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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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523.メインマストの隠し部屋

「……暇だな」


 エルザ様が、腕を組みながら辺りを警戒しておられる。


「この場所に留まらなかった場合は、どうなっていたのです?」


 興味本位で尋ねてしまう。


「一隻に対し、三隻の海賊船に追われることになる。船ごと沈めれば大量の経験値が、乗り込んで全滅させればアイテムや資金が大量に。海賊に関係する武具ならどちらのパターンでも手に入るらしいが、後者の方が得らしい。一隻拿捕すればSランク武具が確定で手に入るそうだからな」

「その分、時間が掛かってしまうと」


 急いでいる私達からすると、後者は選び難い。


「ですが、ならばここに留まらず、さっさと船を沈めてしまった方が早かったのでは?」

「それは――」


 クルーザーに接近する気配を感知。


『『『キキ!!』』』

「“悪夢魔法”――ナイトメアミスト」


 濃霧を作り出し、上空から飛来する小猿と思われる生物達を一網打尽――潰し殺す。


「容赦ないな、お前」

「必要ですか?」

「いや、無いな――デカいのが来たか」


 離れた位置の海面が盛り上がり――無数の蛇……根元は繋がっている?


「イカのモンスター、クラーケンだ。近付かれるとあっという間に船を沈められる」

「ならば私が!」


 本日ようやく、役に立てるチャンスです!


「アレは私が引き受けた。お前は船の守りを頼む! ――“咒血竜化”」


「そんな!!」


 私の最大の見せ場が!


『船が沈められたら、パーティーメンバー全員が強制ゲームオーバーだ。任せたぞ!』


 巨竜となって滑空し、クラーケンにさっそく仕掛けるエルザ様。


「任せたって……嬉しい」


 プレッシャーでもありますが、目が視えない私が頼って貰えるなんて!


「――キャ!?」


 突然の横からの衝撃により、転んでしまう!


「なにかが船に体当たりを! 鎌鼬!!」


 指輪で呼び出した凶悪な鼬に、おそらく巨大魚と思われる海中のモンスターを任せる!


 鎌鼬は自力で宙に浮けるため、この状況には打って付け。


 “鳥獣戯画”が手元にあれば、擬人化による強化を施すところですが。


 ――なにかが、海中から船に乗り込んできた!


「船の側面から!」


 翼を広げて後部から移動すると、槍――三つ叉の銛で突いてきた!!


「船に攻撃するわけには……」


 おそらく人型と思われるモンスターに“反響のステッキ”を振るいながら対抗、左逆手で腰の“切り裂きジャックナイフ”を抜く。


 船の壁を駆けながらモンスターを蹴り飛ばし、広い前方デッキへと追いやった――ここなら!!


「――――ハァッ!!」


 左腕の装身具、“鬱屈なる感情の発露”に六文字刻み、刀身へと力を流し込んで――人型モンスターを金属の鎧ごと、漏れ出る光刃で両断した!!


「ハアハア。動き回るような立ち回りは、私には向いてな――」


 さっきの人型モンスターと同じ気配が三つ、後部と左右両舷から!!


「――“串刺し皇”!!」


 無数の杭が、瞬く間に気配を消してしまう。


「思っていたよりも、モンスターの猛攻が激しいな」

「エルザ様!」


 もうクラーケンを倒して、戻ってきていたのですね!


