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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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525.海の悪魔

「無事か、トゥスカ!」


 甲板に上がった直後に見たのは、トゥスカが真っ二つになりかねない状況。


 あの光景は、本当に肝を冷やした。


「はい、お陰様で」


 疲労を浮かべながら嬉しそうに俺に見せてきたのは、俺やトゥスカの神代武器に似た意匠へと変化した“多目的ガンブーメラン”。


「“荒野の黄昏は英雄の慰め”、という名です。今は、転剣部分は“偉大なる黄昏に英雄は勃つ”になっていますけど」


「うん?」


 俺の鎧みたいに、“偉大なる英雄の光擴転剣”と“多目的ガンブーメラン”が融合したわけじゃないのか。


「へ、なに!?」

「どうやら、船が沈み始めているようです。すぐに脱出しましょう!」


 突然の船の揺れに慌てるクレーレに対し、ナタ-シャが説明。


「掴まれ、二人とも!」

「あ、ズルいです!」


 ナターシャがなにか言った気がしたけれど、まずは脱出を優先しないと!


 急いでクルーザーに戻るとゴーストシップがあっという間に沈んでいき、それによって発生した渦潮もすぐに消える。


「空が……霧も消えていく」


 昏い海域が、あっという間に青空へと変わっていき……俺達は島のすぐ脇に停泊していた。


「あれ? いつの間にこんな島の傍に?」


 驚いているクレーレ。


「日誌に書かれていた島は、ここの事か」


 本来とっくに到着していてもおかしくないのに、最後まで海賊達が辿りつくことがなかった島。


「ナターシャ、船を寄せてくれ」

「畏まりました」


 簡易的な停泊場のような場所にクルーザーを寄せると、どこからともなく現れた白髪の老人が船に近付いてくる。


「……わしは、この島にあった海賊のアジトを壊滅させた元貴族である」


 そのお爺さんの出で立ちは、間違っても貴族には見えない。


「その剣……」

「へ?」


 俺の手にはいつの間にか、骸骨から抜いたあの剣が握られていた……チョイスプレートにしまったはずなのに。


「わしが、妹に護身用として持たせていた物だ……どうかその剣を、わしに譲って欲しい」



○Sランクの短剣、“ノブレスオブリージュの誓い”を渡しますか?



 この剣、Sランクだったのかよ!


「メルシュ。俺、聞いてないんだけど……」


 どういう性能があるのか知らないけれど、ここは渡しておくか。


 渡すを選択し、差し出す。


「――チ! 賭けはこのわしの負けか』


 突然、お爺さんの声と雰囲気が変わった!?


『復讐のために永遠に魂を呪縛された女達を救うため、一人の男がわしに賭けを持ち掛けた。剣を見付けた者がここを訪れ、素直に返せば捕らえた魂を解き放ってほしいとな。まったく、つまらん』


 老人の姿が消えると、ヨーロッパ貴族を思わせる女性達と先程の老人が半透明な姿で現れる。


 彼女達はみな笑顔で、島の奥に向かって指を差していた。


「向こうに行けって事か?」


 視線を送り、すぐに皆でクルーザーを降りる。


 すると彼女達は消え、黄金の粉光が指し示された方へと伸びていく。


「行ってみようよ、ギオジィ!」

「ああ」


 念のため警戒しながら進むと、その粉光は洞窟の入り口横、波が打ち付けられて湾曲したのだと思われる岩場を指し示していた。


「壁が……」


 一定以上近付いたからなのか、岩が崩れ落ちて洞穴が顕わに。


「進んでみよう」


 暗い洞穴はすぐに行き止まりで、その奥には青白い光が漂っており、そこに黄金の粉が吸い込まれていく。



○選択次第で受け取れる報酬が変わります。


○目の前の光はどんな形に見えますか?


★武器 ★人型 ★宝飾品 ★カード



「パズルゲームや機織の町の時と似たような物か」


「なにが起きているのです?」


「チョイスプレートの選択次第で、貰える物が変わるらしい」


 把握できていないクオリアに、エルザが説明してくれる。


「というか、エルザとクオリアには選択肢が出ていないのか。ナターシャには出ているのに」

「NPC以外ではなく、船に乗り込んだ人間だけを対象にしているのではないかと」


 確かに、辻褄は合う。


「なるほどな」


 選択肢の中に人型がある理由はよく分からないけれど、俺は武器を選択。



○それがどんな武器か、自由に書き込んでください。




「自由に?」


 随分アバウトだな。


「……」


 狭い船内を動き回るのに、ちょうど欲しいと思った物があった。



:大きさを自在に変えられる堅牢な盾



○精査中……


○――“古代の叡智の盾”が引っ掛かりました。


○書き込みを変更しますか?



「ナターシャ、“古代の叡智の盾”ってどういう物か分かる?」


「すみません。まだライブラリに記載されておらず、目の前に現物が無い以上、開示できる情報はありません」


「やっぱりか」


 たとえメルシュでも、同じ事を言っただろうな。


「よし、これにしよう」


 いいえを選択し、書き込みの変更はしなかった。


 すぐに全員が選び終わり、俺達は島の洞窟へと戻る。


 中に入ると安全エリアがあり、奥にはボス部屋の扉が。


「休憩しようか」


 既に昼を大きく過ぎているにも関わらず、俺達は朝からなにも口にしていない。


「14時過ぎ。だいぶ早く辿り着けましたね」


 バケットで作ったサンドイッチを差し出してくれるトゥスカ。


 小腹が空いたことを察していたらしい。さすが。


「ゴーストシップを早く片付けられたおかげだな」


 クルーザーの速度が帆船よりも遥かに速いというのもあるだろう。


 暗くなる前に、次のステージへ進む準備を終わらせられれば良いんだけれど。



○“黄昏女王の外套”を手に入れました。


○“氷砕砲のスキルカード”を手に入れました。


○“ロイヤルロードリボルバー”を手に入れました。


○“因果逆転のスキルカード”を手に入れました。




            ★



「三十八ステージのボスは、魔神・浮遊烏賊(イカ)。弱点は火属性、有効武器は剣、打撃攻撃ではダメージが半減します。危険攻撃は、回転しながら爆発加速して突っ込んで来るスパイラルロケットとなります」


 青黒い身体に緑の紋様の妖精の隣で、解説してくれるナターシャ。


「部屋内は重力が軽いため、フワフワと浮きやすいという設定があります」


 ナターシャまで設定って言いだした!


 知能のあるNPCは、遠慮なくゲーム設定を設定って言うな。


「それが、今回のステージギミックか」


「もう一つ。一定以上のダメージを与えると、“スペーススクウィッド”が出現して集団で襲ってきます」


「いつもそうだけれど、チャチャっとダメージを叩き込まないと、それだけ面倒になるんだねー」


 前々から思ってはいたけれど、クレーレは戦闘センスが良い気がする。


「実を言うと、秘策がある。俺が合図を出したら全員で攻撃。一気に仕留めるぞ」


 まあ、秘策って言うほどでもないんだけれど。


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