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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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514.爆炎人魚のマリン

「――“創光鎚”!」


 魔法の杖としても武器としても性能が高い“武魔の聖杖”に、キクルさんが突発クエスト・虹の城で手に入れてくれたユニークスキルで青い光のラインによる大鎚を生成――“悪性の茎人”を蹴散らします!!


 私の弱点、近接戦闘を補うためにキクルさんが譲ってくれた力。


『ギギ……』


「――“聖水鳥”!!」


 再び動き出す前に、聖なる水で出来た大鳥をぶつけてトドメを刺す。


「“伸縮”――“八雲棒術”、クラウドブレイク!!」


 紅い“如意棒”を伸ばして茎人にぶつけながら、武術スキルを炸裂させるハヌマー。


「――“咎の拳”!!」


 黒く禍々しい拳を右拳に纏わせたのち、高速で撃ち出して倒してしまう。


「“爆炎鞭剣術”――バーニングウィップブレイド!!」


 右腕の甲手から剣を鞭のように伸ばし、荒れ狂う炎を纏わせた刃で両断――一撃で倒しきるマリン。


「やはり、炎に弱いようね――ゲホッ、ゲホ!」

「マリン! ゴホ!」

「二人もっすか、ケホッ!」


 三人とも、咳が止まらない。


「ああー、クソ。涙や鼻水まで出て来たっす」

「目が痒いのは、地味に厄介」

「二人とも、花粉ゲージは? 私は23%」

「27%」

「……32」


 一番低いのが私で、一番高いのがハヌマー。


「やっぱり、接近戦が多かったハヌマーが一番……」


「ハヌマー、高い場所に避難した方が」


 マリンが気遣いの言葉を発した瞬間――遠くから、誰かの名前を悲痛に叫ぶ女性の声が!!


「言ってられる状況じゃねぇだろ」

「……ですね」


 このステージには、何故か女性と子供が多い。


 おそらく、この世界に来てから産んだ子供。


『球根の数、残り40』


「……手分けして探しましょう」


 危険を犯してでも、早急にこのクエストを終わらせなければ!


「よし! 私はこのまま真っ直ぐ! レイナは右周り、マリンは左周りだ。良いよな?」

「はい!」

「二人とも、気をつけて」


 少しでも犠牲者を減らすべく、私達はそれぞれの方向へと駆け出す!



●●●



「伏せて――“風車魔法”、ウィンドミルトルネード!!」


 緑の竜巻を放ち、十字路で母子に襲い掛からんとする植物人間共を――纏めて上空へ!


「ディア!」


「“混沌魔法”――カオスレイ!!」


 黒と白の光線が混ざり合い、一つの光芒となって七体の“悪性の茎人”を消滅させた。


「た、助かりました」

「ありがとうございます!」

「まだ油断せず、家の中へ」


 遠くの壁に、モクモクと花粉を吹き散らす球根が複数、一カ所に群生しいているのが見える。


「わざわざ、突発クエストに小さな子達まで巻き込むなんて!」


 エルフではないとは言え、幼子が無力に命を奪われるなんて――許されることじゃない!!


「ラフォル様、花粉ゲージは?」

「へ? ……18%」

「私は21%。ですが、それでもお気を付けください」

「まだ、もう一波乱あるって言いたいわけですね。私も同感だけれど」


『球根の数が25まで減ったのを確認。益々の危機的状況下に置かれた“悪性の球根”達は――“悪性の大輪”と成る!』


 視界に入っていた球根の群生が突如蠢き――黒いエキスを噴出して――腐った花のような頭を持つ人型の化け物へと変貌していく!?


「強化は……一度だけじゃなかったのか」


 しかも、花粉を撒き散らす量が更に増した。


「一気に仕留める。ディア、援護を!」

「畏まりました」


 “栄光の杖”を構える、ホーン族として造られたディア。


 同族よりも頼りに感じられる事に、妙な気分が込み上げて来てしまう。


 ――壁を蹴って、“悪性の大輪”が高速で突っ込んできた!!


「“黒曜盾”! “大地盾”!」


 ディアが二つの盾を召喚と同時にぶつけ、直進を阻んでくれる!


「“咎の一矢”」


 弓に、黒の矢をつがえて狙う。


「――“風車弓術”、ウィンドミルブレイズ!!」


 盾と盾の隙間を突き、胸を貫いて腐った身体の大半を飛び散らせた。


「咎はやり過ぎかとも思ったけれど、良い判断――」


『――ギギャァァァッッ!!』


 ――身体が、一瞬で再生した!!?


 盾を潜り抜けて、こっちに来る!!


「“大地魔法”――グランドバースト!!」


 樹木の橋のはずなのに、足元から大地が生えて上空に打ち上げた!?


「ラフォル様、今のうちに! “黒曜石魔法”――オブシディアンバレット!!」


挿絵(By みてみん)


 黒石の槍が、無数に飛ぶ。


 “咎の一矢”でダメなら、それ以上の攻撃力が必要。


「――“同系合成”」


 キクルさんが、私向きだからと貸してくれたユニークスキルを発動する。


「“紅蓮矢”、“暴風矢”、“氾濫矢”」


 同系統のスキルを銀の矢に重ね掛けし――強化していく。


挿絵(By みてみん)


「“泥爆弾”!」


 指輪から泥玉を連続で撃ち出し、再び動きを止めてくれるディア。



「――――くたばれ!!」


 

 “アールヴの風弓”より、三属性が込められた矢を放つ!!


『ギ――――』


「――お見事」


 僅かな手脚だけを残し、“悪性の大輪”の身体を綺麗に消し去って……光に還した。


「……ありがとうございます、キクルさん」


 少しずつかもしれないけれど……私、前に進めている気がする。


『下層の“悪性の球根”が、全て取り除かれました』



●●●



『下層の“悪性の球根”が、全て取り除かれました。よって、下層は安全エリアとなり、クエスト終了まで中層とは行き来が不可能となります』


 今までの偉そうな女とは違う、無機質な声が流れる。


「ようやく、光明が見えてきたようね」


 右腕の“肥生(ひせい)脆刃(ぜいじん)の剣甲”を鞭のように操り、“悪性の大輪”を牽制。


「“肥生”! “爆炎鞭剣術”――バーニングラッシュレイド!!」


 甲手に収納された刃を肥大化し――連続で爆炎の鞭刃(べんじん)を叩き付ける!


「――“脆刃”」


 刃が深く斬り込んだ瞬間に剣甲の効果を発動――燃える刀身が折れて、腐った植物人間を持続的に内側から焼いていく。


「“樹液弾”!」


 足元に黄色の粘液を当て、樹の地面へと固定。


「“爆炎魔法”!!」


 同時に左腕の赤き剣甲、”平然と浮かべられた笑顔を引き裂け”に()()()()()()を刻み――烈火の魔法陣へと力を流し込む!!


「――バーニングブラスター!!」


 火炎の柱を浴びせ――コイツ、まだ動けるの!?



「“二刀流剣術”――クロススラッシュ!!」



挿絵(By みてみん)


 文字の力を乗せた剣甲から伸びる刃を交差させ――――“悪性の大輪”を四つに切り裂いて……ようやく仕留め切った。


「ハアハア、ハアハア。六文字で……これか」

 

 まだ、グダラほど自在には扱えない。


「属性相性で私はなんとか乗り切れたけれど……二人は大丈夫かな?」


 既に、花粉ゲージは52%。大輪と戦闘する前に確認した時は、40以下だったにも関わらず。


「……急がないと」


 中層には、あと何体の植物人間が居るのか。


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