表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

551/956

520.海上連結船

「あ!?」


 転びそうになるクオリアの腰を掴み、支える。


「ありがとうございます、コセ様」

「この揺れだからな」


 昨夜辿り着いた三十八ステージの町、海上連結船は、その名の通り木造の帆船、十三隻を梯子などで繋いで構成されていた。


 海上に生えた祭壇の麓から伸びる梯子は十字に連結された船の先端の一つに繋がっており、真ん中に超巨大帆船、左右上下に一回り小さな帆船と、端に行けば行くほど小さな船になっていく。


 一番端の四隻だけは中央船に匹敵する程大きく、それぞれ独特な形をしているようだ。


「“航海士”のサブ職業は、本来ここで買う物なのか」


 船上、西端の商人がたったの1000Gで売っていた。


「このステージを進むためには、定期船に一人100000(十万)Gを払って乗るか、帆船を借りてサブ職業の“航海士”、“船員”、“操舵手”を装備して自分達で目的地へと向かうかを選べます。その場合、海図も15000Gで購入する必要がありますが」


 ナターシャが説明してくれる。


「俺達には“耐弾性クルーザー”があるから、帆船も“船員”のサブ職業も要らないと」

「帆船だと五人は乗り手が必要ですし、速度もクルーザーには劣りますので、時間に余裕が出来るかと」


 帆船なら一人で操縦なんて出来ないから、“船員”のサブ職業が複数必要になるんだろうけれど。


「クルーザーは一つのパーティーでしか使えないし、俺達だけで先行した事で、結果的に安上がりになるな」


 あとでリューナやメルシュにクルーザーを渡せば、その分の金が浮く。


 エルザ、トゥスカ、クレーレ、クオリアは、中央で食糧や薬品を買ってくれていた。


「南端は祭壇と宿泊地、中央が食料や薬品、西端が武器やサブ職業などの装備、東が鍛冶屋や船売り場、北端が定期船の船着き場か」


 頭に叩き込んだのは良い物の、もうすぐ役に立たなくなる知識。


「“三十八ステージの海図”も購入したし、このまま中央で四人と合流。東端へ行こう」


 クルーザーを出すのは北端でも良いけれど、東と西の船は横に並ぶ形で連結されているため、東端の方が近い。


「はい、ユウダイ様……」


 なにか言いたそうなナターシャ。


「どうした?」

「い、いえ……ちょっと、ムラムラしてまして(ボソ)」

「ん?」


 後半は、波や風の音でよく聞こえなかった。



            ★



 東端からクルーザーへと乗り込んだ俺達は、後方の連結船以外は見渡す限りの海原を、ひたすら真っ直ぐ進んでいた。


 操縦を担当しているのはナターシャ。


 NPCであるナターシャなら、万が一にもミスしたりはしないだろう。


 疲れないのもあり、目的地に着くまではナターシャに操船を一任しようと考えている。


「クオリア、平気か?」

「だ、大丈夫です……」


 出発早々、酔ってしまった様子のクオリア。


 船内の寝室で休んでいる彼女の様子を見に来たけれど……少しはマシになったようだ。


「そのうちモンスターが出てくるし、天候も荒れてくる。今のうちに休んだ方が良いさ」


 俺も、小さい頃に初めて船に乗ったときは酔ったし。


「……すみません、お役に立てず」


「いつもクオリアの大火力には助けられてる。気配察知とかな」


「夜の相手もでしょうか? 次は、もう少し攻めにも挑戦したいと思っているのですが♡」


 跨がっての腰使いに関しては、お前は人一倍激しいよ。


「それよりもだな……クオリア、侍女が欲しくないか?」

「……もしや、ナターシャさんのような?」

「ああ、使用人NPCだ。アヤナから“戦闘メイドのAIチップ”を貰ってきた」


 昨日、関係を持った後にアヤナから渡された物。


 大規模突発クエストの時にパーティーを分けたかった俺としては、とてもありがたい申し出だった。


 気を利かせたというより、自分に出来るせめてもの手を考えて……という感じだったな。


「それは、とても嬉しいですが……本当に、私でよろしいのですか?」

「ああ」


 目が見えないクオリアに、いつでも寄り添える存在がいたほうが俺としても安心出来る。


「使用人の設定は俺がやるから、クオリアはどんどん注文を出してくれ」

「は、はい、分かりました!」


 なんで急に緊張しだしたんだろう?


 クオリアにチョイスプレートを出して貰い、俺が操作していく。


「まずは……最初に種族を選ぶか」


 性別を女性に選択すると、只人の裸体が映し出される。


「プレベール……という種族は選べますか?

「プレベール? 初めて聞く種族名だな」


 以前、クオリアが羅列した種族名の中にはなかったはず。


「だいぶ昔に滅んだとされていまして、もっともデルタに反逆したと言われている種族です」

「そんな種族が……」


 獣人、エルフ、ホーン、フェアリーと探していき……見付けた。


「あったぞ、プレベール」


 選択した途端、キャラの肌が濃いめの灰色を帯びる。


「あれ?」

「どうしました?」

「いや、肌の色が灰色から変えられなくて」


 濃淡の調節は出来るけれど、灰色で固定らしい。


「プレベールは、皆グレーの肌だったと言います」

「そうなのか。髪色は変えられるみたいだけれど……プレベールって、どういう種族なんだ?」


 目の下に顎までの黒い細ラインが入っていて、どこか人形のようにも見えるけれど……それ以外の事が分からない。


「手脚の形状を自在に変えることが出来たと言われており、非常に戦いに優れた種族だったそうです」

「手脚を……剣や鞭に変えられるって事か?」

「翼に変えて飛んだり、獣のように素早く駆けたり、鉄のように硬い盾にも出来たそうですよ♪」


 段々テンションが上がってきているクオリア。


「なら、侍女服は袖がない方が良いか……手脚って、具体的にどの部分から変えられるんだ?」

「へと……その辺は詩人によって様々で、肩や股関節から先という者も居れば、肘や膝から先という者も居て」

「膝から……だと、獣のように駆けられる気がしないな」


 肩と股関節から、という前提で考えて……これ、スカートをかなり短くしなくちゃいけないんじゃ?


 クオリアは目が見えないから、ほぼ俺が決めたような物と言われそうだし……どうして悉く、俺の趣味で侍女NPCのデザインが決まったような流れになってしまうんだよ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