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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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518.魔神・水晶鮫

「三十七ステージのボスは、魔神・水晶鮫(すいしょうざめ)。弱点属性は古代、有効武器は銛、危険攻撃は“水晶魔法”のクリスタルバレットとなります」


 説明してくれるナターシャ。


「ステージギミックは、ステージ両端の水槽。そこから海水が流れ込むと同時に“バイトシャーク”が無限に乱入して襲ってきます。床はすぐに浸水しますので、飛行手段が必須となります」


 完全記憶能力があるためか、俺よりも細かく説明している気がする。


「よし、行こう」


 青と藍色の紋様の妖精にお供えをしたのち、六人でボス部屋の中へ。


 扉が閉まると、奥でギラギラした藍色ライン光が走って行く。


「ユウダイ様」

「武器交換――“雷霆の神剣”」


 黄雷を打ち固めたようなSランクの大剣を、ナターシャへと渡す。


挿絵(By みてみん)


「“鋼の騎士団”」


 ナターシャの金属製装備を纏ったマネキンのような物が、四体現れる。


「それでは、行って参ります――“超噴射”」

「気を付けてな!」


 ナターシャが“ジェットウィングユニット”で飛び立った直後、両脇一面を覆う水槽に穴が開き、水が大量に流入して来た。


 水槽には、いかにも凶暴そうな大鮫が多数見受けられ、徐々に大きくなっていく穴からいずれ、俺達が居るこの空間へと入り込むことになるだろう。


「……少し手伝うか」


 “サムシンググレートソード”に九文字刻む。



●●●



「とっとと仕留めさせて頂きます」


 私の有用性を見せ付けるチャンスなのですから!


 空を泳ぎ回る水晶鮫へと、編隊を組みながらの“超噴射”による急接近。


 ――さっそくの危険攻撃、鋭い水晶の雨を“ロイヤルロードシールド”で発動したパラディンブロックで防ぎながら――尚も接近を試みる!


「――“天罰の雷”!! ベクトルコントロール!!」


 エルザが放った“雷鳥の天罰槍”が逆アークを描きながら飛翔――魔神・水晶鮫の腹部を下から貫く。


 おかげで魔神の動きが止まったとはいえ、余計な真似を!


 今夜、ユウダイ様のお情けを貰うのは――この私です!!



「“雷霆魔法”――ケラウノススプランター!!」



 私を含めた五人分の雷を浴びせます!


「まだ、仕留めきれませ――――」


 神代の力……ユウダイ様の力が、私に流れ込んでいる!?


「さすがです、ユウダイ様」


 この距離で、他者に力を分け与えられるとは!


「“雷霆剣術”――――ケラウノスブレイク!!」


 神代の力を乗せた俗物的神の雷を五つ炸裂させ――魔神・水晶鮫の身体を砕き壊し……光へと変えました。



○おめでとうございます。魔神・水晶鮫の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★水晶鮫の三角歯(のこぎり) ★霊属性強化のスキルカード

★サブ職業:水晶魔法使い ★水晶鮫のトゥースガントレット


○これより、第三十八ステージの海上連結船に転移します。



 今夜こそ、私はユウダイ様に抱いて頂けるでしょうか。



●●●



「キクル達が、第二大規模突発クエストに参加?」


 海上連結船に転移後、すぐに戻ってきた俺達は、メルシュを交えてザッカルの話を聞いていた。


「キクル自身は元々出たかったらしいし、俺も、内容を知った今となっては悪くないと思ってるぜ」


 ザッカルから、一枚の紙を渡される。


「大樹村にあった白いテントで貰ったもんだ」

「てことは、もう手続きしたんだな」


 ルールは、参加手続きをした者にしか明かされないと明言されていた。


「大勢で参加した方が、有利そうな内容だったんでな」



○開催日時は、六月二十二日の04:11。


○参加するステージごとに別空間に転移され、強力なモンスターの襲撃に耐えながら生き返らせたい人間の墓を曝く。制限時間は三時間のみ。


○生き返らせた人間は強制的にパーティーリーダーの奴隷となるため、パーティーに空きが無ければ蘇えらせる事は出来ず、生き返らせるためのアイテム、“命の砂時計”は一人一つ、NPC以外の人間にしか与えられない。


○クエスト開始後はパーティー編成を変えられず、パーティーごとにランダムの場所に転移されます。



「パーティーの数を減らしすぎれば危険で、減らさなければ生き返らせられる人数も減る……か」


 ……まずいな。俺のパーティーはトゥスカ、メルシュ、ナタ-シャの三人が奴隷扱い。パーティーを分散する場合、クオリアとクレーレだけになってしまう。


 そこまでしたとしても、NPCには復活アイテムが渡されない以上、生き返らせられるのは四人だけ。


 キクル達が参加する事になったのは……運が良かったのかもしれない。


「どっちが誰を生き返らせるのか、決めておいた方が良さそうだな」


「ザッカル、例の物をマスターに見せてあげて」


「例の物?」


 ザッカルの顔に、不穏な影が落ちる。


「これだ」


 ザッカルが見せてくれたチョイスプレートに表示されていたのは、様々な種族の女性の姿。


「生き返らせられる人間のリストだ。表示を変えれば男も出せるが……見て欲しいのはここだ」


 ザッカルが指し示した部分に書かれていたのは、身長や年齢などのプライバシーな情報と、その女性達が死亡時に所持していたと思われる所持品の名前。おまけにランクまで表示されている。


「Lv82? ……そうか、俺達よりも上のステージで亡くなった……」


「このプロフィールデータなんだけれど、どうやら、手続きしなくてもテントで貰えるらしいんだよね。クエストが終わるまでの限定らしいけれど」

「生き返らせた人間を奴隷に出来るって言うのは、NPCによる口頭で既に広まっているようだった。たぶん、他のステージでもそうなんだろうぜ」


「……なに?」


 それってつまり……。


「単純に知り合いを生き返らせたいだけじゃなく、()()()()()で参加する人間が居るかもしれない……てことか」


 死人が持つレアアイテム目当てならまだマシな方で、(よこしま)な理由で墓あらしをしようって輩が……アオイ達を生き返らせようとする可能性が出て来たって事に……。


「……こういう醜悪さに関しては、観測者の奴等は一流だな」


「ルイーサ……聞いてたのか」

「コセ……」


 その隣にいたアヤナは、かつてない程に不安そうで……。


「……早いうちにルールを知れたのは行幸だった。ザッカル達も参加してくれる以上、アオイを生き返らせられる確立はむしろ上がった」


 それに、今ならまだ……打てる手は()()()()


「コセ……助けられる……よね?」

「……全力を尽くすさ」


 アヤナに、大丈夫……とは言ってあげられなかった。


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