手に入れました。

           :

           :

○“邪影人獣”のサブ職業を手に入れました。




●●●



「……ここは」


 見覚えのある天井。


 いったい何度目だろう……どこかで気を失って、このベッドで起きるのは。


「お目覚めですか、ユウダイ様」

「……ナターシャ」


 ベッドの傍らに、上品に椅子に座るナターシャが。


 俺が上体を起こすと、すかさず水が半分入ったコップを差しだしてくれる。


 一口分含み飲み、すぐに話をしようとするとナターシャがコップを回収。


 気を利かせ過ぎだなと思ったら、当たり前のようにコップの中身をナターシャが飲み干した……へ?


「体調はどうですか?」

「あ、ああ……少し怠いくらいだ」


 自分の限界以上に文字の力を引き出した時に起こる、いつもの症状。


「皆は無事か?」

「はい。最大の障害はユウダイ様により排除されましたので、全員でポータル前の安全エリアまで進むことが出来ました」


 なら、あの時聞こえた気がした女の声は……気のせいじゃなかったのかもしれないな。


「ナターシャの肩は大丈夫か?」


 確か、食い千切られていたはず。


「イチカさんが適切な処置をしてくださいましたので」


 いち早く動いてくれてたな。


「良かった。イチカさんには、後で礼を言わないと……ナターシャさん?」


 なぜわざわざ肩を出す。


「ちゃんと治っているかどうか、ユウダイ様に確かめて頂こうかと」


 ナターシャは顔と手くらいしか普段露出していないため、肩を出しただけでもギャップで色気を感じてしまう!


「あー……傷なんかは残っていないな」


 自分のお気に入りの外見を追求しただけあって、ナターシャはなにからなにまで美しい……と思ってしまう。


「えと……俺は、どれくらい眠ってた?」

「およそ十時間となります」

「ん? 今何時?」

「深夜の三時です」

 

 もう、そんな時間なのか。


「お風呂であれば、すぐにでも入れますよ? 食事の方も、サトミ様から預かっております……私が作った物も」

「ありがとう、ナターシャ……怠いけれど、先に風呂に入るか」


 一日歩き回っていたわけだし。


「では」


 ……ナターシャが胸元を顕わにし、ロングスカートを胸の下までたくし上げて……清楚な下着を見せ付けてきた!?


挿絵(By みてみん)


 あの太股……いや、脚のラインは芸術的過ぎる。


「な、なにをしているんだ?」

「身体が怠いと仰っていたので、元気になって頂こうかと……♡」


 確かに怠さは吹き飛んだよ。回復魔法より効果覿面だったよ!


「お前……」


 みんな寝てるって言うのに、一気にそういう気分になってしまったじゃないか!


「……ここまでしても、私を誘っては頂けないのですか?」


 ナターシャの顔は、とても切なげで……こんな顔も出来たのか。


「……シたいの?」

「いつ誘って頂けるのかと、心待ちにしておりました」


 精神の根幹に関わるような設定をしなかった場合、使用人NPCの人格は主人に迎合していくという。


 つまり、ナターシャがこんなスケベメイドになってしまったのは……。


「ナターシャ、俺をもっと元気にしてくれ」

「はい、喜んで♡」


 毛布を退けて、優しくナターシャの左手首を掴んで……ベッドに引き込んだ。


おまけ “雄偉なる黄昏は英雄と共に”

挿絵(By みてみん)

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