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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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511.繊細な子

「ギオジィ!」


 休憩中、クレーレが満面の笑みで声を掛けてきた。


「どうした、クレーレ?」

「……ありがとね、私を使ってくれて」

「使ってって……」


 まるで、自分を道具のように。


「私って、解放軍の中ではめちゃくちゃ年下だからさ……しょっちゅうハブられてたって言うか……ね」


「それって、大切にされてたって事じゃないのか?」

「あの人達からしたらそうだったんだろうけれどさ……私からしたら、認めて貰えてないんだなって……そんな風に思えちゃって」


 誰かの役に立ちたいって願望が、強いんだろうな。


「体よく……追い出されたようにも感じてたし」

「ヴァルカはそんなつもりじゃ……」

「解ってるって! ヴァルカお義父さんが、私を大切に想ってくれていたからこそだって」


 理解は出来ても、心からは受け入れがたかった……てところか。


「私が上手く“アバター”に対処できなかった時、ギオジィが他の人に任せずに私に最後まで戦わせてくれたの――嬉しかったよ♪」


「クレーレ……」


 その笑顔は、美しくも儚くて……気付けば見蕩れていた。


「……私が十五歳になったら、いっぱいエッチな事しようね、ギオジィ♡」


 いきなり近付いてきたと思ったら、耳元で恥ずかしそうに囁かれてしまう!


「お、お前、そういう事は成人してから言えよ」


 そういう目で見てしまうだろうが!


「別に良いじゃ~ん! 私達、婚約してるんだしー!」


 確かに、一応はそういう事になってはいるけれど。


「……クレーレの気が変わらなかったら、な」

「だいじょーぶ!」


 嬉しそうに離れていく、雪豹の女の子。



「この気持ちは――純愛だから」



挿絵(By みてみん)


 振り返りながら笑顔で言われた言葉に、胸の奥が熱くなっていく。


「……おう」


 なんか、俺の方がクレーレに墜とされてしまいそうだ。


「イチャイチャしてますね」

「おわ!?」


 恨み言のような声音を発したのは、いつの間にか左隣に居てジト目を向けていたトゥスカ!


「はい、どうぞ」


 コップを差し出してくれる。


「これは?」

「ハチミツレモンを水で割った物です。疲労回復に良いと、マリナに持たせられました」

「助かる」


 ぶっきら棒に見えて、マリナは気遣いが出来る奴だ。


 それにしても、なんだかトゥスカが面白くなさそうだ。


「……ご主人様は、こっちに来る前にも……その、婚約者とかが居たりは……」

「ん? そんなの居ないよ。モテた記憶も無いし」


 トゥスカに出会うまで、ろくに女子と会話をした事も無い。


「ただ、男子と喋るよりも女子と喋る方が気は楽だったかな。でも、他の男子には呼び捨てなのに、何故か俺にはみんな“さん”付けしてくるんだよ。別に嫌じゃなかったけれど」


 クレーレも、そういう何気ない部分に疎外感を感じていたのかもしれない。


「…………これは、さすがにそろそろ牽制した方が良いのかもしれませんね」

「ん?」


 トゥスカが、珍しく考え込んでいる。


 貰ったハチミツレモン水を飲むと、強い甘味と酸味が口に広がり、身体の奥へと流れてく。


「そろそろ時間です、ユウダイ様」


 ナターシャが教えてくれる。


「よし、出発しよう」


 貰ったレモン水を少しずつ飲み、意識を探索に最適な方向へと持っていく。


 全員の準備が整ったのを確認し、安全エリアとなっていた部屋の奥へ。



○右:古代の足跡

 左:霊魂の集会



 早速の別れ道。


「どっちに進む、マスター?」


 エルザに尋ねられる。


「右だ」


 道はどちらも狭く、番犬で移動するはずだったトゥスカ達も徒歩に。


 ナターシャを先頭に、一列となって進んで暫く……少し広い場所に出る。


「急に雰囲気が変わりましたね」


 トゥスカの言うとおり、侵蝕するような意匠だった壁は消え、象形文字のような物がビッシリと壁に書かれている場所に出た。


 少し前に出ると、いきなり三つの光が立ち昇り……黄金の空箱がそれぞれの光から出現。



○以下から一つ、好きな物を選べます。


 右:莫大な財宝

中央:古代の武具

 左:古代の魔法



「これって、霊魂の集会を選んでたらどうなっていたのでしょう?」


「似たような部屋にて、死者の武具、霊的な魔法、召喚の指輪のいずれかからの選択となるそうです」


 トゥスカの疑問に答えるナターシャ。


「選べるのは、一パーティーにつき一つのみ。悪いけれど、俺が選ばせて貰う」


 文句を言いそうなメンバーは一人も居ないけれど、一応示しておく。



○罠を感知しました。



 この表示が出るのも懐かしいな。


「罠解除」


 左の宝箱から大きな骸骨が上半身を繰り出し、鋭い指の骨で空を薙いで消えていった。


「……こわ」



○“灰燼魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“湖水魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“威風魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“崩壊魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“周波数魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“降雹魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“黄昏魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“邪悪魔法のスキルカード”を手に入れました。

○“隕鉄魔法のスキルカード”を手に入れました。



「古代の二属性魔法、全種類を一枚ずつですね」

「取り敢えず、これはトゥスカに」


 武器に黄昏が入っているトゥスカには、“黄昏魔法”のカードを渡しておく。


「ありがとうございます、ご主人様」

「残りは、メルシュを交えてだな」


 部屋を更に進むと階段があり、すぐにまた地底湖へと出た。



○スキル変換機能に土属性、鉄属性、毒属性、竜属性、古代属性、霊属性、星属性が追加されました。



「このタイミングでか」


「向こうにも出口があるね。もしかして、左に進んだ人用?」

「ああ、そのはずだ」


 クレーレに返事をしつつ、水場の左に道を見付ける。


「行こう」


 モンスターすら出ない一本道を、ひたすら進んでいく。


「この匂い、どうやら海水のようです」

「なんだか懐かしい」


 流刑の孤島で売られていたためか、トゥスカの言葉にそんな感想を述べるクオリア。


「一本道なら、ここで時間を節約出来ると思わないか? マスター」

「なるほど」


 ここは洞窟の中だけれど、エルザの言うとおりかなり広く、見通しも良い。


「私は竜になって上空から警戒、援護をしよう」

「よし! 各々、移動速度の速い物に乗り込んでくれ!」


 ここで、少しでも距離を稼ぐ!


風化魔法を威風魔法に変更しました。

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