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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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521.海原での選択肢

「生き返らせたい人間の名前、容姿、死んだ日時までわざわざ教えろと?」


 “神秘の館”前にて、ヴァルカと話していた。


「先程説明した大規模突発クエストのルール上、あらかじめ誰を生き返らせるか決めておかないといけないみたいなの」


 ザッカルにも立ち会って貰い、例の死人のリストを見てもらう。


 クエストに登録した人間にしか、このリストは表示できない。


「子供……赤子まで載っているのか。だが、なぜ死んだ日時まで話す必要があるんだ? メルシュ」


「クエストでは墓を掘り返すとなっているけれど、その墓に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。さすがに、名前くらいは書かれているだろうけれど」

「掘り返したら同名の別人だった、という事も有り得るというわけか」


 だからこそ、少しでも個人を特定するための情報が欲しい。たとえ、大半が無駄になったとしても。


「解った。詳しい者達から訊き、明日までに情報を纏めておこう」

「それと、そちらの申し出にあった四人は三十ステージで参加する方に任せようと思うんだけれど、構わないよね」

「ああ、()()()()感謝する」


 そこで気遣いって言葉が出る辺り、さすが十二文字へと到達した人間って感じね。


 生き返らせた人間はパーティーリーダーの奴隷となる以上、四十ステージでヴァルカの仲間を生き返らせた場合、ヴァルカ達が四十ステージまで行かなければソイツらと会えない。


 けれど、三十ステージで生き返らせれば三十六ステージにソイツらを連れてくる事は可能。


「三十六ステージまで行きたいって奴等のケツは持ってやるつもりだが、戦う意志の無い奴の面倒まで見る気はねぇ。構わないよな、ヴァルカ?」


 ザッカルが確認する。


「当然だな。元より、こちらが一方的に頼んでいる状況だ。あまり迷惑を掛けたくはない」


「そう言ってくれると助かるぜ。さすが、トゥスカの兄貴だ」

「ハハハハハハ!! 俺の自慢の妹だからな!」


 気が合いそうだな、この二人。


「さてと……」


 このリストに載っている死者の数は――23674人。


 これだけの死者の中から果たして、お目当ての人間の墓を制限時間内に探し出せるのかどうか。



●●●



「“狂血投槍術”――ブラッディージャベリン!!」


 黒い投げ槍、“ブラッドアブゾーバー”を投げて巨鳥を仕留めてくれるエルザ。


「“雷鉄斧”――ハイパワートマホーク!!」


 右舷から飛び出してきた鋭い吻を持つカジキのモンスターを、投げた雷の斧で二枚におろしてしまうクレーレ。


 俺も“飛王剣”で、船体に絡み付いてきた大タコのモンスターを両断して倒す。


「襲撃は……これで終わり?」

「ああ、こんな物だろう」


 クレーレの問いに答えるエルザ。


「……揺れてきたな」


 クルーザーで出発してからおよそ二時間後、散発的なモンスターの襲来をやり過ごしながら更に二時間。


 ……今度は天候が荒れ出し、波が高くなっていく。


「モンスターの襲来は、間違いなく打ち止めだな」


 メルシュの情報通りなら。


「北西から、雨雲が急速に近付いてきてるぞ!」


 クルーザーの一番上に居たエルザの声が飛ぶと、パーティーリーダーである俺の目の前にチョイスプレートが表示された!



○このまま荒海を駆け抜ける:海賊団の縄張りへ

 暫くこの海域に留まる:彷徨う者達の海域へ



 最速で進む必要がある俺達の選択は――


「ナターシャ! 選択肢が出た!」

「すでに減速を始めております!」


 俺達は、最速で攻略するために“暫くこの海域に留まる”を選んだ。


 ”耐弾性クルーザー”のエンジン停止後、錨が落ちていく音が耳に届く。


 青空はあっという間に雲に覆われ、大粒の雨が――痛いくらいに激しく降り落ちてきた!!


「購入した帆船なら、今頃船内に水が流れ込んでいる頃か」

「バケツリレーやらないと、沈んじゃうんだっけ?」


 エルザとクレーレの何気ない風の会話。


 程なくして雷が落ち始め、波も一段と強く。


「揺れ、どんどん強くなっていきますね」


 トゥスカが、ナターシャの居る操舵室から出て来た。


「三十分間はひたすら悪くなる一方らしい。クレーレ、海に投げ出されないようにな」

「ギオジィ、なんで私だけに言うのー。怒っちゃうよ!」

「ここに居たら、クオリアにも言ってるさ」


 クオリアは、今もベッドルームに居る。


「ご主人様……操舵室に微かに聞こえてましたよ」

「……へ?」


 トゥスカに耳打ちされた。


「……すみません」


 思いのほか使用人NPCのデザインが早く決まったため……まあ、お互いそういう気分になってしまったと言いますか。


「上の操舵室に居たクレーレには聞こえて居ないでしょうが、まだ未成年です。自重してください」

「はい……本当にすみません」


 一歳しか違わないんだけれどな……まあ、向こうの世界では俺もまだ未成年だけれど。


「ご主人様は、性的な意味でちょっとクオリアを特別扱いしてますよね」


「……いや、そんな事は」


 なくもない……かな?



「私の番のときに出す物出せなかったら――赦しませんからね」



「……はい……以後、気を付けます」


 精力がつくもの、積極的に食べるようにしよう。



            ★



 雷の轟と稲光が聞こえなくなり、やがて雨も止む。


「波も収まってきたね」


 クレーレが投げ斧を手にし、戦闘準備を済ませる。


「そろそろ時間です、皆様」

「トゥスカ、クオリアを呼んできてくれ」

「すぐに」


 トゥスカが船内に入ると、波どころか風まで止み、薄暗かった空が――夜になったように急速に暗くなっていく。


「霧が出て来た。そろそろ現れそうだ」


 エルザの言葉が合図だったかのように一気にクルーザーの周りを濃霧が囲い、程なくして右舷の霧が急速に膨張。


「すみません、遅れました」


 クオリアがトゥスカと共に上がってくる。


「いや、ちょうどだ」


 膨張した霧を突き破るようにして現れたのは――ボロボロの超大型帆船。


「これが……幽霊海賊船(ゴーストシップ)



○ゴーストシップが現れました。


○彷徨う者達の海域を抜けるには、ゴーストシップに乗り込んで、海賊・キャプテンゴーストを解放する必要があります。


○乗り込み組を二人以上、居残り組を二人以上設定してください。


乗り込み組:


 居残り組:



「予定通り、乗り込み組に俺、トゥスカ、クレーレ、ナターシャ。居残り組にクオリア、エルザで分ける」


 素早く目的を達成するため、乗り込み組に人員を偏らせた。


「“偉大なる英雄の黄金翼”」


 金色の飾りを背に二つ生み出し、そこから黄金の光の翼を生成。


「行くぞトゥスカ、クレーレ」

「はい!」

「楽しみだなー、幽霊船♪」


 二人の手を取り、ゴーストシップの甲板を目指す!


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