「さて、暫くは退屈せずに済みそうだ」

「……ですね」


 この気配……まだまだ休めなさそうです。



●●●




○“黒色火薬”×28を手に入れました。

○“大砲”×10を手に入れました。

○“砲弾”×40を手に入れました。

○“炸裂砲弾”×25を手に入れました。



「大砲なんて、どこで使うんだ? 良い的にしかならないだろう」


 船の砲撃を行う場所にて、アイテムを手当たり次第回収したわけだけれど……今回も大した物は無いな。


「”大砲”や“砲弾”は、レギオン戦専用アイテムとなります」


 隣の部屋から戻ってきたナターシャが教えてくれる。


「レギオン戦専用なのに、こういう形で手に入れる事もあるのか」

「はい。と言っても、この“大砲”は城などにしか配備出来ないタイプですね。大金を払えば、櫓などと同様に購入可能です」


 九ステージでの模擬レギオン戦で、櫓と通信機だけはジュリー達がお金で揃えていた。


「レギオン戦か……」


 レギオン戦もどきみたいなのは経験したけれど、人間同士の……本当のレギオン戦はまだ未経験。


 と言っても、こっちからレギオン戦を嗾ける事はまず無いだろうし、たとえ向こうから仕掛けてきても、了承するくらいならそのまま殲滅した方が後腐れ無くて良い。


 今後、本当のレギオン戦をする機会があるのかどうか。


「ナターシャ、そっちの収獲は?」

「“黄金のインゴット”や豪奢シリーズなど、金策になる物ばかりでした。一応、アクセサリー類の高ランクアイテムは色々ありましたが」


 船内はろくな収獲が無いな。クレーレ達がなにか手に入れていれば良いけれど。


「残りは船長室か」

「はい、宝物庫の中に“船長室の鍵”がありました」

「よし、すぐに向かおう」


 ここまでで大した敵は出て来て居ないけれど、気をぬくつもりは無い。


 いつだって、万が一はあり得るのだから。



●●●



「おいしょ、おいしょ」


 トゥスカ姉よりも先に、マストを登っていく。


 叔母さん呼びは嫌みたいで、姉呼びするように言われちゃったんだよね。


 騎士さん達は、マスト下で待機中。


「クレーレ、敵襲よ!」

「アイアイサ!」


 腰に差して置いた銀の片手斧、Aランクの“レーザーアックス”を抜いて光刃を生やす。


 更に持ち手の下側に追加装備している”レーザーライン・グリップ”部分を持って捻り――突っ込んでくる“ワイルドイーグル”に向かって思いっ切り振る!


 すると斧の柄頭にくっ付く形で“レーザーライン・グリップ”から光の紐が伸び、数メートル離れた“ワイルドイーグル”を真っ二つにして仕留めた。


「百発百中~♪」


 伸びたレーザーラインはゴムみたいに収縮するから、勝手に私の手元に戻ってくる。


「妙に機械っぽいと思ってたら、そういう武器だったの」

「格好いいでしょー。ちなみに、伸びた光の紐には切断力があるから、気を付けてねー」


 天空遺跡って所で手に入れた、私のお気に入り。


 順当にマストを登りきり、一番上まで辿り着く。


「開けるわよ」

「うん」


 トゥスカ姉が床の扉を開けた瞬間、“氷砕魔法”のアイスクラッシュバレットを放ってから飛び降りる。


「……なぁんだ、何も居ないんだ」


 拍子抜けだな~。


 すぐにトゥスカ姉も降りてくる。


「……やっぱり、“捨てられた鏡”はないか」

「隠れNPC、メデューサと契約するためのアイテムだっけ?」

「ええ。割れた大きな鏡があると言っていたので、間違いないでしょう。念のため、なにか無いか探すわよ」


 引き出しとかを開けて、まあまあ快適そうな円状の部屋を端から端まで見ていく。



○“攫われてきた娘のドレス”を手に入れました。

○“攫われてきた娘の下着”を手に入れました。



「なんで海賊船にドレスや女物の下着があるのかと思ったら」


 まったく、胸糞悪くなるなー。


「名前からしてそんなに強くなさそうだし、なんの意味があるんだろう、この布アイテム?」

「クレーレ、そっちはもう調べ終わったの?」

「うん。トゥスカ姉は? 良いのあった?」

「指輪や髪飾りが幾つか。あと、こんなのもあったけれど」


「……なにコレ?」


 トゥスカ姉が背後に実体化したのは、金色の棒が何本も輪っかから放射状に伸びている……良く分からない物。


「“降臨の後光輪”ていう装備アイテムよ。何故かSランクみたい」

「へー、これがSランクなんだ……ねー、それ頂戴!」

「メルシュに見せて、他に適性がある人が居なかったらね」

「ええー!! トゥスカ姉のケチ!」

「このレギオンはそういうスタイルなの。ほら、早く下りるわよ」


挿絵(By みてみん)


「ブー、ブー!」


 滅多に言わない我が儘なのにー!


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