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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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522.ゴーストシップ探索

「もしクエスト開始時に下層に居たなら……あの子は、死なずに済んだかもしれないのですか」


 “湖の城”にて、ラフォルさん達の話を聞いたホナミさんが、自嘲気味な反応を返す。


「どうして上層に?」


 グダラさんが尋ねる。


「あの子は散歩が好きで……上層は人が少ないから、比較的安全だと思っていたの。攻略に積極的な人達は、大抵は中層でトラブルを起こすから」


 この大樹村で暮らしてきた人達ならではの情報。


「私のように、子供だけを失った人は居ないのね」


 どちらも生きているか、私が目撃したようにどちらも死んでいるか。


「リストの中にお子さんがいらした以上、必ず生き返らせる事が出来ます」

「ええ、そうね……ごめんなさい、私の都合に巻き込んでしまって」

「いえ、良いんです。他に生き返らせる予定の人達も居ますし」


 《獣人解放軍》のメンバーを生き返らせるのは、私達の役目となった。


「ただ、私のパーティーはお子さんを最優先で探しますので」


 今のところ、十六人を四つのパーティーに分けて攻略する予定。


「本当にありがとう、レイナさん……でも、無茶はしないでね」

「はい、みんなで生き残りましょう」


 自分の優しさから紡いだ言葉が……どこか残酷にも思えた。



●●●



「思っていた以上に不気味な所だな」


 ゴーストシップの前方デッキへと辿り着いた俺達が見たのは、穴だらけでボロボロの船の姿。


 けれど、小さな一軒家くらいなら余裕で置けそうなほど幅広い。


 ナターシャも、すぐに“ジェットウィングユニット”でやって来る。


「装備セット2」


 すぐに銀の背部ユニットを消し、槍ではなく“ロイヤルロードキャリバー”に持ち替えるナターシャ。


 俺も、大剣から“偉大なる英雄の光剣”へと持ち替えておく。


「さっそく頼む、ナターシャ」

「畏まりました――“鋼の騎士団”」


 ナターシャと同装備の金属マネキン、四体が出現。


「トゥスカとクレーレは、二体を引き連れて甲板上の探索。俺とナターシャで船内を探索する」


 “鋼の騎士団”のおかげで、実質八人で探索可能に。


 人海戦術により、この巨大帆船を短時間で探索し、終わらせる予定だ。


「先に失礼します、ユウダイ様」


 船内に向かう階段を、騎士団員を最前後に配置し、ナターシャ、俺の順に下りていく。


 中は暗くて、人がすれ違える程度はある通路が伸びている。


 先頭の騎士団員が扉を開け、俺かナターシャが中を探索していく。



○“海賊のマスケット銃”を手に入れました。

○“海賊のカットラス”を手に入れました。

○“とある王国の貨幣コイン”を手に入れました。



 今のところ、大した物は見付かっていない。


「船員の寝室、といったところか」


 一つの部屋の両脇に、ベッドが二つずつ縦に並んだ部屋が幾つも。


「武具はBランクばかりですね。貨幣コインは、高値で売れるはずです」


「まあ、そう簡単に高ランクアイテムは手に入らないか」


 別の部屋では“海賊のスカーフ”、“海賊のサーベル”、“船員”のサブ職業、“ギルマンのスキルカード”なども手に入るが、いずれも微妙。


「ユウダイ様」

「思っていたよりも遅かったな」


 通路の前方より、海賊風の骸骨――“パイレーツアンデッド”が押し寄せてくる。


 更に後方、探索を済ませたはずの部屋からも次々と。


「死体は無かったのに、どこから出てきたんだか」


「“鎮魂歌”――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」


 ナターシャの歌声によって広がった光により、パイレーツアンデッドが一掃される。


「アンデッド相手だと、やっぱり“鎮魂歌”の効力は凄まじいな」


 “キングファントム”ですら、ほんの数秒光を浴びただけで倒せていたし。


 逆に言えば、円柱状の光に触れさえしなければ、どれだけ歌声を響かせても意味が無いということ。


「……もう少し、()()褒めてくださっても……」

「どうした、ナターシャ?」


 少し睨まれていたような……ナターシャに限って、そんなはずないか。



●●●



「ここは……食堂?」


 デッキ後部を探索したのち、メインマストの手前にある部屋へと足を踏み入れる私達。


「これだけの広さなら、三十人くらい余裕で食事できそう」


「トゥスカ姉、食材やお酒なんかがいっぱいだよ!」


 警戒していないのか、さっさと厨房に入って漁っているクレーレ。


「まったく……気を付けなさいよ、クレーレ」


 やっぱり、姪というより手の掛かる妹という感じがする。


 厨房とは逆側の壁には棚があり、本が並んでいた。


 揺れで落ちないようにするためか棚板の下側にガードが付いていて、一度、上部分を斜めにしてからでないと取り出せない。


「“魚影図鑑”に、“セイレーンの恋唄”……こっちは小説?」


 本は数十冊はあったけれど、アイテム扱いなのはこの二冊だけみたい。


「デッキ後部には“鍵縄”とか使いどころがよく分からない物ばかりだったけれど、この本は悪くないかも」


「手当たり次第に回収してきたよ、トゥスカ姉!」

「食糧以外になにかあった?」

「“三枚下ろし包丁”ってのがあったよ。あとは、料理のレシピが幾つも。中は見て無いけれど」


 武具なんかは、やっぱり船の下か。


「じゃあ、最後にメインマストの上を確認しましょうか」


 マストの上部に、部屋らしき物が一つくっ付いていた。ジュリーが言っていた場所は、間違いなく――


「……今頃出て来たか」

「うわ、デッカいネズミ」


 丸々と太ったような人の頭くらいあるネズミが、壁や天井の穴から次々と!


『チチィ!!』


 殺気だって襲い掛かってくるも、二体の鋼の騎士達が剣で仕留めていく。


「数は多いけれど、大したことないみたいだね!」


 斧の二刀流で、次々と飛び掛かってくるネズミを切り殺していくクレーレ。


「“黄昏の影繰り”」


 私は兄さんから譲られた斧、“荒野の黄昏に背を向けて”の力で伸ばした影で突き刺し、確実に仕留めていく。


 程なくてして、数百匹は居たであろうネズミの駆除が終わった。


「スタンピードラットに比べれば、全然だったわね」


「……」


「なに、クレーレ? そんな不思議そうな物を見るような目で」


「トゥスカ姉ってさ……ギオジィが居ないと、雰囲気が結構変わるなって」


「……へ?」


「もしかして、自覚無かったの?」


「言われてみると……」


挿絵(By みてみん)


 ご主人様の前だと、従順な雌になってしまいがちな気も……。


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